「オイディプス王」は、知らずして実父を殺し、実母と夫婦関係になったオイディプス王が、破滅の道をたどる姿を描くソポクレス作のギリシャ悲劇。今回は、2023年に
開幕に際し、三浦は「“それでも生きる”という点で、オイディプスと自分自身の共通点を見出せた気持ち」と述べ、「僕の表現者としてのターニングポイントとなるような舞台にぜひ出会っていただけますと幸いです」と語る。また大空も「初演から1年半の時を経て、三浦さんが更に進境し、精神力が強い王になったと感じます。私もそのオイディプスを受けとめる度量を持つイオカステを演じたいと、エネルギーを呼応させて稽古をしてきました」と振り返る。岡本は「民衆に向かって言葉を放つような役は初めてで、大きなエネルギーが必要だと痛感しています。今、クレオンを演じられる喜びと共に想像力をかきたてながら創っていきたいと思います」と意気込んだ。
上演時間は約2時間20分。東京公演は2月24日まで。その後、本作は3月1日に大阪・SkyシアターMBSでも上演される。
三浦涼介コメント
「オイディプス王」2023年公演で僕は初めてギリシャ悲劇に挑みました。大作のタイトルロールを担う重圧と闘い、膨大なセリフに追われ、稽古中は心身共に消耗していましたが、演出家、多くのスタッフの方々、共演の皆様に支えていただき、緊張と恐怖の初日を乗り越え、座組の全員で公演を全うできたと記憶しています。悲劇でありながらオイディプスは死を選ばなかった点に一縷の希望、光明があると感じ、その点を大切に考え表現しました。
おかげさまでご好評をいただき再演の機会を得て、今度は支えてくださった方々に何かをお渡しできるよう、自身がオイディプス役を楽しんで演じられるようにと願って稽古に臨みました。稽古場で繊細に細心に演じることで、ここだと感じられるところに行き着き、オイディプスの弱さ、寂しさも解ると、深い作品世界の魅力もつかめたと思っています。
“それでも生きる”という点で、オイディプスと自分自身の共通点を見出せた気持ちもあります。オイディプスの人間味も感じていただけると思います。
ギリシャ悲劇の最高傑作「オイディプス王」には人の世の普遍性と、変わりない不条理、不合理を感じられる身近な世界観があります。お客様にとって遠い別世界ではなく、難解でもなく、壮大な劇世界に自然と没入していただけると感じています。
僕の表現者としてのターニングポイントとなるような舞台にぜひ出会っていただけますと幸いです。
パルテノン多摩 大ホール、大阪SkyシアターMBS共に大好きな素敵な劇場です。
多くのお客様のご観劇をお待ちしております!
大空ゆうひコメント
2023年の公演の際に私は初めてギリシャ悲劇に触れました。台詞の扱いも含め、イオカステ役に自分をフィットさせるのが課題だと思っていましたが、稽古をする内に思いの外、今を生きる女性と通じるものを感じられ、古代から時を超えて生き続ける戯曲の力に驚きました。
イオカステは壮絶かつ非常にドラマティックで振幅の大きい人生を送り、自分自身の思いを殆ど語ることなく、死に向かってしまいます。
そこで、オイディプスとのドラマ、そして戯曲では描かれていないライオス王と過ごした時代も想像しながら、イオカステ像を探りました。オイディプス役の三浦涼介さんと稽古をし、彼の熱量を受けながら自然と役に到達できたのが初演だったと思います。
今回の再演は初演の土台があればこそ深みのあるドラマが目指せると考えています。
相手役の三浦さんはたいへん繊細なオイディプスを表現しています。初演から1年半の時を経て、三浦さんが更に進境し、精神力が強い王になったと感じます。私もそのオイディプスを受けとめる度量を持つイオカステを演じたいと、エネルギーを呼応させて稽古をしてきました。
ギリシャ悲劇と聞くと敷居の高さを感じられるかもしれませんが、人の世の普遍性に深く感じ入ることができると思います。この戯曲がなにを伝えたいのかを想像してご観劇いただくと、まさにギリシャ悲劇エンタテインメントだと受け取っていただけると思います。多摩センター駅から緩やかな坂道を歩いて5分、パルテノン神殿ならぬパルテノン多摩が見えてきます。そこで上演するギリシャ悲劇をどうぞお楽しみください!
また、大阪SkyシアターMBSでの公演もご期待ください!
岡本圭人コメント
ギリシャ悲劇は演劇の原点で、「オイディプス王」はその歴史に刻まれた最高傑作です。アメリカの演劇学校でも英語版の脚本で学び、コロスを演じたこともあります。舞台俳優であれば、絶対に経験しておきたい作品なだけに、今回クレオン役を担うことになり、たいへん嬉しく思っております。俳優として、まさにこうした深みのある作品を求めていたタイミングで「オイディプス王」に出演することができ光栄です。
僕は自身の人生では体験しないであろう悲劇を観ると「これを繰り返してはならない」という気持ちになります。「オイディプス王」も2500年前に書かれた戯曲にもかかわらず、今改めて伝わってくるものや、共感できる部分がたくさんあります。そしてオイディプスを演じるために稽古場で奮闘されている三浦さんの姿を見ると、コロナウイルスという疫病に苦しみ、今も争いが絶えないこの時代に「オイディプス王」を上演する意味を感じます。ギリシャ悲劇を含む古典作品は人間の本質的な部分が深いところまで掘り下げられていて得るものが多く、だからこそ、長く世界中で上演され続けているのだと思います。
民衆に向かって言葉を放つような役は初めてで、大きなエネルギーが必要だと痛感しています。今、クレオンを演じられる喜びと共に想像力をかきたてながら創っていきたいと思います。
また、パルテノンの名の劇場でギリシャ悲劇の最高傑作を観劇なさる機会はなかなか無い事と思います。ぜひご観劇ください!
石丸さち子コメント
「オイディプス王」を再演できる喜びをいっぱいに感じながら、準備を続けてきました。
まずは、1年半を経て再会した三浦涼介さんの、この作品に賭ける思いの強さ。
稽古が始まる時には、膨大な台詞が心と身体にしっかりと染みこんでいて、稽古の中で、2500年ほども前に書かれた言葉に、どんどん血が通っていきました。
2023年の初演でも、オイディプスとして素晴らしい生き様を見せてくれた彼ですが、また新しい地平を切り拓いてくれています。
そこに、イオカステ役の大空ゆうひさん、長らく演劇に身を投じてきたベテラン俳優陣が、新たな視点で挑んでくれているものですから、稽古場は、日々、演劇的な興奮と喜びに溢れていました。
また、再演キャストとして飛び込んだ岡本圭人さんは、悩み考え抜き、彼らしいクレオン像を獲得してくれています。
そして、本公演で特筆すべきは、16人のコロスの存在です。
俳優とダンサー半々の構成で、俳優は踊ることに挑み、ダンサーは言葉で表現することに挑み、大変な進化をしてきました。一人ひとりが個性的でありながら、時には大勢の民衆に見えるはずです。
彼らが王(為政者)に寄せる信頼と敬愛。
王が民衆に寄せる慈愛と国を救おうとする熱意。
そのすべてを裏切っていく、神の定めた運命。
それでも生きていく姿に、2025年現在の世界への祈りをこめました。
オイディプス王
2025年2月21日(金)〜24日(月・振休)
東京都 パルテノン多摩 大ホール
2025年3月1日(土)
大阪府 SkyシアターMBS
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