彼らとの別れを惜しむように、会場には多数のファンが集結。ホールのロビーエリアには国内外のファンから贈られた花も飾られ、華やかな空気に包まれていた。開演時刻を迎えると場内が暗転し、ステージいっぱいに大聖堂をイメージさせる映像が投影される。続けてドラムセットの後ろに設営された巨大な観音扉が開き、メンバーが順番に登場。悲鳴のような歓声が上がる中、ViViDのラストライブはこの日にふさわしい「From the beginning」で幕を明けた。
5人はベスト盤「ViViD THE BEST」の楽曲を中心にしたセットリストをもとに、集大成的なライブを展開。序盤は「THEATER」や「RED」などアグレッシブなナンバーで固め、オーディエンスの熱狂を煽っていく。前半戦のハイライトとなったのは、シン(Vo)の「俺たちの始まりの歌!」という紹介から続いたデビュー曲「Take-off」。イントロが奏でられた瞬間にうれしそうな声が沸き、曲の途中では観客の大合唱が発生する。シンはその声を受け止めるように、両手を広げながら熱唱した。なお「Take-off」が始まるまでは少し硬い表情だった5人だが、次第に表情が和らぎ、RYOGA(G)とRENO(G)が向かい合ってギターを鳴らすなどプレイも伸び伸びとしていく。ファンへの感謝の思いを歌詞につづった「Thank you for all」では、メンバーは愛おしそうな表情を浮かべながらパフォーマンスを繰り広げた。
開演から1時間が経った頃、この日初めてのMCがスタート。シンは「今日は僕たちのライブに足を運んでくれてありがとうございます」と挨拶すると、「今日までしっかりViViDをやってきてよかったなって。すごい景色ですね」と客席を見渡す。さらに「もっともっと1つになれるよね? もっともっといい景色作ろうぜ!」と呼びかけ、「夏風~endless love~」でさわやかな空気を客席に送り込んだ。またシンの「俺たちが歩んできた道を一緒に感じあおう!」という言葉から続いた「Winding Road」では、シンとRENOが背中合わせになりながらパフォーマンスするなどメンバーの仲の良さをうかがわせる場面もあった。そして本編の後半は「vanity」や「risk」といった激しいロックチューンが連投され、会場のボルテージが最高潮に達したままアンコールへ流れた。
熱烈なアンコールに応え、ツアーTシャツに着替えて再登場したメンバーは1曲目として初の日本武道館公演の際にファンのために作られた「message」をプレイ。シンは「武道館ライブのときに精一杯のありがとうを込めて作った曲ですが、今ならそのときよりも伝わると思います」と語り、丁寧な演奏に乗せて穏やかに歌い上げた。その後、「FAKE」「Distance of mind」「J-guild」といったアッパーチューン3連発で本編を超える熱狂の渦を会場に生み出した5人。楽しげにパフォーマンスを披露していた彼らだったが、最後のMCでは全員の目に涙が浮かぶ。イヴ(B)は言葉を絞り出すように「結成した頃は根拠のない自信があって、5人ならずっと一緒にいられると思ったけど、やっていくうちに変化というか進化があって……」と心境を吐露し、自分たちが目指していたステージがこのラストライブで実現できている充実感を明かす。RYOGAは嗚咽をこらえながらメンバーやファンへの思いを明かし、「今まで本当にありがとう」と口にした。
Ko-ki(Dr)はタオルで目頭を押さえながら、「メンバーと出会って、大切なものと出会えて……最後、こんなきれいな景色を見られてめっちゃ幸せだなって。叶わなかった夢もあったけど、それ以上に大切なものが見つかった」「この6年間が青春だったのかなと思います。これからメンバーは違う道に進むけど、前向きな決断だしViViDをやってすごくいい経験ができて。今日のことは一生忘れません」と述べる。RENOは「正直俺はまだ(解散する)実感がなくて……」と複雑な心境を明かしながらも、「このどうしようもない、自由気ままな俺たちを愛してくれてありがとうございました」と語った。シンは目を潤ませながら、解散が決まったときに自分自身と向き合ったことを明かし、「命が尽きるまでずっと歌い続けたいです。歌うために生きていきたいです。そう思わせてくれたファンのみんな、ViViDのメンバー、スタッフの皆さんホントにありがとうございました」とこれからも歌い続けることを誓う。さらに「今日を乗り越えて、しっかり明日を進もう。こんなちっぽけな俺らだけど、みんなに新しい世界を見せます」と「Good Morning World」につなげる。それまで気丈に振る舞っていたイヴだが、曲の途中で座り込んだままベースが弾けなくなり、RYOGAがそれを支え、再び立ち上がらせる場面も。その姿は観客の涙を誘い、改めてこの日がラストライブであることをオーディエンスに印象付けていた。
ダブルアンコールにも応えた5人は、シンの「一緒に歌ってくれますか? 僕らがViViDとしての道を歩み始めたそのときにこの曲ができて、すごく大切にしてきました」という言葉に続いて「Dear」を熱演。サビではオーディエンスの合唱が会場いっぱいに響き、メンバーを優しく包み込んでいく。その後、ドラムセットの前で円陣を組み手を重ねた5人は、「セイッ!」と気合いを入れるとデビュー曲「Take-off」を再びパフォーマンス。「この場所がViViDに関わってくれた人にとって新しい始まりになりますように!」とシンが叫ぶと、オーディエンスはその言葉に笑顔と大きなシンガロングで応えた。
全30曲のパフォーマンスを終えた5人は、ステージの中央に集まり改めてファンに感謝の思いを伝える。シンは「かけがえのない6年間でした」と述べ、RENOは「ホントにみんなは俺らの宝物です。愛してます。ありがとうございました!」と叫ぶ。オーディエンスとともに一斉にジャンプをして会場を揺らしたあと、5人はドラムセットうしろの巨大な扉の前に。そして大きな拍手と歓声を浴びながら、メンバーは扉の向こうへと1人ずつ消えていった。
なお昨日のライブの模様は、5月22日(金)21:30よりWOWOWにて放送される。5人のViViDとしての最後の勇姿をオンエアで確かめよう。
ViViD「ViViD LIVE TOUR 2015 THE BEGINNING of THE END FINAL『CROSSING OF THE DREAM』」
2015年4月29日 パシフィコ横浜国立大ホール セットリスト
01. From the beginning
02. 「夢」~ムゲンノカナタ~
03. THEATER
04. RED
05. OVER THE LIMIT
06. BLUE
07. 悪女♂トリッキー
08. Take-off
09. キミコイ
10. 天音
11. LETTER
12. 夏花
13. Thank you for all
14. 夏風~endless love~
15. PRECIOUS
16. Bright red garden
17. Winding Road
18. Little Dreamer
19. The Devil whispers
20. vanity
21. risk
22. RIDE on time
<アンコール>
23. message
24. FAKE
25. Distance of mind
26. survive
27. J-guild
28. Good Morning World
<ダブルアンコール>
29. Dear
30. Take-off
WOWOW「ViViD LIVE TOUR 2015 THE BEGINNING of THE END FINAL『CROSSING OF THE DREAM』」
2015年5月22日(金)21:30~
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ViViD解散ライブでファンに感謝
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