第70回ベルリン国際映画祭フォーラム部門でエキュメニカル審査員賞を獲得したドキュメンタリー「
本作は、想田が2008年に発表した「精神」の主人公である精神科医・山本昌知を新たに追ったもの。82歳で引退を決意し、妻・芳子とその後の人生を歩み始めた山本の生活が映し出される。映画祭授賞式にはエジプト滞在中の想田に代わり、プロデューサーである想田の妻・柏木規与子が出席した。
映画祭にて本作は「一見シンプルな作りでありながら深い感銘を与えるもので、人間の尊厳と力を示す画期的な出来事である。慈愛と謙虚さが行為を導いている。経済的・社会的成功により重きを置く社会の中で、人間が持つ力と愛する者へのケアの価値を描いた感動的な映画である」と評価を受けている。
受賞に対し想田は「エキュメニカル審査員賞は“精神的、人間的、社会的価値に対して観客の感性を鋭敏にさせるような”作品に与えられると聞きました。今回の賞は、精神医療に人生を捧げ、患者さんたちとの共生をテーマに生きてこられた山本先生と、そういう先生と共生してきた芳子さんに対して贈られた賞なのではないかと思っています」とコメント。また「映画に出てくださった患者さんたちや映画製作に協力してくださった大勢の皆さんにも、心から感謝の気持ちを申し上げます」と述べた。
「精神0」は5月上旬より東京のシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。
想田和弘 コメント
名誉ある賞をいただけたことを、心から嬉しく光栄に思います。
私は上映やレクチャーのためエジプトにいるため、プロデューサーで妻の柏木規与子が授賞式に出席させていただきます。
柏木は岡山出身で、「
エキュメニカル審査員賞は“精神的、人間的、社会的価値に対して観客の感性を鋭敏にさせるような”作品に与えられると聞きました。
今回の賞は、精神医療に人生を捧げ、患者さんたちとの共生をテーマに生きてこられた山本先生と、そういう先生と共生してきた芳子さんに対して贈られた賞なのではないかと思っています。
映画に出てくださった患者さんたちや映画製作に協力してくださった大勢の皆さんにも、心から感謝の気持ちを申し上げます。
受賞理由
繊細で効果的な映画的表現、特にカメラワークとモンタージュによって、本作は精神科医である山本昌知医師が患者に対して与える影響を描き出す。
そして山本医師の引退が近付く中、彼を失う患者たちの将来への不安を描写する。
医師は患者たちの悲痛を敏感に理解し、穏やかに勇気付けながら、彼らが前に進もうとするのに寄り添う。
映画の後半では、医師が認知症を患う妻と時間を過ごす様子が描かれる。
本作は一見シンプルな作りでありながら深い感銘を与えるもので、人間の尊厳と力を示す画期的な出来事である。
慈愛と謙虚さが行為を導いている。
経済的・社会的成功により重きを置く社会の中で、人間が持つ力と愛する者へのケアの価値を描いた感動的な映画である。
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