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重松清の小説をもとにした本作は、バツイチ子持ちで再婚した44歳のサラリーマン・田中信が、元妻、現在の妻、妻の連れ子、元妻と暮らす実娘、そして新しく産まれる命を巡って成長していく姿を描いた人間ドラマ。浅野が信、田中が信の現在の妻・奈苗を演じた。
三島は「今までも誠心誠意映画を作ってきたんですが、この作品はとっても特別で初めて映画を作る心持ちで挑んだ。20年前に『Helpless』を観たときに浅野忠信さんを撮りたいなと思ったので、現場で今かけがえのない時間を過ごしているんだなと思った瞬間がありました」と思いを語る。本作が、第41回モントリオール世界映画祭のワールドコンペティション部門に出品されることについて「選んでくださった方がおっしゃってくださったんですけど、『ファーストカットに恋をして、観るうちにだんだん好きになって最後すごく好きになった』と言ってもらえた。それは、皆さんのお芝居が素晴らしかったということだと思うのですごくうれしいです」と喜んだ。
浅野は「僕はいつもクセのある役が多くて、何も事件を起こさない役をやりたかったんですよね」と笑い、「今40代の自分が経験してきたことを素直にぶつけられる役が、この信だった。脚本が本当に面白かったのでやるしかないなと思いましたね」と述べた。田中が「いろんなことが刺激的な現場で、バイオレンスな宮藤官九郎さんと久しぶりの再会をして。誕生日の日に殴ったり蹴られたりDVを受けて、刺激的な誕生日プレゼントをいただきました」と述懐すると、奈苗にDVを振るう元夫・沢田役を演じた宮藤は「すいませんでした……。スタッフの皆さんが田中さんにケーキを用意してくれて、『おめでとうございます!』って雰囲気の中で……気持ちよかったです」と話して、観客を笑わせた。
今までやった役とは違って難しかったという田中は「カラオケで発散するシーンがあるんですけど、『悲しみの果て』でシャウトするのがすごく気持ちよくて。主婦の方たちも強さを隠し持ってて、自分で発散するところがあるのかなと役をやりながら想像したのが楽しい経験でした」と振り返る。本作を「年頃なんでうちの娘にはまだ見せられない」と言う宮藤は、自身が演じた沢田について「あの人もまさか最初からああいう人だったわけじゃないと思うんですよね。ちょっとはいいとこあるだろ俺も、って思いながら演じました」とコメントした。
最後に三島は「この映画の英語のタイトルは『DEAR ETRANGER』"親愛なる異質な人”と名付けました。周りにいる異質な人たちと化学反応を起こしていって、いろんなことを感じるのが生きていくっていうことなのかなと思っています」とメッセージを伝え、イベントの幕を引いた。
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- 第41回モントリオール世界映画祭 ワールドコンペティション部門(英語)
- 「幼な子われらに生まれ」公式サイト
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ONODERA Akira @TWDera
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