SUPER BEAVERが9月6日に新作ミニアルバム「真ん中のこと」をリリースする。新たなサウンドアプローチと、ミニアルバムという形態にこだわったという本作にはエッジィでパンキッシュな「ファンファーレ」「正攻法」、栗山千明主演のフジテレビ系ドラマ「でも、結婚したいっ!~BL漫画家のこじらせ婚活記~」の主題歌として書き下ろされた温かなミディアムチューン「ひなた」、軽やかなロックンロールナンバー「irony」といった多彩な全6曲が収められる。
音楽ナタリーではバンドのフロントマンである渋谷龍太(Vo)と、主にソングライティングを手がける柳沢亮太(G)にインタビューを実施。2017年を駆け抜けるように活動しているSUPER BEAVERの上半期を振り返りながら、「真ん中のこと」と銘打ったカラフルな作品について語ってもらった。
取材・文 / 石橋果奈 撮影 / 草場雄介
濃密がゆえにスピーディな2017年
──2016年10月に実施した前回のインタビューで「これからもっともっと先に行きたい」と話していましたが、2017年に入ってからのSUPER BEAVERは本当に怒涛の勢いで活動している印象があります(参照:SUPER BEAVER「10th Anniversary Special Set『未来の続けかた』」インタビュー+年表|フロントマン渋谷龍太書き下ろし小説と共に振り返る歩み)。
渋谷龍太(Vo) 2017年に入ってからかあ……。
──まず1月に両A面シングル「美しい日 / 全部」をリリースして(参照:SUPER BEAVER新シングルトレイラー公開、「美しい日」MVの一部も)、2月にはshibuya eggman主催のイベント「LIVE EGG BUDOKAN ~shibuya eggman 35周年 大感謝祭~」で東京・日本武道館のステージに立ち(参照:eggman35周年祝った武道館でNOKKO、miwa、MWAM、チェコらThe Beatlesカバー)、3月には渋谷さんがニッポン放送「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティを務めることが発表されました(参照:SUPER BEAVER渋谷龍太、4月から「オールナイトニッポン0」パーソナリティに)。
渋谷 そうか……なんか、正直全然境目がわからなくて。
柳沢亮太(G) いや、そうなんだよ。年明けからけっこういろんなライブに出させてもらっているし、さらに自分たちの先のことも見て動いていたら、ホントに月並みな言葉ですけど、めちゃくちゃ時間の流れが早くて。濃密がゆえにスピーディに感じてるんだと思います。
渋谷 もちろんスピードを意識してる部分もあります。ライブを観てもらう機会や、ほかのバンドのツアーとかフェスに呼んでもらえる機会が多くなってきたから、ここでスピードを上げられなければバンドとしてヤベエんじゃねえかっていうのはあるし。ずっと同じペースで進み続けていったら、いろんなことがホントにうまく回り出すの、たぶん30年後とかになっちゃう。
柳沢 あははは(笑)。
──「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティの話が来たときはどう思いましたか?
渋谷 チームみんな、けっこうびっくりしましたね。でもラジオの中でトップだと思ってる番組のパーソナリティに抜擢していただく機会を逃す手はないなと思ったし、すごく名誉なことなので、すぐに「やります」って返事をして。SUPER BEAVERというバンドが知ってもらえるきっかけになるなら本気でやりたいなと思ったし、実際に始めてみて楽しいです。
──番組はすでに2クール目に突入しているわけですが、リスナーが悩み相談を留守番電話に残す「夜明けのぶーやんダイヤル」のコーナーに8歳の男の子から「歌がうまくなるためにはどうすればいいか」という相談が寄せられたこともありましたね。本当に純粋な男の子の言葉と、渋谷さんの回答に感動しました。
柳沢 あれよかったですよねー。
渋谷 けっこう、あの回を聞いて「泣いちゃった」っていう感想をいただいてます(笑)。8歳の子でSUPER BEAVERの音楽に自主的にたどり着くことはきっとないと思うんで、ご両親が僕らの音楽を聴いてくれてたんだと思うんですけど、そうやって親から子へとつながっていくのがうれしいですよね。ラジオで直接リスナーの声を聞ける機会をもらえるのはありがたいです。
人と人の間にあるものを歌にしてきたバンド
──4月には栗山千明さん主演のフジテレビ系ドラマ「でも、結婚したいっ!~BL漫画家のこじらせ婚活記~」の主題歌を担当するという出来事もありましたね(参照:SUPER BEAVER、栗山千明がBLマンガ家演じるドラマ主題歌担当)。
柳沢 ドラマで曲が流れると、ラジオと一緒で僕らの曲が流れるのを待ってるわけじゃなかったけど「たまたま耳にしちゃった」っていう人もいるわけで。そういう人に音楽が届くきっかけをもらえるのはすごくうれしいです。あと主題歌として書き下ろした「ひなた」だけが流れると思ってたら、「ほかの曲もすげえ流れんじゃん!」っていう(笑)。
渋谷 僕は不思議なことに、俯瞰で見てましたね。「あー! 俺らの曲だー!」って興奮するって言うよりも、気付いたら流れてて「ああ、俺らの曲か」っていう感じ。それだけドラマの世界観になじませてくれたってことでしょうけど、長編のミュージックビデオかと思うぐらいマッチしてて。作られた世界に曲を当てはめてもらうことはなかなかないし、すごく新鮮に感じました。
──「ひなた」の歌詞には、ドラマの主人公の気持ちに寄り添うような言葉がつづられています。でもSUPER BEAVERらしさはしっかり漂ってる楽曲ですよね。
柳沢 これまでも書き下ろしの機会を何度か与えていただいたんですけど、やっぱ一番大事にしてるのはあくまでSUPER BEAVERが今歌うべき曲とか、今歌いたい曲というところで。ドラマっていうきっかけがありながら、今のSUPER BEAVERの思いとどうマッチングさせるかは大事に探していきました。でも、僕らの思いと楽曲のどこかしらにいつも噛み合うところが絶対にあるのは、SUPER BEAVERが人と人の間にあるものを歌にしてきたバンドだからだと思ってます。
渋谷 あと「ひなた」って、ふくよかな曲だよね。男も女も自己投影しやすい、器のデカい曲だなって。楽曲ってそれぞれに芯の部分があるから、リスナーからしたら「こういう思いで聴いたらちょっと筋が違うのかな」「ちょっと曲とは趣旨が違うのかな」って思ってしまうこともあるかもしれないんですけど、この曲に関しては聴き手が思ったことが正解になりやすいなと。歌いながらいつ聴いたか、どこで聴いたか、誰と聴いたかによっても聞こえ方がずいぶん違う曲なんだろうなって感じました。実際、「ひなた」というタイトルだし昼間の木漏れ日とか、そういう温かいイメージで曲作りをしていったんですが、僕の中で最近はこの曲が夜っぽいんですよね。
──そうなんですね。
渋谷 自分たちが昼間を意識して作っているにも関わらず、作ってる本人が「夜っぽい」って思うぐらいイメージが変化しやすい曲なんだろうなって。ホントに、自己投影のしやすい曲なんだと思います。
──この曲にはライブでオーディエンスが参加できるシンガロングパートもしっかりとありますね。
渋谷 そこは狙ってやったところですね。「自分も発信したい」っていうのはライブを観ている方からすごく伝わってくるから、参加できるパートを主軸にライブをやっていけたら面白いだろうなって思って。もちろん全曲にはいらないですけど、柳沢には「そういうパートがある曲たくさん作ってよ」ってずっと言ってたんですよ。自分がハードコアやパンクバンドのライブを観に行ってたとき……まあ今もそうなんですけど、「ここのワンフレーズの超気持ちいい部分、みんなで絶対声出すだろうな」って思ってたところで実際に全員で声を出す瞬間とか、すごく気持ちいいので。
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来るべくして来た“聖地”のステージ
- SUPER BEAVER「真ん中のこと」
- 2017年9月6日発売 / [NOiD] / murffin discs
-
初回限定盤 [CD+DVD]
2322円 / NOID-0021 -
通常盤 [CD]
1998円 / NOID-0022
- CD収録曲
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- ファンファーレ
- 正攻法
- ひなた
- irony
- 贈りもの
- それくらいのこと
- 初回限定盤DVD収録内容
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2017年4月30日@日比谷野外大音楽堂「都会のラクダSP~ラクダビルディング~」ダイジェスト映像
- 美しい日
- ひなた
- 生活(Acoustic Ver.)
- 青い春
- 27
- 東京流星群
- SUPER BEAVER「真ん中のこと」Release Tour 2017 ~ラクダの、中心~
-
- 2017年9月15日(金)
千葉県 千葉LOOK(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年9月16日(土)
神奈川県 F.A.D YOKOHAMA
出演者 SUPER BEAVER / SCANDAL - 2017年9月20日(水)
京都府 KYOTO MUSE
出演者 SUPER BEAVER / 10-FEET - 2017年9月23日(土・祝)
高知県 X-Pt.
出演者 SUPER BEAVER / SiM - 2017年9月24日(日)
愛媛県 WstudioRED
出演者 SUPER BEAVER / SiM - 2017年9月26日(火)
山口県 周南RISING HALL
出演者 SUPER BEAVER / 夜の本気ダンス - 2017年9月27日(水)
熊本県 熊本B.9 V1
出演者 SUPER BEAVER / 夜の本気ダンス - 2017年9月29日(金)
鹿児島県 CAPARVO HALL
出演者 SUPER BEAVER / HEY-SMITH - 2017年10月1日(日)
岡山県 YEBISU YA PRO
出演者 SUPER BEAVER / HEY-SMITH - 2017年10月2日(月)
兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
出演者 SUPER BEAVER / THE BACK HORN - 2017年10月6日(金)
群馬県 高崎club FLEEZ
出演者 SUPER BEAVER / coldrain - 2017年10月7日(土)
長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
出演者 SUPER BEAVER / BLUE ENCOUNT - 2017年10月9日(月・祝)
石川県 金沢EIGHT HALL
出演者 SUPER BEAVER / BLUE ENCOUNT - 2017年10月20日(金)
茨城県 mito LIGHT HOUSE
出演者 SUPER BEAVER / ROTTENGRAFFTY - 2017年10月21日(土)
栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
出演者 SUPER BEAVER / ROTTENGRAFFTY - 2017年10月22日(日)
埼玉県 HEAVEN'S ROCK Kumagaya VJ-1
出演者 SUPER BEAVER / 爆弾ジョニー - 2017年11月4日(土)
広島県 広島CLUB QUATTRO(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月5日(日)
福岡県 DRUM LOGOS(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月11日(土)
新潟県 新潟LOTS(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月12日(日)
宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月14日(火)
北海道 cube garden(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月18日(土)
香川県 高松オリーブホール(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月19日(日)
大阪府 なんばHatch(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年11月25日(土)
愛知県 DIAMOND HALL(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年12月15日(金)
東京都 Zepp Tokyo(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER - 2017年12月16日(土)
東京都 Zepp Tokyo(※ワンマンライブ)
出演者 SUPER BEAVER
- 2017年9月15日(金)
- SUPER BEAVER(スーパービーバー)
- 2005年に渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“29才”広明(Dr)の4人によって東京で結成されたロックバンド。2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビューする。2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、年間100本以上のライブを敢行。2012年には自主レーベル「I×L×P× RECORDS」を立ち上げる。2013年、東京・shibuya eggmanのスタッフ・YUMAが「mini muff records」内に発足させたロックレーベル[NOiD]とタッグを組み、精力的にツアーや自主企画を開催。バンド結成10周年の節目に当たる2015年4月1日にフルアルバム「愛する」をリリースし、2016年4月にはバンド史上最大規模のワンマンライブを東京・Zepp DiverCity TOKYOにて開催。6月にフルアルバム「27」を発表し、10月にZepp DiverCity TOKYO公演の様子を収めたライブDVDと渋谷による書き下ろし小説「都会のラクダ」をパッケージした「10th Anniversary Special Set『未来の続けかた』」を発売した。2017年1月にニューシングル「美しい日 / 全部」を発表し、4月からは渋谷がニッポン放送「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティを担当。9月には新作ミニアルバム「真ん中のこと」をリリースする。