満員の観客が開演を待つ中、おなじみのオープニング曲「ゆるトロ(slo-モ!)」の新たなリミックスバージョンが流れ始め、メンバーがそれぞれ自分の名前が書かれた旗を担いでステージに登場。4人が持っていた旗をスタンドに挿すと、代表曲「逃げろ!!」からライブがスタートし、会場は一気に興奮に包まれた。以降も彼女たちは「はみだしパラダイス」「めんどいしんどいPUNKするか」など、ロックフェスをテーマにした最新ミニアルバム「WE ARE A ROCK FESTIVAL」の楽曲を中心にアッパーチューンを連発。メンバーの卒業で人数が減ったことをカバーするかのように、1人ひとりのパフォーマンスはこれまでになくパワフルに進歩していた。
この日のライブはハシダカズマ(G)、上野翔(G)、松本暁雄(Dr, Percussion)の
計4曲のバンド演奏が終わると、ようなぴは「昨日もスタジオ練習してきたけど、このメンバーのグルーヴが出てきたのが実感できてきた」と満足げ。しふぉんが「4曲できるようになったから、あと2曲できたら対バンライブは楽器持って行けばできるね」と語り、会場から歓声が沸き起こった。また、けちょんのドラムプレイがメンバーや観客から絶賛されたことを受けて、ようなぴは「さすがゆるめるモ!を最初から支えてきただけある。ドラマーってバンドを支える柱的な存在じゃん? やっぱ、けちょんはゆるめるモ!の柱だから。なるべくしてドラマーになったと思う」と感慨深げに語った。
メンバーのバンド演奏が終わると長めのMCタイムが設けられ、メンバーは1人ひとり現在の心境を打ち明けた。あのは、涙で声を震わせながら「2年前のリキッドと今のリキッドの景色は全然違うなって思った。この景色は本当に一瞬しかない。もう2度とこの景色は来ない。だから本当に大切にしたい。このステージに立ててるのはここにいる1人ひとりのおかげだから、みんなも今この瞬間を目に焼き付けてほしいです」と、一言一言確かめるようにたどたどしくコメント。しふぉんは「私たちがステージに立つ意味ってなんだろうなって、このツアーでめっちゃ考えたんですよ。4人だったらゆるめるモ!をやる意味ないんじゃないかとか。冷たい言葉もめっちゃ見たし。でもなんで今この4人が残ってるかって言うと、やっぱりみんな音楽が好きだから。まだまだ頼りない4人だけど、絶望なんてしてないし、この4人ならイケるって思うんですよ」とオーディエンスに気合いを見せた。
このMCパートを経て始まった後半戦は、アッパーな序盤から雰囲気が一転。幻想的な「人間は少し不真面目」「もっとも美しいもの」や、壮大な宇宙を感じさせる「OO(ラブ)」で観客を陶酔させた。「ゆるビスタ!」の終盤でフロアから「ラララ」という合唱が起こったことに感動したメンバーは、次の「ギザギザフリーダム」を歌い始める前に観客と共に「フリーダムメロディ」という部分を一緒に歌うことを提案。オーディエンスとの合唱練習を経て曲が始まると、しふぉんが「フリーダムメロディは自由なメロディって意味なんだから、自由に音階作って歌ってくださいよ」と言い出し、メンバーと観客は即興で歌い始めた。さらにしふぉんは観客をその場にしゃがませ、彼女の合図に合わせてジャンプするように指示。観客は声を張り上げて合唱しつつ一斉に飛び跳ね、会場に一体感が生まれた。
「Hamidasumo!」では、コール&レスポンスを求めたしふぉんが「後ろのほう全然声が聞こえねえぞ!」と観客を煽り、自らクラウドサーフをしながら会場後方に移動。「スキヤキ」ではあのが、リフトされたたくさんの観客の上にさらによじ登り、天井の照明に手が届きそうな高さで落ちサビを熱唱して、そのまま崩れるようにダイブした。そして「Only You」で会場の盛り上がりは最高潮に。ステージとフロアの境界がなくなったかのようにメンバーは歌いながら会場を縦横無尽に移動し、会場の雰囲気は混沌を極めた。曲が終わるとステージからキャノン砲でテープが発射され、最後のナンバー「idアイドル」がスタート。すでに「Only You」で力を使い果たしたかのようにフラフラになりつつも、4人は最後の力を振り絞ってパフォーマンスを繰り広げた。
アンコールではバックバンドだけでなくメンバーも楽器を持ち、トリプルドラム&ツインベースの10人編成で「SWEET ESCAPE」をパフォーマンス。10分間におよぶ演奏の終盤には、ようなぴがシンセでノイズを発振したり、しふぉんが自分のベースとハシダのギターを交換してあのと2人でギターを掻き鳴らしたりと、サイケデリックなセッションが繰り広げられた。
その後のMCで、ようなぴは「今の4人体制でやっとスタート地点に立てたと思ってます。私たちはここからがスタートです」、けちょんは「ゆるめるモ!は今まで窮屈な世の中を緩めるために活動してきたんですけど、まだ苦しんでる人は絶対たくさんいるから、これからもみんなと一緒に前に進んでいきたい」と、イベントのテーマである“原点回帰”をそれぞれ改めて表明。あのは言葉に詰まりながらも「ゆるめるモ!は、若い子は付いてこれないようなコアな音楽が多くて、売れ線とは違うかもしれないですけど、自分はそんなの無視して、これからも好きな音楽をやりたいようにやっていきたいので、それについてこれる人は付いてきてください」と力強く語り、会場から歓声が沸き上がった。そしてしふぉんは自分たちの楽曲「逃げろ!!」に絡めて「そろそろ立ち向かわなければいけない時期が来たと思いました。いろんなことから逃げてきたメンバーだけど、今度は逃げる番じゃなくて、逃げてもいいんだよってみんなに言う番だと思いました。ゆるめるモ!の曲は自分たちにしか歌えないと思うから、これからも自分たちが歌うしかないと思ってるし、ほかのアイドルとは違う音楽をこれからも届けていきます」と決意を新たにした。
メンバーとバックバンドが観客を背にして記念撮影をしたのち「manual of 東京 girl 現代史」が始まり、それと同時にフロアにたくさんのカラフルな風船が放たれた。さらにラストの「なつ おん ぶる ー」では浮き輪やビーチボールなどがフロアに投げ込まれ、会場は一気にお祭り騒ぎに。あのとしふぉんは白鳥のビニールボートに乗って、観客の上を漂いながら熱唱した。
約3時間におよんだパフォーマンスがすべて終わると、拍手に包まれながらメンバーは手をつないでオーディエンスに一礼し退場。4人体制でのゆるめるモ!の再出発を力強いステージングでファンにアピールし、約3カ月続いたツアーは幕を下ろした。
ゆるめるモ!「WE ARE A ROCK FESTIVAL TOUR FINAL -RETURN TO ZERO-」2016年10月24日 東京都 LIQUIDROOM セットリスト
01. ゆるトロ(4mation remix)
02. 逃げろ!!
03. はみだしパラダイス
04. めんどいしんどいPUNKするか
05. よいよい
06. SUN SUN SUN
07. サマーボカン
08. あさだ
09. ぺけぺけ
10. KAWAIIハードコア銀河
11. ナイトハイキング
12. 人間は少し不真面目
13. もっとも美しいもの
14. OO(ラブ)
15. ゆるビスタ!
16. ギザギザフリーダム
17. Hamidasumo!
18. スキヤキ
19. たびのしたく
20. Only You
21. idアイドル
<アンコール>
22. SWEET ESCAPE
23. manual of 東京 girl 現代史
24. なつ おん ぶる ー
※記事初出時、写真のキャプションに一部誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
リンク
- ゆるめるモ! オフィシャルホームページ 「ゆるネット」
※記事公開から5年以上経過しているため、セキュリティ考慮の上、リンクをオフにしています。
もりさん @mori351srodd
その時のライブレポートはこちらです
音楽ナタリー:ゆるめるモ!原点回帰のリキッドで所信表明「売れ線じゃなくても好きな音楽をやりたい」
#ゆるめるモ!#孤独と逆襲
https://t.co/PIqix6AHQd