平成ドラマ委員会~懐かしドラマを令和に観てみた~ Vol. 2 [バックナンバー]
めぞん・吉野おいなり君と「電車男」| オタクの“今”を作ったヒーロー物語
「私にはモテモテですよ?」とかやばい
2026年3月27日 12:05 2
そこまで昔というわけではないけれど、改めて観るとなぜかセンチメンタルな気持ちになる……。そんな“微妙に懐かしい”平成ドラマの魅力を再発見するべく、映画ナタリーでは「平成ドラマ委員会」を発足。4人の委員会メンバーと、それぞれの思い出深い作品を振り返り、現代に生かせる教訓を探っていく。
Vol. 2ではお笑いコンビ・
文
昔は、「オタク」と言うのが怖かった
僕はアニメや漫画、インターネットが昔から大好きなのですが、自分のことを「オタク」と形容するのが苦手でした。
今も苦手です。
人に言われる分には別に良いんですが、自分で自分のことを「オタク」と言うのには違和感があるというか。
それこそ昔は「オタク」といえば、アニメや漫画、インターネットが好きな奴。というイメージがあって、その「オタク」達も自分を卑下するように使ったり、その中に誇りのようなものがあった気がします。
ですが、時代が進み「オタク」の幅が広がってからというもの、さらにその言葉は抽象的になってきている気がして。
「かっこいい」とか「かわいい」みたいに、人によって解釈が違うし、これをすれば全員が満場一致でそう思う。という正解がないから、自分に対して卑下でも誇りでも「オタク」と使うのが憚られるのかもしれません。
だから今は答えがないもの過ぎて、自分のことを「オタク」と言うのが苦手で
そして昔は、純粋に「オタク」と言うのが怖かった。
これは今の価値観とは全く別で、単純に、純粋に、今では誰でも見ている漫画やアニメが
今では全員が使っているインターネットが
今では認められている“自分の好きなもの”が
ぼんやりと嫌われていた時代。
まだ市民権が無かった「オタク」を隠そうとしたりむしろ誇張したりして必死だった時代。辛かった。
そう考えると輪郭がぼんやりとした悲しみはあれど、良い時代になったんだと思います。
だから、僕の一発目に語る。大好きなドラマは。
そんな今を作った。誇張しながら卑下しながらも「オタク」というものに市民権を与える為に一役買った。
ネットのヒーローの物語。
「電車男」
僕は電車男がかなり好きです。
何者でもなかった人間が、その内に秘める情熱だけで、沢山の人に愛された。
どうしようもなく弱い個が、集まって結託して目標を成し遂げた。
そういうヒーローになりたかった。
僕が最初に電車男という作品に触れたのは、2ちゃんねるのまとめでした。
その後、コミカライズ版の電車男を読んで
最後にドラマ版を観ました。
電車男は掲示板から、電子の世界から、世界中の電子の同胞たちに出会っただけでなく、メディアにも飛び出してきて、さらに世界中の人の心を揺らしているんだと嬉しくなりました。
僕に最初にインターネットの良さを教えてくれた。
何者でもない人間が何者かに変われる世界な気がした。
僕は“やりすぎてる”ぐらいのドラマが大好きで、「電車男」は最高にやりすぎていました。
オタクも誇張されてて、エルメスは絵に描いたように天然でお淑やかでお嬢様。
でもそれがむしろ掲示板のこちら側から見てるエルメス像を無理矢理押し付けたみたいで最高でした。
エルメスの言葉がいちいち可愛い。「私にはモテモテですよ?」とかやばい。
そして釣りだろとかバカにしながらもどんどん前のめりになる掲示板の住人の熱さ。
クローズドだったときより一体感があった。
そして電車男の真っ直ぐさ。本家でも割と真っ直ぐな男でかっこいい。主人公気質。ドラマはよりそれが顕現化してる。
電車男がエルメスのストーカーに「気持ちがわかります」と言って和解。ストーカーが盗撮した写真(エルメスと電車男が写っている)を泣きながら電車男に渡すシーン。ドラマでしかありえないキモ切ない表現で素晴らしい。
オタクなだけで犯罪者だと思われていた。でもそんなことはない。オタクにだってキモいながらも情熱はある。それを世界に伝えてくれた。
そして、告白のシーンでエルメスたんが、、、
怖くて震えている臆病でオタクな電車男の手をとり「頑張って」と背中を押してくれる。
ネットの中の住人にも、世界にも、そして今まさに恋をしている目の前の女の子にも応援してもらって、そして誰よりも愛を叫んだ。
各駅停車でゆっくりではあるが、間違いなく目的地まで進んだ。
どんなものが好きだっていい。ダサくてキモくて一人で何もできなくても。そのままの自分で大好きな人の隣りに到着する。
世界はそれを愛と呼ぶ。
それを僕に教えてくれた。
大切な初期衝動。
あと妹役の
「電車男」(2005年放送 / フジテレビ系)
インターネットの電子掲示板・2ちゃんねるへの書き込みをもとにしたラブストーリー。年齢=彼女いない歴である“オタク”の剛司が、車内で酔っぱらいにからまれたOL・沙織を助けようとすることから物語が展開していく。その勇気に感動した沙織は、お礼として剛司にエルメスのティーカップをプレゼント。突然の出来事にパニックになった剛司は、インターネットの「独身男が毒づくスレ」にこの成り行きを書き込み、アドバイスを求める。
吉野おいなり君 プロフィール
1994年2月3日生まれ、福岡県出身。2016年6月にお笑いコンビ・めぞんを結成。「M-1グランプリ2025」では決勝に進出した。YouTubeチャンネル「板橋ハウス」のメンバーとしても活動している。
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園木千絵 @5aQAZ19ekz65880
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