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店長たちに聞くライブハウスの魅力 番外編2 [バックナンバー]

あれから2年、ライブハウスの状況はどう変わったのか?全国13店舗の店長に改めて聞いた

以前のようにライブを楽しめるその日まで……店長たちが行った施策や抱える思いとは

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奈良・奈良NEVER LAND 奥田レオナ氏

(参照:連載第17回 奈良・奈良NEVER LAND|人口減少が進むローカル都市で、間口を広げた経営を志す)
※ 前店長の向井真吾氏が退職したため、現副店長の奥田氏にアンケートを実施

奈良・奈良NEVER LANDのロゴ。

奈良・奈良NEVER LANDのロゴ。

現在の状況

当店ではわりと早い段階で、イベントの本数自体は帰ってきました。 キャパシティの制限などの影響はありますが、ご贔屓にしていただける皆様のおかげで月に20本前後、毎回イベントが開催できていると思います。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

関西の隣接県が軒並み、緊急事態宣言やまん延防止措置の影響でアルコール類の提供を停止したり、時短営業を余儀なくされている際に、奈良県ではそういった指示はほぼなされなかったので(一部時短営業申請があった程度)、ライブハウスや夜の遊び場を求めている皆さんが集まり、すごい熱量のイベントが何度もありました。

この2年の間に新たに行った経営施策

最初に行った施策はアパレル業でした。近隣のショップや県内のプリント業者、ブランド、デザイナーとコラボレーションを行い、文化的に近い人たちとどんどんグッズを制作しました。少しリリースのペースは落ちましたが、いまだに街でネバーランドのグッズをみかけることが多いです。並行して、音響スタッフの寺本が中心となり撮影・配信のチームを立ち上げました(参照:FeedBacK(@feedback_nl)|Instagram)。現在ではMV制作やイベントの撮影、配信業務を中心に承っています。ネバーランド内でも生配信ライブや収録ライブのプラットフォームをSTUDIO MORGの門垣さん主体で提案していただき、現在も本数は少ないですが運営中です。ほかにもカレーの配送をスタッフの高原中心で始めたり(現在は店舗営業のみ)、バースペースを拡充してイベント以外の営業を試みたりと、本当にいろいろな人たちのお力添えをいただきチャレンジさせていただいた2年間でした。

現状を踏まえての展望や要望

とにかく遊びにきていただければ、今のネバーランドの面白さがわかっていただけると思います。ライブハウスは「守る」場所ではなく「遊ぶ」場所だと思っているので、変な責任感や、価値観は気にせず、いろいろな音楽が好きな人がフラットに遊べる場所になっていければと思います。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

マイナスなイメージも先行しますが、僕自身としてはよかったことが多かったと思います。今まで交わることのなかったジャンル同士のアーティストが交わったり、アンダーグラウンドのカルチャーがオーバーグラウンドの人たちの折れかけた心を救った場面を何度も目撃しました。去ってしまった人たちもたくさんいますが、より深いところでライブ業界がつながり合ったと思います。

ライブハウスを愛する人へ

全国の大好きな数々のライブハウスに負けず劣らずネバーランドも楽しくなってきています。奈良県に来ていただいた際にはぜひお立ち寄りください。1杯飲むだけでも楽しめるはずです、お待ちしております!

徳島・club GRINDHOUSE 長谷川洋星氏

(参照:連載第18回 徳島・club GRINDHOUSE|徳島で個性派アーティストが生まれる理由)

club GRINDHOUSE店長の長谷川洋星氏。(撮影:南部聡一)

club GRINDHOUSE店長の長谷川洋星氏。(撮影:南部聡一)

現在の状況

イベントがほとんどなかった2年前に比べると、月によっては以前と変わらないライブ本数が入ってる月もあるので、運営という視点ではだいぶ戻ってきたように感じます。
が、感染対策の影響でいまだキャパは以前の1/3以下、まだまだライブハウスは危険な場所だというイメージも根強いので、以前はソールドアウトしてたようなアーティストでも1/3以下のキャパですらソールドしない公演が多く、経営という視点ではまだまだ先行きが見えません。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

2021年末に市内のホールを借り、ゲストも多数呼んでのイベントを行ったのですが、そのとき出演してくれていた地元バンド3組が自分たち発信でGRINDHOUSEにてスリーマンライブを行ってくれました。しかもソールドアウト! ちょうど規制緩和のタイミングでキャパが増えたこともあり、コロナ禍以降一番お客さんが入った日が地元バンド企画だったのも感慨深いですし、コロナ禍に入ってから活動を始めたバンドがほとんどだったのでこの2年が無駄じゃなかったな、と、地元の若いバンドたちに背中押された気分でした。

この2年の間に新たに行った経営施策

配信機材をそろえたので、学生のホールレンタルなど、集客しづらいようなイベントでは配信も行っております。また地元バンドのMV撮影なんかも始めました。2年前に比べてライブハウスでの配信ライブというのは非常に需要が減った感は否めないですが、せっかく機材もそろえたので、幼稚園や保育園、子供の習い事なんかの発表会とかに撮影、配信で伺えたらなーと動いております。

あと、ライブのない日にフロアを開放してバー営業も行ったりしてます。地元バンド同士の交流の場になったり、以前はあまり話すことなかったお客さんなんかとたくさん話す機会が増えました。バー営業自体の売上は微々たるものですが、今後につながっていくような、絆が深まっていってる実感はあります。

現状を踏まえての展望や要望

コロナ禍に入って、ライブハウス以外にも先行きが見えないような状況が続いたこともあり、以前より「今しかできないことを、今できることを精一杯やる」といった若者が増えてきたように思います。「ライブハウス=デビューへの登竜門」的なイメージも薄れてきて、ライフワークとして音楽活動を続けていく子たちも最近は多いです。
そんな若い子たちが世間に胸を張って遊びに来れるように、もっともっとカルチャーの発信基地としての地位を高めていきたい、と最近は強く思います。

なんで、遊びに来る子たちにも世間から後ろ指さされないように、「バンドマンだから」とか「ロックだから」を言い訳にせず、人としてカッコよくなってほしいです。

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

ここ数年は野外フェスやサーキットイベントの増加に伴って、少しバブル的な状況が続いてたように感じます。ので、コロナ禍に入った今が本当の業界の姿なのかな?と。
きっと業界全体が以前のように戻るというのはまだまだ先だと思いますし、それまでに各地域、各店舗ごとでの格差はドンドン広がっていくんじゃないかという不安はずっとあります。ので、振り落とされないように踏ん張っていきたい次第です。

ライブハウスを愛する人へ

いつも遊びに来てくれてる皆さん、本当にありがとうございます。まだまだ楽しいこといっぱいしましょうね。
最近は遊びに来れてない皆さん、まだまだ先は見えませんし、声を出せなかったり、距離を取ってたり、あの頃とずいぶん変わりましたが、それでもやっぱりライブハウスで過ごす時間は楽しいし、胸がドキドキする瞬間がたくさんあります。
また気が向いたらぜひ遊びに来てくださいね。

香川・DIME バンドーエイジ氏

(参照:連載第19回 香川・DIME|映画館をライブスペースに作り変え、香川アーティストの全国進出願う

DIME店長のバンドーエイジ氏。(撮影:南部聡一)

DIME店長のバンドーエイジ氏。(撮影:南部聡一)

現在の状況

元映画館DiMEは2022年3月21日の四星球ライブで終わり、新しい場所での再スタートライブイベントは、2022年3月26日に地元バンドの古墳シスターズから始まる予定でした。
ところが、開催前日に四星球も古墳シスターズもメンバーに体調不良者が出たため、両方とも8月に延期となってしまいました。。。厳しいですね~!
記念に残るイベントだと思っていましたので、残念でした。現在の経営も入場人数を絞っての営業なので、赤字営業ですね。シン・ダイムになってからキャパシティが増えたのですが、やはり間隔を空けての人数なのでつらいですね。家賃も上がりしましたし!!
でも、2021年に比べたらライブの数は増えてきた感じがします。

この2年間、ライブハウス内で起こった印象的な出来事

建物を解体するから出て行ってほしいと言われたのが、最大の出来事ですね。
新型コロナでこれから未来がどうなるかわからない中でしたので。。。
移転先を探すといっても、広いスペースや苦情が来ないところとか、ライブハウスを営業していく場所はいろいろハードルが高いですからね。現在の場所を見つけるまでに、1年2カ月かかりました。。。

この2年の間に新たに行った経営施策

配信ライブも少しはやったのですが、やはり映像では物足りない。
売り上げも少ないからスタッフ代を払えば赤字でした。
クラウドファンディングを勧められたけど、あまり好きではないので。。。
日本政策金融公庫から借金をしました、20年間払いでね!
あと、ライブハウスを支援する方からの寄付がかなり助かりました!
一生、頭が上がりません! ありがとうございました!

現状を踏まえての展望や要望

新型コロナウイルスから解放の出口がまだまだ見えない中、渾身の思いを込めて作った新しいライブハウスDiMEです。ぜひとも、皆さんに雰囲気を味わいに来てほしいですね!

コロナ禍を経て、ライブ業界の中で変わったと感じる部分

何があってもこの業界での生活を続けていきたいという気持ちが、ライブ業界の関係者から伝わってきますね!
皆さんの言葉や行動が励みになっております。

ライブハウスを愛する人へ

モッシュやダイブを経験したことがない若い方に、いろいろ教えてあげてほしいです。
ライブハウスの楽しみ方を、お客さんやバンドマンでつながって語ってほしいね!

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O₂ @rockdacypher

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