このツアーはSalyuの約3年ぶりのアルバム「Android & Human Being」のリリースを記念したもの。本ツアーにおけるライブは、昨年デビュー10周年を迎えた彼女のこれまでの楽曲を演奏する前半と、新作のナンバーを収録順に“完全再現”する後半の2部構成で行われることがあらかじめ発表されていた。
仄暗い照明に包まれた最終公演のステージにまず現れたのはサポートメンバーたち。続いて繊細なギターのアルペジオとともにグリーンのドレスをまとったSalyuが登場し、観客は大きな拍手で迎える。ライブはゆったりとしたビートの上でSalyuが伸びやかに歌唱する「共鳴(空虚な石)」でスタート。彼女はささやくような歌い方から、会場全体を包み込むようなダイナミックなボーカルまでを巧みに使い分け楽曲を展開していく。
2曲目には3拍子のバンドサウンドと複雑な符割のボーカルがポリリズミックな響きを生み出す「エロティック」を披露。続く「landmark」ではメランコリックなシンセパッドとともに抑制されたシリアスな歌声が響き、ここまでの3曲で場内には神秘的な空気が漂った。しかし「landmark」がフィニッシュするやいなやホールはまばゆい白色の照明に包まれ、Salyuはアッパーなロックナンバー「イナヅマ」を投下。力強く爽快なボーカルとスピード感のあるバンドサウンドによって会場には一気に高揚感がもたらされ、手拍子も巻き起こった。続いてドロップされた「風に乗る船」ではSalyuがステージの前方を自由に動きながら歌い、観客のテンションはさらに高められていく。
ここでSalyuはツアー最終公演を迎えられたことへの感謝を来場者に告げ「おかげさまでSalyuとして10年間活動を続けてくることができました。今日は10年前にデビューしたときから私のことを支えてくださってきたミュージシャンの皆さんとステージに立つことができました」と、バンドメンバーのあらきゆうこ(Dr)、名越由貴夫(G)、ヤマグチヒロコ(Cho)、キタダマキ(B)、
MCを経て、ヤマグチとの息の合ったハーモニーが際立つ軽快な楽曲「Dramatic Irony」と雄大なバラードナンバー「VALON-1」を届けると、Salyuを含むメンバーはステージから一旦退場。ステージ上に設置された多数の円形パネルには宇宙空間や都市、機械などを連想させる映像作品が投影された。
映像のインターバルを挟み、Salyuはグリーンのドレスから白色のかわいらしい衣裳に着替えて登場。予告通りアルバム「Android & Human Being」の1曲目に収録されている「先回りして 1」で、2部のアルバム再現ライブが幕を開けた。ファニーなピアノのリフレインが印象的な「非常階段の下」では、「先回りして 1」の包み込むような声とは対照的な淡々とした歌唱が行われる。Salyuはあるときはステージ中央の椅子に腰掛けながら、場面によってはステージ上を自由に移動したりメンバーと向き合ったりしながらパフォーマンスを展開。「リスク」でクールなボーカルを披露したかと思えば、「心の種」では小林のピアノ伴奏と1対1でオーガニックな楽曲を柔らかく紡いでいった。
さらにSalyuとメンバーは、サイバーなバンドサウンドとともにアグレッシブに歌う「有刺鉄線」、再び子守唄のような温かい歌を届ける「先回りして 2」という振り幅のある楽曲を次々に繰り出しながらも、巧みなアンサンブルと彩り豊かな歌で会場を魅了していく。「フェスタリア」「カナタ」「THE RAIN」「希望という名の灯り」とダイナミックなナンバーをノンストップで投下したのち、「先回りして 3」では優しい歌声と無機的なリズムトラックの融合を聴かせた。そして本編最後のナンバーとしてアルバムのラストトラック「アイニユケル」を豊潤なバンドサウンドとともに演奏。「Android & Human Being」の完全再現を終えると、Salyuは「どうもありがとうございました」と告げさっそうとステージを去った。
アンコールの拍手に応えて再びステージに現れた彼女は今回のツアーのコンセプトなどを改めて語り「好きな歌をこんなふうに続けられるのも、皆さんが『Salyuのライブどんなだろう?』って興味を持って足を運んでくださるから実現できることです。今日もさまざまな自分なりの挑戦をさせてもらいました」とオーディエンスへの感謝を丁寧に述べた。メンバーをステージに呼び込んだSalyuは観客に向け「皆さん1人ひとりのますます豊かな人生の幸せを願って」と語り、アンコール1曲目に「Lighthouse」を披露。大らかなバンドアンサンブルと歌唱で会場を包み込む。そして小林以外のバンドメンバーがステージから去ったあと、ラストナンバーとしてピアノ伴奏のみで歌われたのは「to U」。Salyuは語りかけるようなボーカルに時折エモーショナルな熱を帯びたロングトーンを織り交ぜ、緩急豊かな歌を小林のピアノとのコンビネーションで届けた。緩やかなリタルダンドとともに最後の曲を終えたSalyuはもう一度バンドメンバー1人ひとりを紹介し「本当にありがとうございました。またお会いできますように」と観客への感謝をにこやかに語り、ツアー最終公演の幕は閉じた。
Salyu「Salyu Tour 2015 Android & Human Being」
2015年6月19日 NHKホール セットリスト
01. 共鳴(空虚な石)
02. エロティック
03. landmark
04. イナヅマ
05. 風に乗る船
06. Dramatic Irony
07. VALON-1
08. 先回りして 1
09. 非常階段の下
10. リスク
11. 心の種
12. 有刺鉄線
13. 先回りして 2
14. フェスタリア
15. カナタ
16. THE RAIN
17. 希望という名の灯り
18. 先回りして 3
19. アイニユケル
<アンコール>
20. Lighthouse
21. to U
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【Salyu】ナタリーにてSalyu Tour 2015 「Android & Human Being」最終日 東京公演@NHKホールホールのライブレポートが掲載されました!是非チェックしてみてください!http://t.co/YoKeXx4qp6