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「かへり花」は、舞台の企画制作や俳優のマネジメントを行うトム・プロジェクトの30周年を記念した公演の第1弾。演劇企画体ツツガムシの日向十三が作劇、
小笠原響コメント
日向十三さんの「かへり花」と今、出会えましたこと、たいへん嬉しく思っています。そもそも日向さんとご一緒するのも初めてなのですが、そのふわりとした一過の風のようなファンタジックな作風の中に、鋭く現代を切り取る視点が隠されていて……演出の手腕を試される作品です。私たちの今の暮らしを考えたとき、「長生き=幸せ」という観念は少しずつ変化してきたように思います。平均寿命は延び続けても、幸福度はどうでしょう?
核家族化に少子化、認知症、孤独死、格差社会、介護の現状、そこに物価高や国際紛争も加わってきて……「明るい老後」なんか見えてこない! でも、日向さんのふわりとした風が……。そう、少し凍えた心の中に、優しい春の風が吹き込んでくるような、そんな舞台が出来上がるのを想像しています。なにより贅沢すぎるキャスト陣がどんな世界を紡ぎ出していくのか…今からワクワクしています。ご期待ください。
日向十三コメント
こんにちは。「かへり花」の台本係、日向十三です。ん、知らんけど、何者?と思いましたね。
はい、同感であります。私も自分が何者なのか、かれこれ50有余年、分からぬままなのです。
ですから作品について一筆よろしくと言われても、自分のことすらよく分かっていない自分の書いたものが分かるわけがないのです。それでも、書くには書いたのだ、何か言えるだろう、言ってしまえ、そう己に言い聞かせ、こうして独り言ちているわけです。
ただ、そうは言っても書いた本がどう料理されるのかまるで分からないのが演劇です。当てずっぽうで的はずれなことを言っていいものか。子供のない夫婦が、「いずれ生まれてくる僕たちの子供はきっと可愛いくて賢くて親孝行で将来一角の人物になるに違いないよ、だって僕と君の子供だもん」というような話をベッドの中でするのとは訳が違うのです。考えれば考えるほど何も言えなくなります、、、
とは言えです、そういうわけでこれでお終い、なんて文章を書いたら、まあ書き直しでしょう。こういうのをちゃんと書くのも台本係の仕事ですよ、なんて叱られて。出来ればそれは避けたい。人生は書き直しをしていられるほど長くはないのです。
(咳払い)えー、この作品の舞台は、どんな町にでもありそうな「ちびっ子広場」であります。しかしながら、登場人物はみな、どこにでもいそうな大人です、、、そうだったっけ、、、大人のような、、、子供のような、、、大人って何だ、、、俺は大人か、、、あなたも、、、オトナ?
大人とはシワだらけの子供のことである。毒を抜かれ、やたらとすっぱい食い物にされた梅の実に似ていなくもない。
又
大人とは、大人を演じている子役のようでもある。分からないことを分かったように話すが、そうすれば拍手を貰えることだけはよく分かっている。
又
禁止されても遊ぶのが子供の特質ならば、禁止されてもいないのに遊ばないのが大人の特質である。ゆえに、遊びたいのに遊べない者は大人に非ず。ただ疲れ果てた、哀れな子供に過ぎない。
うーん、やれば出来るじゃないか。小学校の先生が言った通りだ。
トム・プロジェクト 30周年記念公演 第1弾 トム・プロジェクト プロデュース「かへり花」
2024年9月2日(月)~2024年9月8日(日) ※公演終了
東京都 俳優座劇場
スタッフ
作:日向十三
演出:
ステージナタリー @stage_natalie
トム・プロジェクト30周年、第1弾は小笠原響×日向十三の“不条理喜劇”(コメントあり)
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