8月26日に東京・日本武道館にて、
2005年6月に本名名義でデビューを果たし、2008年にはMay'nとしてテレビアニメ「マクロスF」のキャラクター、シェリル・ノームの歌パートを担当し一躍脚光を浴びた彼女。今年5月からはアコースティックツアー「May'n Road to 10th Anniversary Acoustic Tour 2015 "Hang jam vol.2"」を行い、ツアーファイナルのステージで10周年を迎える予定となっていたが、喉の療養のためツアーは前半で中止となってしまった。今回の日本武道館公演は、May'nにとって療養明け一発目の復帰のステージ。場内は開演前から彼女のカムバックを待ちわびたファンの熱気で満ちていた。
May'nは自身のさまざまな活動を“部活動”になぞらえ、ファンを“部員”、自身を“部長”、そしてライブを“ライ部”と呼んでいる。開演時刻となり場内が暗転すると、スピーカーからは大きな鼓動の音が鳴り響き、部員たちは自然と鼓動にあわせて「部長! 部長!」と声を上げてMay'nの到着を待つ。するとスクリーンには過去のライブからMay'nが音楽への思いを語るMCの映像が流れ、「悩んだ日々もありましたが、音楽を嫌いになったことは1度もありません」という強いメッセージが改めて届けられた。そしてステージ上にMay'nが姿を現すと、場内には大歓声が上がる。May'nは完全復活した声で「武道館ー! ライ部! ただいまー!!」と噛み締めるように叫び、「Ready Go!」で“ライ部”をスタートさせた。
May'nはおなじみのサポートバンド「チーム音楽室」とダンサー「May'nダンサーズ」を従え、ステージを駆け回りながら楽曲を畳みかけ、3曲を歌い終えたところで改めて客席の部員たちに挨拶。「皆さん本当にいっぱいご心配おかけしました。本当に会いたくて、歌いたくて。大好きなライ部……ただいま!」とあふれる気持ちを爆発させると、部員たちは大歓声でそれに応えた。しかしMay'nは感傷に浸る間もなく「今日は歌いたい曲がいっぱいあるの。だからしゃべってる時間はないの(笑)。飛ばすよ?」と煽りたて、タオルを振り回しながら歌う「DOLCE」、アニメ「マクロスF」の人気ナンバー「ノーザンクロス」「射手座☆午後九時Don't be late」とアグレッシブな楽曲を連発。続く「pink monsoon」では一転して大人びたクールな表情を見せ、「シンジテミル」ではヘビーなロックサウンドに乗せて伸びやかなハイトーンを響かせた。
「汗をかくのが気持ちいい!」と約3カ月ぶりのステージに充実感たっぷりの笑顔を見せたMay'nはひと呼吸置き、中止となってしまったアコースティックツアーに対する無念の思いを語り始める。「アコースティックだからといってバラードだけじゃない、音の変化の楽しさを感じてもらうライ部でした。中止になってしまいましたけど、まだ終わってないから、いつかこのツアーを持って皆さんのところに会いに行きたいです」とリベンジを誓ったMay'nは「せっかくなのでここで1曲」と、アコースティックツアーを再現するかのようなアレンジで「今日に恋色」を披露した。
May'nがここで一旦ステージを去ると、スクリーンには本名名義でリリースされたシングル3作品のミュージックビデオが流れ、場内にはどよめきが起こる。3rdシングル「Fallin' in or Not」、2ndシングル「Sympathy」と逆順で紹介され、1stシングル「Crazy Crazy Crazy」のMVの映像が止まると衣装をチェンジしたMay'nがふたたびステージへ。May'nはこの3曲を、オリジナルのアレンジャーとともにリメイクした“May'n Ver.”で歌い上げ、「本名のときの歌をMay'nになって初めて歌うことができました! 10年って正直実感が沸かなかったんですけど、今ようやく初めて、私10年続けて来られたんだなあって思いました! 幸せです!」と充実した表情を浮かべた。
終盤戦、「お知らせがあります。ここからラストスパートとなります」とMay'nが告げると客席からは「えー!」と惜しむ声が上がったが、May'nは「最初にお伝えした通り、今日は休む暇はありません!」と、「Run Real Run」「誰がために」「HERO」など勢いのあるナンバーをノンストップで畳み掛けていく。「May'n☆Space」では客席通路を歩いてアリーナ席中央に設置された小さなステージへと移動し、四方を囲む部員たちとシンガロングとコール&レスポンスで盛り上がった。メインステージへ戻っての「Chase the world」ではステージ前に大きな火柱が上がり、場内の熱気はさらにヒートアップ。そしてMay'nは「10年の中で私の軸、基盤を作ってくださったのが菅野よう子さんです。そんな菅野よう子さんと、10周年だからこそ『マクロスF』とは違う楽曲を、と作った新曲が『ヤマイダレdarlin'』です。先月発売したけどようやく歌うことができます!」と、療養中だった7月にリリースされた最新シングル「ヤマイダレdarlin'」を初披露し、ステージをあとにした。
「部長! 部長!」の声を受け再登場したMay'nが「みんなもっともっと歌える?」と告げると、アンコール曲「Phonic Nation」へ。スクリーンには当日撮影されたと思われるリハーサルの模様や楽屋裏での表情、開演直前に円陣を組む様子がダイジェストで流れる。アウトロでは「ラララ」の大合唱が巻き起こり、May'nは「もっともっと声を聴かせて!」とふたたびセンターステージへ移動すると、武道館のド真ん中で“部員”たちの声を受け止めた。May'nは笑顔で場内を見渡すと、続いて「WE ARE」を熱唱。この2曲は彼女が自らの作詞・作曲で部員への思いをつづった楽曲だ。
場内に紙吹雪が舞う中、May'nは「どうもありがとう。何回も言っちゃうけど本当に幸せです」と喜びを噛み締めた。そして「デビューするとき、私はここから1人でがんばっていくんだって決めました。誰にも悩みを話さずに前を見続けてきましたけど、大好きなライ部でたくさんの仲間たちに支えられて気付くことができました。1人だったら10年続けることなんてできなかった。歌を辞めたいと思ったこと、音楽が嫌いになったことは一度もありません。だけどずっと歌えるのかなって悩む日々はたくさんありました。普段はステージ上みたいに自信なんて持てない私です。そんな私がこうして思い切り歌えるのは、たくさんの仲間たちのおかげです。みんなのおかげで、私はMay'nとしてこのステージに立たせていただいています。皆さん、10年支えてくれてありがとうございます」と涙ながらに語るMay'nに、部員たちからは温かい拍手が送られた。
May'nはもう一度笑顔になり、「私はこの曲に出会ってMay'nに変わりました。10年間で一番歌った、とても大切な曲です。今感じているありがとうの気持ちをこの曲に込めて届けさせてください!」と告げると、最後にシェリル・ノーム starring May'n「ダイアモンド クレバス」を披露。「とても幸せな10周年の集大成を、みんなと過ごすことができました。これからずっとずっと皆さんと記念日を重ねていきたいと思います。まずは20周年に向けて、皆さん今後もよろしくお願いします!」と明るく宣言したMay'nは、最後にバンドメンバーやダンサーと一列になって手をつなぎ、マイクを通さずに「ありがとうございましたー!!」と挨拶し、約3時間におよんだステージを締めくくった。
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May'n 10th Anniversary Special Concert at Budokan「POWERS OF VOICE」
01. Ready Go!
02. VIVID
03. ユニバーサル・バニー
04. DOLCE
05. ノーザンクロス
06. 射手座☆午後九時Don't be late
07. pink monsoon
08. シンジテミル
09. 今日に恋色
10. Crazy Crazy Crazy -
11. Sympathy -May'n ver.-
12. Fallin' in or Not -May'n ver.-
13. Run Real Run
14. 誰がために
15. HERO
16. 決意の朝
17. キミシニタモウコトナカレ
18. May'n☆Space
19. Chase the world
20. ヤマイダレdarlin'
<アンコール>
21. Phonic Nation
22. WE ARE
23. ダイアモンド クレバス
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