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“実母が隣家の息子と不倫の末にダイナマイト心中”という体験を持つ編集者、作家・末井昭の同名エッセイに、関連著作や談話を追加して映画化した本作。6月29日にオープニングナイト作品として上映されたあとのQ&Aでは、まず観客から冨永へ原作についての質問が投げかけられる。冨永は「1982年に出版された『素敵なダイナマイトスキャンダル』、それから約30年後に出版された『自殺』という2冊がもとになっていて、どちらもお母さんがあのような死に方をしたことに関する自分の人生観を書かれています」と説明。
続けて「母親がダイナマイトで自殺したことは、彼のその後の人生に大きく影響しています。彼は人生において、自分にはいろいろなものが足りないと思っている。それでも、アイデアを積み重ねることによって、自分や友人たち、雑誌の読者を楽しませることを続けている人。エロ雑誌を作れなくなったとしても、じゃあパチンコ雑誌でも作ろうと考えられる柔軟な人なんです。そういうところは、多くのクリエイターにとってすごく参考になると思いましたし、だからこの映画を若い人たちに観てもらいたいと思っています」と思いを吐露した。
「末井さんらしさを自身の判断で役に盛り込んで演じていたのか」と尋ねられた柄本は「末井さんと顔が似ているのと、監督から『佑くんがやる以上、もう佑くんのままでいいから』」と言われて、その2つを頼りに現場に入り、開き直って『やるぞ』と思っていました」と述懐。「初めてお会いしたときに、末井さんが僕と同じ色でブランドが違うスニーカーを履いていらしたんですが、(一緒に飲んでいた店を出るときに)末井さんが僕の靴を間違えて履いて帰っちゃったんです。僕は『あれ? これ末井さんが履いていた靴だ。やった!』と思って間違えたままにしておいたんです」とエピソードを披露する。そして「それからずっと撮影が終わるまで末井さんの靴を履きっぱなしにしていたんですけど、どうも人は足元から似てくるところがあるらしく、足の形がなんとなく似てきて。体から(末井さんの雰囲気が)醸し出されたのかもしれません」と笑顔を見せる。
最後に「劇中で脇役たちの体に絆創膏が付いていたり、眼鏡が曇っていたりするのは、なんらかの意図があったのか?」と質問された冨永は「よく気付いてくれました」と喜び、「眼鏡が曇っていたり、けがをしている人たちは、ほとんどが末井の敵です。今から30~40年前の日本は戦争に負け、これから国を立て直そうということでみんなよく働いたんです。そういう人たちは、眼鏡が曇っていても自分がけがをしても気にしなかった」と説明。そして「そういう人たちからすると、末井さんのような自分の人生に悩んでいる若者は、批判する対象なんですよ。もう怒りたくってしょうがないんです。そういう人たちから、末井が見つめられるときに、彼らの眼鏡が曇っているんです。一方で、末井の味方になる人たちのメガネは曇っていないんです。末井にひどい目に遭わされる笛子の目も曇っていません。それは、彼を信じているからです」と意図を明かした。
なお本作はBlu-ray / DVDの発売に先駆け、10月26日に先行デジタル配信がスタートする。
※「素敵なダイナマイトスキャンダル」はR15+指定作品
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