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想田和弘の観察映画第7弾「港町」ベルリン映画祭へ、特報&コメント到着

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「港町」

「港町」

「選挙」「精神」などで知られる想田和弘の観察映画第7弾「港町」が、第68回ベルリン国際映画祭フォーラム部門へ正式招待されることが決定。本作は4月より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。

想田が前作「牡蠣工場」の撮影中に出会った岡山・瀬戸内市牛窓に住む人々を捉えた本作。穏やかな内海と小さな海辺の町に漂う孤独と優しさ、豊かな土地の文化や共同体、そしてそこで暮らす人々と言葉をモノクロームで映し出す。前作に続き、柏木規与子が製作を担当した。現在、YouTubeにて特報も公開中だ。

想田は「映画の入り口は日常の思わぬ場所にぽっかりと開いている。その穴はあまりに小さく平凡に見えるので、うっかりすると見過ごしてしまう。しかしよく観てよく聴きながら入ってみると、豊かで魅惑的な世界が広がっている。特に今回クミさんが誘ってくれた『穴』は、異界に通じるような、摩訶不思議なものだった」と撮影を述懐し、「ドキュメンタリーでありながら、どこか夢の中の出来事のような、まぼろしを見たかのような感覚をもたらす」と本作について語っている。

また本作を鑑賞した映画監督のポン・ジュノは、「静謐な感動をもたらす、息を呑むほど美しいドキュメンタリーです。島が美しい。海が美しい。そして猫も。だけど一番美しいのは、そこで暮らす人々。穏やかだが衝撃的で、心を揺さぶるあの場面は、ごく自然に映画の中に歩いて入ってきました。これが、ドキュメンタリー映画の芸術なのです」とコメントを寄せた。

想田和弘 コメント

僕は「観察」をキーワードにドキュメンタリーを作り続けてきた。事前のリサーチやテーマ設定、台本作りをせず、目の前の現実をよく観てよく聴きながら、行き当たりばったりでカメラを回す。結論先にありきの予定調和を排除するための方法論である。「港町」の撮影も、計画性とは無縁だった。前作の撮影で岡山県牛窓に滞在中、映画の合間に港を歩き回っている最中に、彼らと出会った。
つくづく思うことだが、映画の入り口は日常の思わぬ場所にぽっかりと開いている。その穴はあまりに小さく平凡に見えるので、うっかりすると見過ごしてしまう。しかしよく観てよく聴きながら入ってみると、豊かで魅惑的な世界が広がっている。特に今回クミさんが誘ってくれた「穴」は、異界に通じるような、摩訶不思議なものだった。能の形式に、旅人が幽霊に出会い、幽霊がそこで起きた出来事を語って舞う「夢幻能」というのがある。夕暮れ時、クミさんに連れられ山の中に入り込んでいった場面は、奇しくもあれと似たような、かなり特異な体験をカメラに収めさせていただいた気がする。能が描くような世界をドキュメンタリーで撮れるとは思いもしなかったので、僕自身驚いている。クミさんのシーンに限らず、「港町」はドキュメンタリーでありながら、どこか夢の中の出来事のような、まぼろしを見たかのような感覚をもたらす。編集が仕上げの段階に至るまで、この映画は全編カラーで作られていて、カラーコレクションも済ませていた。しかし柏木の突然の思いつきをきっかけにモノクロームにすることを決め、カラコレを一からやり直した。モノクロームには、映像に虚構の被膜を1枚かぶせるような効果があり、この映画にとても合っていると思う。というより、今では本作を目に浮かべるとき、モノクローム以外には考えられない。仕上げまでずっとカラーで見ていたことが信じられない。

ポン・ジュノ コメント

「港町」は、静謐な感動をもたらす、息を呑むほど美しいドキュメンタリーです。
島が美しい。海が美しい。そして猫も。
だけど一番美しいのは、そこで暮らす人々。
穏やかだが衝撃的で、心を揺さぶるあの場面は、ごく自然に映画の中に歩いて入ってきました。
これが、ドキュメンタリー映画の芸術なのです。

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