清春(Vo)と人時(B)は、スモークや火柱といったステージ演出に導かれ黒い衣装で登場。「FAKE STAR」で荒々しく疾走感のあるスタートを切り、続けて「13 new ache」とニューアルバム収録曲「I HATE YOUR POP STAR LIFE」を演奏する。人時は髪を左右前後に振り乱しながら5弦ベースを弾き、清春も艶かしいボーカルで歌い観客を煽った。
名曲を連発しながら「ノッてきた」とテンションを徐々に上げていく清春。「解凍実験」では背後で火柱が上がる中絞りだすような叫び声を聞かせ、「カマキリ」ではゆっくりステージを端から端まで横断しながら武道館中のオーディエンスを挑発した。ほぼすべての楽曲に対し手を挙げ合唱するオーディエンスを見るべく、彼がスタッフに観客席側の照明を点けさせるという一幕もあった。
後半はハードなナンバーを立て続けに演奏。「Suck Me!」でマイクスタンドをフォトピットに投げたり、続く「C.Y. HEAD」では客席に向かって水を撒いたりと清春のアクションも大胆になっていく。彼がすがるようなアクションで身を震わせながら歌った「後遺症-aftereffect-」では大きな爆発音による演出も加わり、ステージ上の過激さは増すばかり。そして火薬のにおいが残る中で清春の絞りだすような絶叫とともに「Sick」がプレイされ、扇情的なベースリフと激しいビートによって本編はエンディングを迎えた。
アンコールではPlayStation3、PlayStation Vita用ソフト「戦国無双4」タイアップ曲で3月リリースの「Reverb」を披露。ヘビーな低音のうねりとメロディックな旋律が折り重なったこの曲を演奏後にメンバーがステージを去ると、ステージ両脇のスクリーンには百合の映像が映し出される。スピーカーからは1994年発表のメジャー1stアルバム「迷える百合達~Romance of Scarlet~」オープニング曲の「開化の響」が流れた。しばらくして再び登場した彼らはすぐさま「棘」、そしてイントロが聞こえた瞬間悲鳴にも近い歓声が起こった「for dear」とアルバムの曲順に沿って2曲をプレイ。続く楽曲も1995年リリースの「Miss MOONLIGHT」というクラシックナンバー連発でアンコールは幕を閉じた。
再度のアンコールで現れた清春は「解散した日、復活した日……今まではこの日付を大事にしてきたんですけど、今日で僕らの1.29は終わります。復活したときの黒夢のイメージや幻想を追いかけるのは終わり」と、昨年末のライブで「今回が最後の武道館」と発言した真意をファンに伝える。そして2人の今後については「僕と人時は、別々にも一緒にも音楽をやっていく。すべて思いつきで、その時に目が合って気が合えばやりたいことをやる。それは黒夢かもしれないし、黒夢じゃないかもしれない」と自由に活動していくことを宣言した。
「その場その場でカッコいいと思ったことをやるだけ」という言葉を告げた彼らはそのまま再始動後初のシングル「ミザリー」を披露し、シームレスに「少年」のギターの音色を響かせる。演奏後にメンバーが舞台を去った後で再度アンコールを求める声が客席から上がる。そしてメンバーが3度目のアンコールに応えて登場し、ラストチューン「Like @ Angel」を客席からの合唱も交えて熱唱。清春は「さよなら武道館!」と咆哮し、興奮に満ちた武道館公演の幕を下ろした。
なおこの公演の模様はWOWOWライブで3月16日(土)にオンエアされる特集企画「黒夢 20th Special」内で放送される。当日は19:45から「黒夢ヒストリー」と題し過去のライブやビデオクリップなどを、21:00から武道館ライブの映像をオンエアする。
そしてこの公演で披露された新曲「Reverb」は3月26日にリリースされる。今作は3形態での展開となり、初回限定盤にはこの楽曲のビデオクリップとPVメイキング映像を収めたBlu-rayが同梱される。
黒夢コメント
2014年1月29日
武道館での黒夢が終わりました。
黒夢にとっての1月29日という日付は今回で最後になります。
15年前の1月29日、我々は地元に近いライブハウスでの活動休止を選択しました。
10年後、我々の再会の舞台として選ばれていたのは武道館でした。
5年間、今日と同じ1月29日のことです。
我々はその後、同志とも呼べる友人の死を境に黒夢に新たな生命を宿らせる意義を感じスタッフと共にあたり前のように活動休止当時の黒夢の影を形を、そして1月29日という日付を追い、新たな楽曲やサウンドも我々自身と調和させながら提案していました。
過去を互いに思い出し今存在する意味を常に問いながら我々が作った黒夢の歴史をイメージし時には楽しみ、遂に昨日で5年が経過した事になります。
そしていつしか我々は過去に一度崩壊させてしまった5年間と等しいこの年月をかけて全く澱みの無いふたりの関係性を取り戻していました。
清算するのには同じ時間が必要だという確信もいつからか感じられていました。
ファンの人達、気がついていた人もいるかもしれません。
僕らは今日を区切りに脱却をします。
恐らくこの5年間は我々がいかに過去の黒夢を追い、いかに泥を塗れるか、と同様にどれだけバンド幻想を傍観していられるかの日々であったようにも思います。
そして黒夢にはやはり二度目の再現は無く、だけど我々は何度でも生まれ変わるんだと感じる事が出来ています。
デビュー20周年を目前に復活から丸5年後の今日、我々はまた共にロックンロールを鳴らす為にこれまでの過去から離脱します。
我々と黒夢はゼロに戻ります。
2014年1月29日 清春、人時
黒夢「黒と影」2014年1月29日(水)東京・日本武道館 セットリスト
<SE(~ZERO~)>
01. FAKE STAR
02. 13 new ache
03. I HATE YOUR POP STAR LIFE
04. SPOON & CAFFEINE
05. BARTER
06. 解凍実験
07. カマキリ
08. MIND BREAKER
09. Can't see yard
10. ~BASS SOLO~
11. Gossip
12. ゲルニカ
13. アロン
14. MASTURBATING SMILE
15. Suck me!
16. C.Y. HEAD
17. CANDY
18. 後遺症-aftereffect-
19. Sick
<アンコール>
20. Reverb(新曲)
<SE(開化の響)>
21. 棘
22. for dear
23. Miss MOONLIGHT
<ダブルアンコール>
24. ミザリー
25. 少年
<トリプルアンコール>
26. Like @ Angel
WOWOWライブ「黒夢 20th Special」
<黒夢ヒストリー Live&Music Video Collection>
2014年3月16日(日)19:45~21:00
<黒夢 LIVE 2014 黒と影>
2014年3月16日(日)21:00~22:45
黒夢「Reverb」収録内容
CD
01. Reverb
02. タイトル未定(CD+DVD盤のみ他の仕様と別の楽曲を収録)
DVD
01. Reverb(Music Video)
初回限定盤Blu-ray
01. Reverb(Music Video)
02. Reverb(Music Video Making)
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