新しい映画館・TOHOシネマズ 大井町が、3月28日に大型複合施設「OIMACHI TRACKS(大井町トラックス)」内にオープンする。全8スクリーン、1205席を有する同劇場では、都内のTOHOシネマズとして初めてDolby Cinema(ドルビーシネマ)が導入されるほか、飲食売店ではセルフオーダーやドリンクステーションなども用意。観客が映画に没入できる快適な空間が設けられた。またPontaパス会員に向けて、1カ月にわたり鑑賞料金が連日1100円となる「Pontaパス×TOHOシネマズ 大井町オープン記念キャンペーン」を実施する。
このたび映画ナタリーではオープンを控えた劇場を訪問し、支配人・井ノ浦佑太にインタビューを実施した。新築の匂いが広がるロビーで聞いたのは、各スクリーンの特長や、快適にスクリーンへ到着するために設計された導線、注目作品、大井町という土地の特徴などなど……。終盤には、今の時代に映画館をオープンすることの意義についても語ってもらった。
取材・文 / 大畑渡瑠撮影 / 間庭裕基
Pontaパス×TOHOシネマズ 大井町オープン記念キャンペーン 概要
対象劇場:TOHOシネマズ 大井町
対象期間:2026年3月28日(土)~4月27日(月)上映分
対象者:Pontaパス会員(Pontaパス ライトは対象外)
※1回につき同伴者1名まで利用可能
内容:期間中毎日、映画鑑賞券が「auマンデイ」適用料金で購入可能
※土日祝日も含む
「auマンデイ」適用料金:一般・大学生 1100円 / 高校生以下 900円
※別途、追加料金が必要な特殊上映や特別席あり
達成感と緊張感が同居しているような状態
──オープンを控えた現在の心境は?
この素晴らしい劇場をお客様にお披露目できる日がいよいよ近付いてきたなと。「ようやくここまで来たな」という達成感と、「最高の状態でお客様をお迎えしたい」という緊張感が同居しているような状態です。
──新しい劇場の支配人になる、というのもプレッシャーですよね。
任命を受けたのは2025年の9月頃でした。それより前から大井町に新しい劇場ができるという情報は把握していたのですが、誰が支配人になるかはまったくわからなかったので……まさに晴天の霹靂といいますか。2020年7月に開業したTOHOシネマズ 池袋には副支配人として立ち上げに携わった経験があり、まさか再び劇場の立ち上げに携わることはないと思っていたんです。なので驚きとうれしさの両方がありますね。
──大井町に映画館が誕生することになった経緯は?
品川圏では2025年にTAKANAWA GATEWAY CITYの「まちびらき」が実施され、現在は高輪ゲートウェイや浜松町あたりを含めて積極的に開発が行われています。その一環でOIMACHI TRACKSが建設されることになり、テナントとして映画館を入れるお話をいただきました。TOHOシネマズとしても都内では立川立飛以来6年ぶりに新規出店をすることになりますので、かなり力が入った劇場になっています。
──開業に至るまでにも苦労があったのではないでしょうか。
主に人材育成の面ですね。TOHOシネマズ 大井町には特殊スペックが入っているスクリーンが多数あるほか、接客面でもほかの劇場よりグレードアップすることを掲げており、2025年の11月から、会社の理念や“あるべき姿”を伝えていく現場研修を行っています。
──オープニングスタッフはどのくらい?
社員は8名で、支配人・副支配人以外は「この劇場で勤務したい」と手を挙げた者を採用しており、自己PRなど厳しい選考を通過した人材がそろっています。またアルバイトスタッフは約100名いるのですが、全員が映画館での勤務経験がないスタッフです。
──100名もいるのですか!
既存の劇場での研修と新店オープン時の研修ではやることがまったく異なるので、かなり大変ですね……。業務の部分のみならず、スタッフ同士や社員との連携やチームワーク、何より「この劇場でいかにお客様に楽しんでいただけるか」といった気持ちの部分をゼロから作っていく必要があります。研修ではそういった部分にも注力していますね。
観客が快適に過ごすための工夫は?半時計周りの導線がポイント
──施設内には都内のTOHOシネマズとして初めてDolby Cinema(ドルビーシネマ)が導入されるほか、プレミアムシアター、轟音シアターも完備されていますね。改めて井ノ浦さんの目線から各シアターの魅力を教えてください。
Dolby CinemaではまずDolby Visionによる圧倒的なコントラストの映像美、そしてDolby Atomosの立体音響が堪能できます。アクション作品はもちろん、SFやアニメ、ミュージカルなど光のコントラストや音の繊細さを感じられる作品はぜひ本シアターで鑑賞いただきたいです。世界最高クラスの没入感を得られるシアターデザインも魅力ですね。またプレミアムシアターは壁いっぱいの巨大スクリーンがまず大きな特長。LOVE PSYCHEDELICO(ラブ・サイケデリコ)のNAOKI氏が音響監修に入っており、音楽系の映画は特に映えるのではと思います。そして轟音シアターでは、空気を震わせる音響の力を思いっきり体感できます。前方にはむき出しで設置されたスピーカーがあり、ウーハーも特殊な構造で出力を最大に。ただ観るだけではなく“体感できる”スクリーンとして位置付けております。ライブ作品や格闘シーンが満載のアクションなど、重低音が効いている作品はぜひこのスクリーンで楽しんでほしいですね。
──スクリーンに入るまでの空間も非常に美しいですよね。レジに並ばずにドリンクやフードの注文が可能なセルフオーダー / モバイルオーダーや、定額で好きなドリンクがおかわり自由となるドリンクステーションなども用意されていますが、観客が快適に過ごすための工夫はどのように?
半時計回りにぐるっと回るように進んでいただく構造になります。まず劇場を入ってすぐ右手の券売機でチケットを購入し、隣のセルフオーダー機へ。そこで飲食を注文したのち、コンセッション(売店)の商品を受け取るピックアップスタンドを通っていただく。スクリーンまで非常にスムーズな形で到達できるんです。また鑑賞後には正面にグッズ売り場が見えますので、そこを経由してお帰りいただく、という流れに。
──劇場によってはロビーを左右に行ったり来たり……という構造もある中、非常に理想的ですね。なお開業時は春休み真っただ中ですが、特にお薦めの上映作品はありますか?
オープン直後となる4月10日に「名探偵コナン ハイウェイの堕天使」が公開されます。毎年シリーズを楽しみにされているお客様もたくさんいらっしゃるので、こちらも気合いが入りますね。通常スクリーンはもちろん、Dolby Cinemaでの上映も予定されているので、ぜひ違いを楽しんでいただけたらと思います。また6月に公開される「Michael/マイケル」は個人的にもイチ押しで、幅広いスクリーン形態で上映できたらと思っています。スクリーン数が8スクリーンと限られているのもあり、ライト層に向けた大作を多く届けられたらと。
──TOHOシネマズ学生映画祭や轟音スクリーンでのイッキ見上映など、開業記念イベントもかなり充実しています。
今後も、Dolby Cinemaやプレミアムシアターといったスクリーンの特色を伝えていくような施策を積極的に実施していきたいと考えております。お客様にとって「新しい映画館に来た」ということにまず価値を感じていただけると思いますので、SNS等でもどんどん発信していただきたいですね。TOHOシネマズ 池袋で勤務していた際には「どの作品をどのスクリーンでかけるか」を決めるためにSNSを活用しており、ご意見の1つひとつから「こちらのスクリーンのほうがよかったのかな」「この時間帯にしたほうが動員が増えたのかも」と学びを得ています。エゴサーチはここ大井町でも欠かせないです(笑)。
“大井町に行く価値”がある場所として認識してもらうことが大事
──ここからは井ノ浦さんご自身についてもお伺いできればと思います。
この大井町で8劇場目の勤務になります。最初に赴任したのが秋田で、その後は開業2カ月目の日本橋に異動し、共同経営館の札幌シネマフロンティアへ。そのあとに昇格試験に合格して副支配人になりまして、千葉県の八千代緑が丘で勤務しました。そして2年半後、池袋のオープン時から副支配人として携わり、支配人に昇格。千葉県の柏、愛知県の木曽川の劇場に移りました。大小さまざまな劇場を経験できたのがありがたかったですね。
──そしてこの新しい劇場に赴任されるわけですが、“大井町”という土地についての印象は?
隣駅の品川にはT・ジョイ PRINCE 品川があるのですが、この大井町には映画館がなかったんです。もともと大井町駅は乗り換えのターミナルとして利用されることが多いですから、駅から出て街を散策するという方は少なかったのではないかなと。でもファミリー層が多い街ではありますし、OIMACHI TRACKSができることでかなり人の流れが変わっていくのではないかなと思います。
──駅から直結する施設、というのがとても理想的ですよね。
JR大井町駅の西口改札・東急線の大井町駅改札から出てすぐ、徒歩数分で到着するデッキ直結のアクセスによって気軽にお立ち寄りいただけます。また施設内にはショップや飲食店が約80店舗入るほか、サウナなどもありますので、1日中楽しめる場所になります。「大井町に来る」という目的が生まれる要因になるのではないでしょうか。このTOHOシネマズ 大井町も同じく“大井町に行く価値”がある場所として認識してもらうことが大事だと考えています。
──井ノ浦さんが考えるお出掛けプランは?
個人的な流れなんですけれども、まずはもう朝一でサウナに行っちゃいますね。
──サウナがお好きなんですね(笑)。
はい(笑)。そのあとに食事をして、カフェでゆったりしたのちに映画館でポップコーンを食べながら迫力ある映像で胸を躍らせ、その余韻に浸りながら帰るまでが理想のプランですね。
──素敵です。ちなみに井ノ浦さんは普段から映画館に行かれたりしますか? 好きな作品なども知りたいです。
もともと映画館で映画を観るのが好きで、月に4~5回は行くようにしています。ジャンルは問わず好きですが、マイベスト作品は「トップガン」と「トップガン マーヴェリック」。
──おお! ベストですが2作品(笑)。
どうしても選べなくて……(笑)。幼少期から父の影響でトム・クルーズが大好きなんです。TOHOシネマズ 池袋で勤務していた際には轟音シアターで2作品のイッキ見上映を行う機会があって、個人的にとても興奮しました。私も観たかったのですが、ありがたいことにずっと満席状態で。でもスクリーンから出てくるお客様が満足そうな表情をされていて、その光景は今でも心に残っています。
映画館は“映画を観る喜び”を再確認できる場所
──井ノ浦さんが考える“理想の劇場”はなんでしょうか?
重視するのは、やはり接客面ですね。映画はどの映画館で観ても結末が変わるわけではないですが、スタッフから「いってらっしゃいませ」「ありがとうございました」と元気よく言ってもらえると「観てよかった」と思えますよね。まさしくそれが“鑑賞体験”ではないでしょうか。TOHOシネマズ 大井町もそのような印象を与えられる劇場にしたいと思っています。
──昨今は配信サービスの台頭もあり、閉館する映画館も相次いでいますよね。だからこそ、新しい映画館がオープンすること自体がとても素晴らしいことだと思います。
もちろんNetflixなどは私も観ますし、素晴らしいものではあると思いますが、圧倒的な映像や音響は映画館でしか体験できないです。空気の揺れや音の繊細さなど、その1つひとつが“映画を観る喜び”につながっていく。映画館はその価値を再確認できる場所だと思っています。
──映画を観る喜び。確かにコンテンツがありふれてしまっている今だと感じにくくなっていますよね。
そうですね。またそれ以上に“多くの人と同じ空間で体験できる”ということも映画館の持つ大きな価値だと思います。感動的なシーンで「おおっ」と声が漏れ出る人が横にいたり、中には涙してしまう人もいたり。そういった反応を共有できるのは稀有な空間ですよね。映画文化を形成する拠点として、街の人々が集まる場所になること。それこそが映画館の役割だと考えています。
──では最後に改めて読者へ向けてメッセージをお願いします。
TOHOシネマズ 大井町は映画を観る時間が特別になる場所として、“選ばれる映画館”を目指して準備を進めてまいりました。極上のスクリーンに加えてスマートなオペレーションと洗練された導線を確保しております。駅直結の構造や複合施設という利便性を兼ね備える当劇場のすべてが、映画を愛する皆様や、映画作品そのものに心から寄り添う仕掛けになっています。ぜひ映画作品の魅力が最大化される瞬間を体感してください。

