40mP「虹オケ」大宮公演で2500人が魔法のロボットを目撃

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40mPの楽曲をバンド、ストリングス、ブラス隊と7人の歌い手によってパフォーマンスする同人ライブイベント、「虹色オーケストラ」の第3回公演が12月29日に開催され、会場となった埼玉・大宮ソニックシティ大ホールに約2500人のファンが集まった。

「虹色オーケストラ」大宮公演のカーテンコール。

「虹色オーケストラ」大宮公演のカーテンコール。

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今回のライブは過去の2回の公演とは趣を変え、演奏の合間に子役や役者たちの演技を織り交ぜるという新しい試みを採用。NHK「みんなのうた」にボカロ曲として初めて採用された40mPの楽曲「少年と魔法のロボット」をモチーフに、自分に自信が持てず人前で歌うことができない少年と、そんな彼のために博士が作り出した女の子型ロボットの物語が描かれた。その脚本と演出、および演奏曲のアレンジは事務員Gが担当。歌い手は前回の神戸公演に引き続き、天月、千穂(えいちぴよこ)、伊東歌詞太郎、Φ串Φ、clear、that、シャノの7人が参加した。

ステージの幕が開いてナレーターによってプロローグが語られた後、伊東歌詞太郎のボーカルによる「夢地図」からライブがスタート。これから紡がれる物語のオープニングテーマさながら、壮大な世界に駆け出していくように、美しいストリングスに乗せて伸びやかな声が響く。またthatが歌った「東京の真ン中で寝転ぶ」ではブラス隊によるゴージャスなサウンドで弾けるようなテンションのパフォーマンスを展開。「シリョクケンサ」ではダンサーも登場し、clearの歌に合わせて華麗な踊りを繰り広げる。歌い手たちにはそれぞれテーマカラーが設定されており、照明や観客の持つサイリウムの光は曲によって色を変えた。

演奏とともに物語は進み、人前で歌うことができず悩む少年のために博士が作った、少年の代わりに歌を歌ってくれるロボットの女の子がここで登場。少年がスイッチを押すと、ロボットはバンドの生演奏に合わせてGUMIの声で「少年と魔法のロボット」を歌い上げる。少年は博士の薦めで、このロボットとともに街の一大イベントである音楽会に出演することを決意。まだ言葉を知らないロボットに少年が挨拶を教えるシーンでは、シャノが優しく語りかけるように「コトバのうた」を歌ったりと、役者たちの演技に合わせて楽曲が披露されていく。

音楽会本番、ロボットがステージに立つことを知った街の人々が「それじゃテープレコーダーを流しているのと一緒じゃないか!」と少年を非難するシーンでは、ロボットの歌声という体で千穂(えいちぴよこ)が「Melody in the sky」を熱唱。パワフルに歌い上げる千穂の振り付けがロボット役の女の子の動きとシンクロする。物語の中では、最初は怪訝そうに観ていた街の人々もその歌を聴いて沸き上がり、少年は一躍街の人気者に。ライブではΦ串Φ、clear、thatの3人が「Smile again」で楽しそうに掛け合いを繰り広げ、千穂は満天の星空をバックに「キミボシ」を披露。clearは事務員Gのピアノとストリングスをメインにしたバラードアレンジでしっとりと「ジェンガ」を歌った。

物語は5年後に進み、成長した少年は音楽家としての成功を収めていた。もうすっかりロボットに歌わせることもなくなってしまった少年は、ロボットを置いて都会に出ていくことに。博士はずっと少年に言い出せずにいたが、実はロボットのバッテリーは5年しか持たず、ロボットが動かなくなる日が迫っていた。そんな流れの中でスタートした「からくりピエロ」では、ダンスホール風のステージでフォーマルにドレスアップした伊東歌詞太郎が登場。バンドメンバーがソロを回している間、ダンサーとともに伊東もステップを披露する。伊東はその後にも、天月とのデュエットで「タイムマシン」を歌唱。2人の力強いハーモニーが観客を一段と盛り上げる。

ロボットが少年に歌を送るシーンでは、7人の歌い手が全員登場して「少年と魔法のロボット」を合唱。さらにノンストップで「ドレミファロンド」が始まると、歌い手たちのステップにあわせて客席からは盛大な手拍子が沸き起こり、ハッピーな雰囲気の中で物語は終幕した。カーテンコールでは大喝采の中、40mPが「『ありがとう』以上の言葉が出てこないです」と観客に向けて感謝の言葉を述べ、さらに「この公演のために、私と同じかそれ以上に情熱を注いでくれた人」として事務員Gを紹介。マイクを渡された事務員Gが「皆さんが年末の忙しい中に足を運んでくださったということは私たちの責任でもあります。その責任を背負った人たちが束になってがんばって、今日は皆さんの時間を作ることができて幸せです」と挨拶した。

終演後「幕が閉じるまでの3分間のみ、ステージの写真を撮っても構いません」というアナウンスが流れ、会場は騒然。この日の感動を写真に残そうと無人のステージに向けて観客が一斉にカメラを向ける。またステージを背にして記念写真を撮影する人々の姿もあった。幕が閉まるとさらに、40mPと事務員Gからの手紙が出口で来場者に配られることがアナウンスされ、会場中から喜びの声が。客電が付くと観客から、すべての出演者やスタッフに対して惜しみない拍手が贈られた。

なお今回の追加公演として3月1日に神奈川・よこすか芸術劇場でも「虹色オーケストラ」が開催されることが決定。イベントのオフィシャルサイトでは1月6日18:00まで先行予約の受付が行われている。

「虹色オーケストラ」2013年12月29日(日)埼玉県 大宮ソニックシティ大ホール セットリスト

01. 夢地図 / 伊東歌詞太郎
02. トリノコシティ / 天月
03. 東京の真ン中で寝転ぶ / that
04. シリョクケンサ / clear
05. キリトリセン / 千穂(えいちぴよこ)
06. 少年と魔法のロボット / GUMI
07. 妄想スケッチ / 天月
08. コトバのうた / シャノ
09. Step to you / that
10. 巨大少女 / シャノ
11. Melody in the sky / 千穂(えいちぴよこ)
12. Smile again / Φ串Φ、clear、that
13. キミボシ / 千穂(えいちぴよこ)
14. ジェンガ / clear
15. 千年橋と影法師 / Φ串Φ
16. からくりピエロ / 伊東歌詞太郎
17. 春に一番近い街 / シャノ
18. タイムマシン / 天月、伊東歌詞太郎
19. 少年と魔法のロボット / 全出演者
20. ドレミファロンド / 全出演者

「虹色オーケストラ」大宮公演メンバー

ボーカル:天月 / 伊東歌詞太郎 / Φ串Φ / clear / that / シャノ / 千穂(えいちぴよこ)
ピアノ:事務員G
アコースティックギター&コーラス:40mP
ギター:[TEST] / 三代ギター魂
ベース:mao
ドラム:ショボン
キーボード:中前"timo"智彦
パーカッション:あつし
指揮:松田怜
サックス:丹沢誠二
コーラス:コンコン
ストリングス&ブラス:国立音楽大学の皆さん
ダンス:みうめ / めろちん / RiE

虹色オーケストラ

2014年3月1日(土)神奈川県 よこすか芸術劇場

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なかまさゆみ @kinoko_zip

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