葉山翔太

私と音楽 第34回 [バックナンバー]

葉山翔太が語る女王蜂

アヴちゃんにはなれないけど、女王蜂の音楽で強くなりたい

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人間を捨ててライブをしている

実は人生で初めて観に行ったバンドのライブが、2019年のZepp DiverCity公演(2019年7月開催「全国ツアー2019 『十』 -火炎-」の東京公演)で。友達と行ったのですが、めちゃくちゃ楽しかったですね。バンドのライブは初めてだったのでマナーや後ろのエリアからの見え方など、不安なこともあったのですが、いざライブが始まったらステージの上の女王蜂に意識を持っていかれて、夢中でジュリ扇を振っていました。前にアヴちゃんが「曲作りでは対話を意識している」とおっしゃっていたんですけど、ライブを観たら納得しました。

遠い存在ではあるんですけど、ライブではそれを感じないというか、女王蜂のほうから距離を詰めてきてくれているような感覚があって。あと女王蜂のすごいところが、曲ごとに表現しているものや、音に乗っている感情がライブのたびに生き物のように違うところ。だからこそ生のライブって楽しいんだなと思いました。Zepp DiverCityでライブを観たのが、ちょうど自分自身も「ヒプマイ」で何度かライブをやったタイミングだったので、生の音楽の強さやエネルギーに触れてみたいと思って足を運んだ部分もあるのですが、見事にやられましたね。女王蜂のライブに刺激を受けて、僕もライブでは音源とは違うものを表現したいと思うようになりました。

アヴちゃんって本当に人間を捨ててライブに臨まれているように僕の目には映るんです。特に驚いたのが、アヴちゃんが「ステージ上では水を飲まない」とおっしゃっていたこと。本当に人間を超越した存在だ……と思いました。こちらからすると、ライブでは女王蜂に血と肉を分けてもらっている気持ちになります。あと、実はこの取材が決まったのとほぼ同時に次のホールツアー(2023年11月から3月にかけて行われる「十二次元+01」)のチケットが当たったんですよ(笑)。「qb radio」(女王蜂のWebラジオ)でアヴちゃんもおっしゃっていましたが、「十二次元」というアルバムがライブでどのように表現されるのか、めちゃめちゃワクワクしています。

驚きの連続だった「犬王」

犬王」(2022年5月に公開されたアヴちゃん主演のアニメーション映画)は公開されてすぐに観ました。森山未來さん演じる友魚と、アヴちゃん演じる犬王の歌声とセリフに自然と体がノっていって、アヴちゃんは本当に犬王そのものでした。僕が観に行ったときはまだ応援上演がやっていなかったのですが、それでも2人の歌声に乗せて手や足が自然と動いちゃいました。ライブと言えばライブだし、芝居と言えば芝居だし、不思議な体験でしたね。中でも劇中歌の「鯨」が特に印象に残っています。夕方の街で流してほしいな。仕事帰りで疲れた人たちが、きっとみんな朗らかな気持ちになると思うんです。終盤の「竜中将」では、もう犬王がフレディ・マーキュリーに見えました。あの時代に「犬王」で描かれたようなロックな音楽があったとしたら、その当時暮らしていた人たちはどうなっていたんだろう?と想像が膨らみましたね。「犬王」には元気をもらいましたし、役者としても新しい発見があって、本当に驚きの連続で。あと試写会か何かでご本人がおっしゃっていたんですけど、アヴちゃんが平家の末裔ということにもびっくりしました(笑)。

「犬王」劇中歌「竜中将」歌詞付き映像

アヴちゃんは2次元の存在

アヴちゃんがプロデューサーを務めたオーディション番組「0年0組 -アヴちゃんの教室-」の課題曲「Mr.FORTUNE」と「RONDO」が本当に素晴らしくて。特に「RONDO」はアヴちゃん先生から「0年0組」の生徒へのとてつもない愛だなと。「qb radio」でアヴちゃんが「素直な人が好きだ」とおっしゃっていましたが、合格したメンバーからなる龍宮城を含む「0年0組」の生徒の方たちは、素直な子たちばっかりだったんだろうなと感じます。「0年0組」はただのオーディション番組ではなかったというか、生徒の魂を成長させる番組だったんだろうなと。自分が10代だったら生徒になってみたかったですね。あそこにいたらどんな体験ができたんだろう、自分はどこまで残れたんだろうかって。

番組のオープニングでアヴちゃん先生が言う「地獄へようこそ」という言葉が印象的でした。これから学ぶ生徒たちになんてことを言うんだと(笑)。でも先生として教壇に立たれているアヴちゃんは、生徒たち1人ひとりにしっかり向き合っていたし、自分自身が発する一言ひと言にすごく責任を持っていたように感じました。オーディションって、ジャッジする側も本当に疲れるし、大変なことだと思うんです。生徒1人ひとりの将来がかかっている状況で、アヴちゃん先生自身も毎回心をすり減らしながらやっていたんじゃないかな。以前アヴちゃんがご自身について、怖いイメージを持たれることが多いと言っているのを聞いたことがあるんですけど、僕は最初から温かいイメージがあって。「0年0組」では厳しい一面もありましたが、その奥にある温かさを感じました。

「0年0組 -アヴちゃんの教室-」#1

アヴちゃんは……僕にとっては物語の登場人物みたいな存在で。実在している方ですけど、あまりにもパワフルで、“限界突破”している存在なので。ある意味2次元というか。アヴちゃん自身がアヴちゃんという存在の作者でもあり、演者でもあるみたいなイメージです。

実は「ヒプマイ」のとある番組の収録の際に、たまたまアヴちゃんと楽屋が同じ階だったことがあって、後ろ姿だけ拝見しました。ご挨拶なんておこがましいというか、想像しただけで本当に緊張して無理です……。「ヒプマイ」のEPという同じ作品のクレジットに名前が並んでいるだけでニヤけてしまいます。ただ、僕は歌うことが大好きなので、もしいつか自分が曲を出せることになったら、アヴちゃんに楽曲提供のオファーをできるといいなと思っています。そのためにも、これからも女王蜂の音楽を聴いて自分を強化して、仕事をがんばっていきたいと思います。

プロフィール

葉山翔太(ハヤマショウタ)

11月15日生まれ、山口県出身の声優。代表作はテレビアニメ「美男高校地球防衛部HAPPY KISS!」(道後一六役)、テレビアニメ「REVENGER」(惣二役)、特撮テレビドラマ「ウルトラマンタイガ」(ウルトラマンフーマの声を担当)、音楽原作キャラクターラッププロジェクト「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-」(波羅夷空却役)など。

バックナンバー

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読者の反応

葉山翔太 @H_shota_axl

僕なりの好きをお話しさせて頂きました!
女王蜂もアヴちゃんも龍宮城も観て聴いて、いろんな刺激頂いています。
叫んで生きてみたい。 https://t.co/KiXh4XnS6y

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