これは彼らが9月に新作ミニアルバム「真ん中のこと」を発売したことを記念して、同月から計27公演行っていたもの。道中にはSCANDAL、10-FEET、SiM、夜の本気ダンス、HEY-SMITH、THE BACK HORN、coldrain、BLUE ENCOUNT、ROTTENGRAFFTY、爆弾ジョニーという強力なゲストアーティストとの対バンも経て、Zepp Tokyoでのワンマンライブへとたどり着いた。
12月15、16日と2日間行われたこのZepp Tokyo公演。2日目となるツアー最終日、渋谷龍太(Vo)は「『真ん中のこと』リリースツアー27本中、27本目です! 本日がツアーファイナルですけど、楽しむ準備はしてきましたか? ごきげんいかがでしょうか!?」と声を上げ、「ファンファーレ」でライブが開始する。その瞬間、4人の後ろにかかっていたバンドロゴのバックドロップが落ち、「真ん中のこと」のアーティスト写真の壁と同じくイエローの幕が出現。藤原“29才”広明(Dr)の疾走感のあるドラミングに乗せ、渋谷は軽やかにステージを舞いながら同曲を歌い上げた。爽快なサウンドの「青い春」では、柳沢亮太(G)の「2Fも後ろも、両手見せてもらえますか!?」という言葉から会場にたくさんの人々の両手が挙がり、早くも一体感が生まれる。「うるさい」では一転、彼の切り裂くようなギターサウンドによって場内に熱気が広がった。
渋谷は「美しい日」で「お手を拝借してもよろしいでしょうか?」、「贈りもの」で「お声拝借してもよろしいでしょうか?」とフロアに呼びかけ、場内にはオーディエンスの大きな手拍子やシンガロングが響き渡る。彼が「次はあなたのお体拝借させていただきます!」と述べた「irony」では、柳沢のゴキゲンなギターサウンドや上杉研太(B)の小気味いいベースラインによって、ダンスホールよろしくファンを大いに踊らせていった。曲中にはお立ち台にしゃがみ込んで歌う渋谷のもとに、柳沢と上杉が接近して演奏するシーンもあり、オーディエンスを和ませた。
会場のあまりの熱気に「あっついね」とフロアに語りかけた渋谷は、「体調悪くなったら自主的に言うんだぞ」「ライブハウス慣れっこの人は率先して助けてね」とコメント。自身の言葉に対し、次第にフロアから「はい!」とそろった返事が聞こえるようになると彼は「なんか学校みたいになってきたな。悪い気がしねえぞ?」、フロアの反応を受けた柳沢も「いいヤツばっかだな」と笑った。またZepp Tokyoに立つのは10代の頃に出場した大会以来だと触れた渋谷は、メジャーデビュー当時の苦難やメンバー4人だけでリスタートしたときのこと、周りの人の支えのありがたさを感じたときのことを振り返ったのち、「いろんな人と出会って、チームが大きくなって、今、Zepp Tokyo2DAYSをソールドアウトできていて。そして、俺たちが伸ばした手をあなたが掴んでくれた。俺たちは生半可な覚悟で手を伸ばしてないから、ずっと掴んでいようと思います」とオーディエンスへまっすぐに思いを述べる。そんな意思表示を込めたという「人として」では、藤原のダイナミックなドラミングに乗せ、渋谷と柳沢のエモーショナルなハーモニーが響き渡った。
「ここから後半戦ですけどいけますか!?」という渋谷の言葉から届けられた「証明」では、メンバーと観客による大きなシンガロングや手拍子が広がり、ここでさらに会場の一体感が増していった。演奏後、フロアから「まだまだー!!」という声が上がると渋谷は「おー、そうかい。まだ元気か」とうれしそうに笑い、「まだまだ足りないようなので、気合い入れようか。来いって言ったのはあなただから、責任取ってくれよな!」と観客を焚き付ける。さらに「頼りがいのある仲間だと思ってるよ! じゃあ、大事なあなたに向けて、まずは俺たちの戦い方を見せてやる」と述べ、バンドは「正攻法」を投下。映像演出にオーディエンスから歓声が起こる中、4人はエッジィなサウンドで大いにフロアを揺らした。「東京流星群」では黄色のバックドロップが落ち、ステージ後方のLEDや天井のミラーボールの光が幻想的に会場を照らす。観客は渋谷と共に何度も何度も大きなシンガロングを繰り返した。
終盤、ファンに向けて「当たり前のことを言うけど、次に会えるのを楽しみにしてます」と述べた渋谷はその理由について「俺と俺たちと、あなたとあなたたちは毎日は会えないからね。随時今日何があったとか、何を食べたとかの意思の交換はできないじゃない。それでも次会ったとき、顔を見たときに『あ、なんか楽しいことあったんだな』『ちょっと挫けてるのかな』とか、俺はそういうことを交換できるようになりたいのね」とコメント。さらに「どんな気持ちを持っててもいいから、俺たちにまた会いに来てください。俺たちはずっと歌ってるからね。次に俺たちと顔を合わせるときの条件は1つだけ。生きていてください。どんなときでも支え合えるのが仲間だから」と呼びかけた。「あなたに俺たちが言えること」という前置きから届けられた「それくらいのこと」で渋谷は、ときに熱く、ときに語りかけるように歌声を響かせる。歌い終えると、「俺たちが言うことは『それくらいのことかよ』って思われるかもしれないけど、これからも全力で歌っていくからな!」と宣言した。本編ラストナンバー「歓びの明日に」で柳沢はステージ前方で倒れこむようにギターをかき鳴らし、上杉と藤原のパワフルな演奏が響き渡る。渋谷は前方のファンと手を握ったり、拳を合わせたりしながら熱唱。1曲目から16曲目まで、会場の熱気が冷めやらぬまま本編はフィニッシュを迎えた。
アンコール前には観客が「秘密」を歌う中、突然ステージ上の幕に映像が流れ始める。そこには写真を撮るべく、車から降りてとある目的地へと向かうSUPER BEAVERとカメラマンの青木カズローの姿が捉えられていた。そしてその場所が東京・日本武道館だとわかるとファンは大興奮。4人は2005年のバンド結成からさまざまな紆余曲折を経て、自身初となる日本武道館でのワンマンライブを2018年4月30日に行うことを発表した。観客の大歓声に迎えられ、メンバーと共に笑顔で再登場した渋谷は「日本武道館、やることにしました! 俺たちが歩いてきた13年間、長かったか短かったかはわからないけど、あなたのおかげでやってみようという決断に踏み入ることができました。でも、全然ゴールじゃないんだ。俺は日本武道館に興味があるわけじゃなくて、あなたがいてくれる日本武道館に興味があるんです」と語りつつも、「まあ……でも……ありがとう!!」と感慨深そうに語った。
新曲「虹」の演奏後、渋谷は日本武道館公演を前にした思いとして「お客さんが5人しかいなかったライブのこと、メジャー落ちっていうレッテルのこと……」と過去を振り返り「でも今、それを思い出したときに楽しい思い出にできていてよかったなと思います。目の前にあなたがいて、自分の大切な人に囲まれている。すごくすごくうれしいです。改めて本当にどうもありがとう」と感謝。さらに「例え30歳になったって、若輩4人の集まりです。一歩ずつ一歩ずつ歩んでいって、歩くのめっちゃ遅い俺たちだけど、これからも胸を張って音楽していきます。これからもよろしくお願いします」と呼びかけた。「まぎれもなく、あなたに向けて」という渋谷の前置きから4人は、観客へ思いを届けるように「ありがとう」を熱演しツアーを終幕させた。
なおバンドのオフィシャルサイトでは、本日12月17日12:00から24日23:59まで日本武道館公演のチケットの先行予約を受け付ける。
関連する特集・インタビュー
SUPER BEAVER「SUPER BEAVER『真ん中のこと』Release Tour 2017 ~ラクダの、中心~」2017年12月16日 Zepp Tokyo セットリスト
01. ファンファーレ
02. 青い春
03. うるさい
04. 美しい日
05. 贈りもの
06. irony
07. ひなた
08. 人として
09. 27
10. 361°
11. 証明
12. 正攻法
13. 東京流星群
14. 秘密
15. それくらいのこと
16. 歓びの明日に
<アンコール>
17. 虹
18. ありがとう
SUPER BEAVER 都会のラクダSP at 日本武道館
2018年4月30日(月・振休)東京都 日本武道館
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