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ファンの店 第9回 バックナンバー

氷室京介の再始動を待ち望む炭火焼き鳥店

きてや 西武新宿店

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自らがファンであるという理由から、お店を好きなアーティストの色に染め上げてしまった“筋金入りの〇〇ファン”な店主たちがいる。ここには、同じアーティストのファンたちが全国から集まる。今回は中学時代からの一途な氷室京介ファンが営む炭火焼鳥店を紹介する。

取材・文 / 原智香 撮影 / 阪本勇

生き方に魅了されている

きてや 西武新宿駅前店が店を構えるのは、東京都新宿区歌舞伎町。同店はこの眠らない街で15年、朝5時まで営業を続けている。外観こそ氷室ファンの店主が営むお店とはわからないものの、店内には壁や天井を埋め尽くすほど氷室のポスターが貼られ、サイン色紙などたくさんのグッズが並んでいる。オープン当初は氷室グッズであふれていたわけではなかったが、来店客がプレゼントしてくれたポスターをお店に貼ったことがきっかけで現在のようにグッズを置くようになったそうだ。

店主の鳥越喜和さんは鹿児島県出身。お姉さんの影響で中学生のときに氷室京介を知り、高校で出会った同じ氷室ファンのクラスメイトと意気投合。一緒に何度もライブに足を運んだという。その後上京し30歳でこの店をオープン。その間は多忙だったこともありライブから足が遠のいていたが、2010年にひさびさに氷室のツアー「TOUR2010-11 BORDERLESS "50×50 ROCK' N' ROLL SUICIDE"」を観覧し改めて衝撃を受けたそうだ。以降再び氷室にハマっていき、2014年のソロ25周年記念ツアー「25th Anniversary TOUR GREATEST ANTHOLOGY -NAKED-」は全国20カ所で観たという気合いの入り具合。

氷室は「25th Anniversary TOUR GREATEST ANTHOLOGY -NAKED-」の山口公演で、活動の無期限休止を電撃発表した。「卒業を発表したときも、その場にいました。もう周りのファンは泣き崩れていて……忘れられないですね」。表立った活動がない現在も一途にファンでい続ける鳥越さんに氷室の魅力を聞くと、「存在そのもの、生き方」だと答えてくれた。

「もちろん声や見た目、存在がカッコいいんですけど、それだけじゃない。東日本大震災のときにはDVDの収益など約8億円を被災地に寄付したり、なかなかできないことをやってくれる。ライブ活動無期限休止の理由は耳の不調だったんですけど、それを発表するときも『35年やってきたプロとしての“矜持”がある』と丁寧に説明してくれて。内容もそうですけど、やっぱり言葉のセレクトもカッコいいですよね。2016年に開催された最後のツアー『KYOSUKE HIMURO LAST GIGS』では、大阪での初日公演からファンの反応を見てそれ以降のセットリストを変更し、ファンの期待に応えようとして。そういうところも氷室さんの魅力です」 

本格的な関西風料理と豊富な酒を囲んでファンたちも集う

お店がかつてない盛り上がりを見せたのは2016年「KYOSUKE HIMURO LAST GIGS」東京ドーム公演が行われた3日間。鳥越さん自身もライブ終演後急いで店に向かい、ライブ後の常連客とその日の話をつまみに朝まで飲む、という日々が3日続いたそうだ。

きてやでは、SNSで集まった氷室ファンとのオフ会をたびたび開催している。ときにはコピーバンドを組むファンが店内で歌声を披露することもあるという。お店での出会いがきっかけで結婚したカップルも何組かおり、鳥越さんが結婚式に参加したこともあるそうだ。

「氷室さんがきっかけで北海道から九州まで、全国からファンの人が来てくれるようになりましたし、従業員みんなで氷室さんのライブに行ったこともありました。今、ここが好きなものに囲まれて同じ趣味の話ができるお店になったのも氷室さんがいるからこそだと思うと、本当に僕の人生の中で氷室さんの存在は大きいです。ライブ活動を休止された今でもお客さんの2、3割が氷室さんのファンで、そういう方たちとの交流はなくならないですね」

きてやが自信を持ってオススメするのが、備長炭でじっくりと焼き上げた炭火焼き鳥だ。ほかにもほんのり甘い千切りのさつま芋フライが乗った、さつま芋のパリパリサラダ、とん平焼きなどの関西風料理も人気。そしてお酒の種類が豊富なことも店の自慢の1つ。鳥越さんの出身地である九州の焼酎をはじめ、全国の名酒がそろう。また予約すれば氷室京介ケーキやBOOWYパフェまで用意してくれる。

「わかる人にわかればいいなと思って、オムライスの上にケチャップで氷室さんのロゴを描いたりもしています。そういったちょっとした演出で喜んでもらえるとうれしいですね」

再始動を楽しみに生きてる

鳥越さんは最近「Star Fire」をよく聴いている。これは氷室のサポートメンバーを務めていたYukihide "YT" Takiyamaを中心としたプロジェクトチーム「GOSPELS OF JUDAS」が昨年発表したアルバム「IF」の収録曲だ。

「ライブ活動を休止する前の曲はお店で流しているのでいつも聴いているのですが、それでも心に穴が開いたというか、ちょっと何か足りないような気持ちのときにこの歌を聴きます。YTさんのサウンドに氷室さんを感じるというか……やっぱり氷室さんの新曲を聴きたいですよね」

インタビューの最後に、氷室がまた歌っている姿が観たいかと問うと、鳥越さんは少し考えてから「活動休止宣言からかなり時間が経っているので、耳の調子がよくなった、ということがあるかもしれないですよね。そうだとしたら1ライブくらい……という気持ちもありますけど、氷室さんは頑固で一度言ったことは曲げないタイプだと思うから、難しいかな(笑)。でも氷室さんとファンとの間には、氷室さんが還暦を迎える2020年までにアルバムを発表するという約束があるんですよ。氷室さんは必ず約束を守る方なので、今はそれを楽しみに生きてます。赤いちゃんちゃんこの代わりに赤い革ジャンなんかを着て歌ってほしいですね」と、今日一番の笑顔で答えてくれた。

※「BOOWY」の2つ目のOはストローク符号付きが正式表記

店舗情報

住所:東京都新宿区歌舞伎町2-45-4若月ビル1F
電話番号:03-3204-6320
営業時間:17:00~29:00(ラストオーダー28:30)
曲のリクエスト:可(混雑時不可)

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