市川團十郎が「大好きな劇場」と思い述べる、「九月博多座大歌舞伎」開幕

市川海老蔵改め十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台「九月博多座大歌舞伎」が、昨日9月1日に福岡・博多座で開幕した。

これは、市川團十郎と市川新之助による襲名披露興行。公演のラインナップには、成田屋の芸である歌舞伎十八番を中心にした演目が並んだ。昼の部は市川右團次、大谷廣松らによる「矢の根」で幕開け。続く「外郎売」は、新之助の初舞台の演目で、新之助が外郎売実は曽我五郎、中村梅玉が工藤祐経を勤める。新之助が早口の言い立てを披露すると、会場は拍手で包まれた。團十郎の襲名披露狂言となる「景清」では、悪七兵衛景清役の團十郎が次々と立廻りで魅せる。またクライマックスでは巨大なエビが團十郎の背後に登場し、観客を驚かせた。

夜の部は、中村芝翫扮する不破伴左衛門、片岡愛之助扮する名古屋山三、片岡孝太郎扮する茶屋女房による「鞘當」でスタート。そのあとの口上では出演者が並び、それぞれあいさつを述べた。團十郎は「思い返せば、（市川）海老蔵最後の博多座公演（2020年2月）の折に『勧進帳』の弁慶を勤めさせていただいておりましたが、コロナ禍で初めて休演をしたという思い出がございます。その後、コロナ禍に長期で地方公演をさせていただいたのもこの博多座（2020年11月）でして、様々な思い出がございまして、大好きな劇場でございます」と言葉に力を込め、新之助は「この度、父も名乗っておりました市川新之助の名跡を八代目として相続いたす運びと相成りましてござりまする。精一杯精進いたしますれば、何卒お願い申し上げ奉りまする」と、ハキハキとあいさつした。口上の最後には、来場者の無病息災を願い、團十郎が成田屋の家の芸である“にらみ”を披露した。

夜の部ラストを飾ったのは「暫」。團十郎扮する鎌倉権五郎が「しばらく、しばらく」と大声を発し現れると、劇場は興奮で包まれた。最後は「成田屋！」「十三代目！」と大向うが飛ぶ中、團十郎は大太刀を肩に担いで六方を踏み、悠然と引っ込んだ。公演は9月17日まで。