ircle、ツアーファイナルで「ガラじゃないんですけど本当に幸せ」

ircleが1月31日に東京・TSUTAYA O-WESTにて全国ツアー「ircle 2nd full album『我輩は人間で r』release tour ～Yes, I am.～」の最終公演を行った。

このツアーは彼らが最新アルバム「我輩は人間で r」を携えて昨年10月よりスタートさせたもの。ツアーファイナルとなるこの日はワンマンライブで、アンコール含め約2時間にわたる熱演が繰り広げられた。

4人は向き合い「風の中で君を見たんだ」からライブをスタートさせる。伊井宏介（B, Cho）とショウダケイト（Dr）が生み出すグルーヴィなビートに乗せ、河内健悟（Vo, G）は足を高く蹴り上げ、仲道良（G, Cho）は歪んだギターをかき鳴らすなど、バンドは序盤から激情的なパフォーマンスを見せた。

4曲を終えると河内が「こんなにたくさんの方々が観に来てくれるなんて思ってもなかった！」と破顔。続けて「俺たちはね、絶対に誰にも負けないのよ。だけどな、別に誰かの上に立ってデカい顔をしたくてこのステージに立ってるわけではない。あなた方に、今のこの瞬間のすべてをあなた方の元にブチ込みに来ただけ。ジャパニーズロックの救世主、ircleです、よろしく！」と熱く挨拶し、ライブを再開させた。

彼らは、河内によるハーモニカの音色が切なく響いた「桃源郷」、リズミカルなビートにあわせてファンがハンドクラップを繰り出した「i hate you?」など、新旧のナンバーで盛り上げていく。中盤には河内が初めて買ったCDから自身の音楽遍歴を回想。「ロックはめちゃくちゃワクワクする音楽やった。俺もそういうワクワクするもんがやっていきたくて今もなおこのステージに立っている」と思いを語り、「いろんなものを受け取りながら15年もステージに立たせてもらってる。受け取ってきたものは伝えたいなと思って作った曲があるので聴いてください」と続け、バンドは「テレサ」の演奏へ。それまでのアグレッシブなムードから一転、4人はミディアムチューンを優しく届けた。

「きみが セ」「失敗作」などしっとりしたナンバーを続けたあと、河内がギターをかき鳴らしながら「何が正しいのですか？」と叫ぶように語り始める。そして「バカみたいに過ぎてく時間に手を振るだけ。それでも何か、それでも明日、それでもまだ……まだ……まだ、っつって、やっていくことはとても美しいことやと思う」と続け、「ピストル」へとなだれ込む。河内は自身のTシャツの胸元をつかんで歌唱し、サビでは4人がユニゾンで力強く歌い上げた。最後に河内が「俺はあなたの何かになりたい。それだけでここに立ってる」と告げ、バンドは「サーチライト」で本編を締めくくった。

アンコールでは河内が「我輩は人間で r」について「このアルバム、めちゃくちゃいいと思う。もっともっと世に出てもいいんじゃないかと思いながら毎日を過ごしている」と悔しさをにじませながら言及。加えて「俺が言えるのは（ライブを）1本1本やるしかねえってこと。これしか言えなくて情けない。けども、1本1本やってたらこうやってあなた方が観に来てくれる日がある。こういうこと言うのガラじゃないんですけど……本当に幸せです！」と喜びを炸裂させた。さらに「このアルバムで人間がどんなにひどくて、どんなにすごくて、どんなに情けないか。それでどんなに幸せか、詰め込められたと思う」と改めて新作について思いを語り、アルバムのタイトル曲「我輩は人間である」を丁寧に歌った。

ダブルアンコールでみたびステージに登場した4人。「スイッチ入った！」と笑顔を見せた河内を筆頭に、4人はハイテンションで「バタフライ」「本当の事」を連投。「本当の事」の途中には河内がギターを置き、ハンドマイクを握りしめてアカペラで歌唱する一幕も。バンドは最後までエモーショナルなアクトで観客を魅了し、熱気に包まれる中ツアーを締めくくった。