2000年3月に起こった地下鉄脱線事故により、その生涯に幕を閉じた青年・富久信介さん。そんな彼に、ひそかな想いを抱いていた少女。通学電車の中で顔を合わせ、名前も知らず、話したこともない2人の淡い恋は、不慮の事故により突如終わりを迎えた。時は流れ、2020年。信介さんが通っていたボクシングジムの会長のもとへ、大人になった少女から当時の彼への想いや通学時の思い出がつづられたラブレターが届く。信介さんの両親は、そのラブレターから息子の知られざる青春の断片と成長を知るのだった。
この実話に感銘を受けた監督・石井裕也が1本の映画へと昇華させた「人はなぜラブレターを書くのか」が、4月17日より全国で公開される。映画ナタリーでは、主人公の寺田ナズナを演じた綾瀬はるかにインタビューを実施。“人はなぜラブレターを書くのか”という問いに対する、綾瀬なりの答えとは。「誰かを想って生きることってすごく素敵」と、本作を通して感じた想いも語ってもらった。
取材・文 / 小林千絵撮影 / 清水純一
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映画「人はなぜラブレターを書くのか」予告編公開中
主人公は「愛情深くてかっこいい」、自身の母と重なる部分も
──本作は石井裕也監督の強い想いで映画化された作品だそうですが、綾瀬さんは石井監督の想いをどのように受け止めましたか?
今作は原作があるのではなく、実話をもとにしたお話で、実際に生きていた方々の人生の一部をお借りする部分もあります。亡くなっている方もいる、決して軽くはないものを題材にしているので、それを映画化するという監督の覚悟はすごく感じました。監督自身もお母様を早くに亡くされていらっしゃるんですよね。だから、人は亡くなってしまうものだけど、それでもその人の想いを背負ってその後の人生を生きていく人々を描くことで、希望を表現したかったんじゃないかなと思いました。私が演じるナズナは「アホウドリ」という古民家ダイニングで働いていたり、農業をしていたりと、特に日々の暮らしが丁寧に描かれている人物。そういう日常の中にある小さな幸せや家族、亡くなった信介くんのことを想いながら愛を持って日々を生きているという姿を描きたかったのかなと思いました。
──では、その監督の想いを受け取って、綾瀬さんはどのような想いで本作の撮影に挑まれましたか?
やはり実在している方の人生をお借りしているという重みは感じました。ナズナはいろいろと背負っているけど、彼女なりの愛の形を持っている人だと感じたので、監督の想い描くナズナを探りながら、現場で息を吹き込んでいきました。
──今おっしゃったように、ナズナはすごく愛の深い魅力的な人物ですが、綾瀬さんはナズナのどんなところに魅力を感じましたか?
圧倒的に母として強いところ。「自分よりも家族」という考え方で。ナズナも不安や恐怖、悲しみや悔しさなど、いろいろな想いがあるんだけど、それを一切見せることなく、家族の前では本当に明るくって。そういう彼女の明るさや強さで家族を包んでいくところは、愛情深くてかっこいいなと思いました。
──ご自身とは似ていると思いますか?
私の母もナズナのような、家族の前では弱音を吐かないタイプ。そんな母を見て育っているので、「もし私がナズナと同じ立場だったら……?」と考えたときに、ナズナと同じことをするだろうなと思いました。
──演じながら、お母様やご自身の幼少期を思い出したりも?
そうですね。母は母で家族に心配をかけまいとがんばっていたし、娘……私ですけど(笑)、娘は娘で、母に心配をかけないようにしていた。どちらも人を想う気持ちがあったと思うので、そこはナズナに共感できました。
──だからこそ、西川愛莉さん演じるナズナの娘・舞︎の気持ちも理解できたでしょうし。
はい。
誰かを想って生きることってすごく素敵
──綾瀬さんはこの作品に出演したことや、ナズナを演じたことで、ご自身の中に変化や影響は何か感じましたか?
人は1人では生きられないということに改めて気付かされました。登場人物のみんなが誰かのことを大切に想っているんですよね。例えば信介のボクサーの先輩、菅田将暉さんが演じた川嶋︎(勝重)さんは、勝つことももちろん大事だけど、それよりも信介の想いをつないで戦うことに意味があったんだと思うし。そうやって誰かを想って生きることってすごく素敵だなと思いました。ナズナをきっかけに、娘の舞に夢ができたことも希望ですし。本当に素晴らしい世界の映画だなと思いました。
──映像や景色もすごくきれいですよね。
ですよね! 何げなく咲いている花とか、駅や電車といった日常の景色が多く描かれているなと思いました。「人生ってこういうことなのかな」って。それも含めて美しい映画だなと思います。
──それこそナズナはごはんを作ったり、野菜を育てたりという、生活の基本が丁寧に描かれていて。ごはんもすべておいしそうでした。
おいしかったです! お昼ごはんに劇中の古民家ダイニング「アホウドリ」のごはんをいただいたんですが、すごくおいしくて(笑)。
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“人はなぜラブレターを書くのか”という問いの答え


