「ミセン」は、ユン・テホ原作による韓国のWebtoon発のマンガ「未生(ミセン)」をミュージカル化したもの。囲碁用語で、“死に石に見えてもまだ完全な死に石ではなく、どちらにも転ぶことができる可能性を秘めた石”を意味する「ミセン」をタイトルに掲げた本作は、韓国でテレビドラマ化された際に社会現象を巻き起こし、2016年には日本でもリメイクドラマが放送された。劇中では、とある大手貿易会社のオフィスを舞台に、インターンとして働くことになった主人公、チャン・グレの物語が展開する。
会見ではまず、脚本・歌詞を担当したパク・へリムがあいさつ。「この作品は会社の中にある葛藤を描いていますが、その中にある絆や温かさを描きたいと思いました。稽古を通じて皆さんの絆が深くなっていったのを感じ、この作品の芯にあるものがよりよく立ち現れるのではないかと思います」と笑顔を見せた。
音楽を担当したチェ・ジョンユンは「私はこの作品に、必死さと温かさが描かれていると感じたので、その明るさを音楽でも表現しようと思いました。韓国で作曲してすぐ日本に送ったのでちょっと心配はあったのですが(笑)、日本の音楽監督はじめスタッフの皆さんが素晴らしくしてくださったので期待が高まっています」と続く。
その後、キャストが意気込みを述べた。居酒屋店長ほかを演じる
パク・ジョンシク課長役の
エリートのインターン、チャン・ベッキ役を演じる
アン・ヨンイ役の
オ・サンシク課長役の
チャン・グレ役の前田は「2カ月間にわたり稽古をさせていただき、チャン・グレという役を通してこの作品とカンパニーと向き合ってきて、この作品に出会えて本当に幸せだと感じています。チャン・グレが何のスキルもなく商社に入り、葛藤しながら守るべきものを大切に、絆を作っていく。この作品を観終わった後も、曲の余韻と共に作品に対する思いを持ち帰っていただけたら」と話した。
最後に演出のルピナがあいさつ。ルピナは「今回表現してみたかったのは、チャン・グレが世の中を囲碁というフィルターを通して見ていること。なのでステージの一番高いところにカメラを置いていて、お客様は碁盤を上から眺めるようにステージを見ることができます。そのような私の頭の中のイメージを、映像デザイナー、照明デザイナー、美術デザイナーなどのスタッフさんがより美しく表現してくださいました。そしてそキャストの動きをより華やかに大きく見せてくれるKAORIaliveさんのダンスは圧巻ですので、ぜひ観に来ていただきたいです」と自信を見せる。そして「私たちカンパニーは、この作品を準備している今はまだミセンですが、お客様が客席を埋めてくださって初めてワンセンになれます!」と笑顔を見せた。
会見後には、ゲネプロが行われた。碁石を打つ音で始まる本作では、囲碁のプロ棋士採用試験に不合格となったチャン・グレが、後援者の紹介で大手貿易商社ワン・インターナショナルにインターンとして入社するシーンからスタートする。学歴も特技もなくコピーすら取れないチャン・グレは、会社の中で浮いた存在だが、配属された営業3課でオ・サンシク課長らと出会い、またインターンの仲間たちとの関係を築いていく中で、自分自身とも向き合うようになり……。
なんでも囲碁の頭で捉えてしまうチャン・グレの目線は、ステージを上部から映し出した映像によって表現される。また、冒頭はチャン・グレの前にただ大きく立ちはだかるモノクロの存在だった会社が、人と人が集う場所として息づき始めていく様を、KAORIalive振付の生命力あふれるダンスと、チェ・ジョンユンのドラマチックな音楽が鮮やかに彩った。
さらに本作では、仕事の中で感じるさまざまな苦悩や諍い、仕事を通じて得られる充実感・達成感、仕事を離れたとき知る家族の温かさ、挫折からの再生など、誰もが人生の中で感じたことがある感情が、細やかに描かれる。しかし単なるサクセスストーリーで終わらないところにリアルさと爽快感が感じられた。
大阪公演は1月14日まで。本公演はその後、2月1・2日に愛知・愛知県芸術劇場 大ホール、6日から11日まで東京・めぐろパーシモンホール 大ホールで行われる。
なおステージナタリーでは本作のプロデューサーである井川荃芬のインタビューを掲載している。新作ミュージカル「ミセン」
2025年1月10日(金)〜14日(火)
大阪府 新歌舞伎座
2025年2月1日(土)・2日(日)
愛知県 愛知県芸術劇場 大ホール
2025年2月6日(木)~2025年2月11日(火・祝)
東京都 めぐろパーシモンホール 大ホール
スタッフ
原作著者:ユン・テホ
著作権者:SUPERCOMIX STUDIO
脚本・歌詞:パク・へリム
音楽:チェ・ジョンユン
翻訳・訳詞:
演出:オ・ルピナ
振付・ステージング:KAORIalive
出演
チャン・グレ:
オ・サンシク課長:
アン・ヨンイ:
ハン・ソギュル:
チャン・ベッキ:
パク・ジョンシク課長:
キム・ドンシク課長代理:
居酒屋店長 / パク・クォンイル / 露店商:
チェ・ヨンフ専務:
ソン・ジヨン次長 / グレの母:
(以下、五十音順)伊藤かの子 / 岡田治己 / 加賀谷真聡 / 加藤さや香 / 工藤彩 / 熊澤沙穂 / 田村雄一 / 俵和也 /
スウィング:加藤文華 / りんたろう
※1月10日はプレビュー公演。
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김태희 キムテイ @bini1017
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