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解説

今、進化を続ける盆踊りが面白い~大石始に聞くこの夏の10選

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今、盆踊りが面白い。

盆踊りはもともと先祖供養の意味合いを持つ地域の伝統行事として各地で続けられてきたが、高度経済成長期以降になると、地域振興や住民のレクリエーションを目的とする夏のイベントとして、新たな盆踊りが各地で始められるようになった。そんな盆踊りも近年はさまざまな融合が進んでおり、ポップスやアニソンで踊る盆踊りが注目を集めているほか、従来の伝統的な盆踊り文化に対しても再評価の気運が高まっている。

ここではそうした盆踊りの今を象徴する各地の盆踊りをピックアップ。野外音楽フェス登場以降の感覚で楽しめるものを中心に選んだが、いずれの盆踊りもあくまでも地域住民のためのもの。マナーを守って夏の夜を満喫したい。

文 / 大石始 撮影 / ケイコ・K・オオイシ

01. 中野区 大和町 八幡神社 例大祭 大盆踊り会(東京都中野区)

2018年7月21日(土)、22日(日) 東京都 中野大和町八幡神社

1056年(天喜4年)の創建が伝えられる中野区大和町・八幡神社の例大祭。ただし、出し物は櫓の上で繰り広げられるDJパフォーマンスやライブで、昨年は珍盤亭娯楽師匠らがDJプレイを披露したほか、シークレットゲストとして坂本慎太郎も出演した。今年の出演者は明かされていないものの、DJや実演のほか、ホコ天盆踊りなど気になる出し物も予定されている。中心的役割を担っているのは、近年盆踊りのアップデートを各地で行うスタディストで音楽家、岸野雄一。盆踊りの従来の魅力はそのままに、新たなスタイルも体験できるはずだ。

02. 第7回高島盆踊り大会 高島おどり(滋賀県高島市)

2018年7月28日(土)滋賀県 ローラン名小路

新たな盆踊りが各地で立ち上がる一方で、地方では若者の減少や地域コミュニティの崩壊などにより、存続の危機に直面している盆踊りも少なくない。琵琶湖の北西に位置する高島市で継承されてきた盆踊り歌「高島音頭」で踊られる「高島おどり」もその1つ。保存会の高齢化によって活気を失いつつあったが、今年に入って地元出身の若者や盆踊り愛好家によってクラウドファンディングがスタート。さまざまな企画が計画されているほか、その魅力が改めてアピールされている。盆踊り文化の未来のためにも大変意義のある試みだ。

03. おん祭 MINOKAMO 夏の陣(岐阜県美濃加茂市)

2018年8月4日(土)岐阜県 木曽川緑地ライン公園

荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー(Eat You Up)」は1980年代半ばに愛知県の日本民踊研究会が盆踊りに導入して以降、東海地区から関東に至る広い範囲で盆踊りのスタンダードとなった。そのメッカとも言えるのが、1994年から続くこの市民主導型イベント。規模と熱量は東海地区でも随一で、「ダンシング・ヒーロー」で巻き起こる熱狂は野外フェスをも凌ぐ。2001年には荻野目本人が来場して歌声を披露した。近年の「ダンシング・ヒーロー」リバイバルの影響もあり、今年も例年以上の盛り上がりを見せることだろう。

04. 神田明神 第三回 納涼祭り 納涼盆踊り(東京都千代田区)

2018年8月10日(金)~12日(日)東京都 神田明神

東京を代表する古社、神田明神を舞台に行われる今年で3回目の祭り。神田明神の広大な氏子地域の1つ、秋葉原とタッグを組み、初日には「クックロビン音頭」(「パタリロ!」)などで熱狂するアニソン盆踊りを開催。前夜祭となる9日には痛車を集めての集団おはらい会が、11日には秋葉原のメイドたちによる打ち水イベントが執り行われる。神田明神という由緒正しい神社で繰り広げられる、まさに“アキバカルチャーの祭典”。そのほかにも強烈な企画が予定されており、今夏の現代版盆踊りの目玉になりそうな気配がある。

05. 森戸の浜の盆踊り大会(神奈川県三浦郡葉山町)

2018年8月13日(月)神奈川県 森戸海水浴場

夏ともなると多くの海水浴客で賑わう葉山の森戸海岸で2006年から続けられている盆踊り。こちらの盆踊りはレゲエ系ミュージシャンも集う海の家・OASIS周辺の面々で運営されていることから、盆踊りタイムの演奏を担当するのは、プロのミュージシャンも参加する大所帯の楽団。美しいロケーションにも導かれて、県外からも多くの人々が来場する。なお盆踊り翌日には灯籠流しも行われる予定だそうで、先祖供養という原点が強く意識されていることもこの盆踊りの特徴だ。

06. 中野駅前大盆踊り大会(東京都中野区)

2018年8月13日(月)、14日(火)東京都 中野駅前エリア

中野区民謡連盟による生演奏・生歌によって「東京音頭」「炭坑節」といった定番曲や、中野区のご当地音頭である「中野音頭」を踊ることができることから、近年フリークの注目を集めている盆踊り。ユニークなのは、きゃりーぱみゅぱみゅ「PONPONPON」やPerfumeの「Baby cruising Love」など、盆踊りとは無縁にも思える楽曲がかけられるという点(これらは再生音源)。伝統と発展型が共存する、「ダンシング・ヒーロー」以降の盆踊りの状況をビビッドに映し出す盆踊りである。

07. 奥物部湖湖水祭(高知県香美市物部町)

2018年8月14日(火)高知県 香美市大栃商店街、香美市物部グラウンド

高知県香美市の山間の集落で行われているこちらの祭りは、1950年代に完成した永瀬ダム建設時の事故で亡くなった25名の慰霊と地域振興を目的としている。名物は「お山のディスコ」と呼ばれる盆踊りタイム。The Nolansの1980年のディスコヒット「Sexy Music」、1910 Fruitgum Companyが1967年に発表した「Simon Says」、さらには南アフリカのミリアム・マケバの1956年の「Pata Pata」という、ほかの盆踊りではまずかかることのない楽曲で老若男女が躍り狂う図は壮観。

08. 第29回中央区大江戸まつり盆おどり大会(東京都中央区)

2018年8月24日(金)、25日(土)東京都 浜町公園

先述した「ダンシング・ヒーロー」同様、ドイツのディスコグループ・Boney M.が1979年に放ったヒット曲「Bahama Mama」も80年代以降に盆踊りスタンダード化。関東の広い範囲で夏の風物詩となっている。そんな「Bahama Mama」のメッカとも言える場所が東京都中央区。夏よもなると各町内の盆踊りで「Bahama Mama」の四つ打ちが鳴り響くが、中でも最大規模を誇るのがこちらの盆踊りだ。巨大な櫓と会場はさすが中央区といった風格で、「東京音頭」などの定番ももちろんかかる。

09. 第16回 日比谷公園丸の内音頭大盆踊り大会(東京都千代田区)

2018年8月24日(金)、25日(土)東京都 日比谷公園

伝統的な盆踊りの少なかった東京の地に盆踊りブームが巻き起こったのは、昭和8年に発表された「東京音頭」がきっかけだった。その前年、「東京音頭」の原曲である「丸の内音頭」が発表された。千代田区の日比谷公園では「丸の内音頭」をメインとする盆踊り大会が開催された。地域振興を目的とする都市型盆踊りの走りとも言うべきこちらの盆踊りは長年途絶えていたが、2003年に日比谷公園の開園100周年記念として再開される。東京を代表する盆踊りとなった。外国人観光客も多く、東京らしい洗練された盆踊り空間を楽しむことができる。

10. 第37回すみだ錦糸町河内音頭大盆踊り(東京都墨田区)

2018年8月29日(水)、30日(木)東京都 竪川親水公園特設会場

大阪の河内地方を故郷とする河内音頭は、浪曲やジャズの要素を採り入れながら進化を続けてきた関西音頭界の王様。東京の錦糸町では80年代から愛好家と地元の人々による河内音頭盆踊りが行われており、毎年大変な賑わいを見せる。本場大阪から河内音頭の団体を招聘、音響やステージも大掛かりなもので、錦糸町をきっかけに盆踊りにハマったという音楽リスナーも少なくない。ぜひ勇気を出して踊りの輪に飛び込んでいただきたい。

大石始

日本の祝祭とアジアを中心とする各地の地域文化を追いかけるライター。旅と祭りの編集プロダクション「B.O.N」主宰。著書・編著書に「ニッポンのマツリズム」「ニッポン大音頭時代」「大韓ロック探訪記」「GLOCAL BEATS」「関東ラガマフィン」など。サイゾー、mysound、Mikikiで連載中。

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