沖縄・なはーと発、神里雄大の新作「イミグレ怪談」は“マンツーマン”稽古で進行中

10月28日に沖縄・那覇文化芸術劇場なはーと 小劇場にて開幕する、神里雄大 / 岡崎藝術座「イミグレ怪談」の取材会が、去る9月22日に那覇文化芸術劇場なはーとにて開催された。会見には神里雄大のほか、沖縄を中心に活動する俳優の上門みき、柿喰う客 / 青年団の大村わたる、サンプルの松井周が出席した。

本作は、神里が那覇文化芸術劇場なはーとと共同製作する新作公演。本作のアイデアの出発点について、神里は以前沖縄に滞在した際に那覇の本屋で出会った「琉球怪談」を挙げ、「もともと自分は怪談やホラー、超常現象のようなことにはほとんど興味を持っていなかったのですが、よく知ると面白いなということと、怪談のように語りで想像を膨らませて楽しむのは演劇の在り方そのものなんじゃないかと思って興味が湧きました」と話す。台本には、タイやラオスで聞いた怖い話なども組み込まれていると言い、「台本は書き上がっていますが、正直、これで『できた』と言えるのかわからない。そのままリハーサルがスタートしています。でもそもそも怪談なので、積極的に“わけがわからないこと”をやろうと開き直っている状態でもあります」と話した。

なお稽古は現在、神里と出演者のマンツーマンで行われている。上門は「昨日から私の稽古が始まったのですが、ようやくちょっとだけ、作品のカケラがわかった気がしました」と言いつつ、「もともと怪談話が好きなので触れる機会も多かったのですが、この台本はまったくアプローチの仕方が違っていて面白いです」と実感を述べた。

大村は「ほかの俳優さんたちがどういう稽古をしていてどういう状況になっているのかわからないのですが（笑）、その“わからなさ具合”も含めて楽しみです。神里さんが言っていたように、テーマとして提示されているものはなく、不思議な作品になれば良いなと思っています」と続けた。

俳優として舞台に出演するのは6年ぶりという松井は、マンツーマンの稽古に「不安」と率直に述べ、「演劇はチームで盛り上げていこう！という感じで作っていきますが、今は小さな船に乗っている感じ。稽古なのか話し合いなのか雑談なのかわからない状態で稽古していますが、その寂しさのようなものが個人的には面白くて。この劇には、それぞれが漂流しているような登場人物が出てくるのですが、自分が誰かわからずに漂流しているような、小船に乗っている不安みたいなものが続く状態で稽古が進んでいて、今それぞれに稽古しているメンバーが沖縄で出会ったときにどういう気持ちが湧いてくるのか楽しみです」と期待を語った。

さらに本作にはブラジル・サンパウロ市を拠点に活動する振付家・ダンサーのビアトリス・サノも出演する予定で、サノと神里はオンラインで稽古を重ねている。公演は10月28日から30日まで那覇文化芸術劇場なはーと 小劇場、12月15日から19日まで東京・東京芸術劇場 シアターイースト、来年1月28・29日に京都・ロームシアター京都 ノースホールにて行われる。