梅玉は「初舞台から今年で66年。父・中村歌右衛門の教えの通り、歌舞伎の本道をコツコツと歩み続けた結果がこの栄誉だと思っております。芸の精進はもちろん、歌舞伎という素晴らしい伝統文化を後世に伝えていくことが大切な使命の1つだと思っておりますので、みんなと力を合わせて、ますます歌舞伎を発展させていけるように力を尽くす所存でございます」と言葉に力を込めた。
認定の話を受けたときのことを「私は先月『六月大歌舞伎』を体調不良から3日間休演したのですが、本公演を休んだのは、大人になって初めてのこと。自分も年を取ったのかなあとショックを受けていたときに、このお知らせが入りまして、いっぺんに立ち直りました(笑)」とちゃめっ気たっぷりな笑顔で明かす。また「父・歌右衛門には、先日お墓参りで報告しました。父も『今回の栄誉は良かったね』と言ってくれるのでは」と語った。
二枚目の立役を得意とする梅玉に、記者が若さの秘訣を聞くと「心がけてきたのは気を若く持つこと、そして“今を知ること”ですね。私は音楽が好きなので、今でも新しい音楽をYouTubeで聞きます。今は、YOASOBIにハマっています(笑)」と回答。さらに「七十代になっても二枚目の前髪系の役が似合う俳優でいたいというのは、二十代からの目標でした」と話す梅玉は「自分の持ち役の中で一番大切にしているのは、いずれも主役ではありませんが、『勧進帳』『義経千本桜』の義経。『勧進帳』の義経は、父から唯一、手取り足取り教わった役。何のしどころもない役なのですが(笑)、風格というものを大切に勤めるようにと、父から教えを受けました。何もしていない間の佇まいを大事に演じています」と言葉に力を込めた。
また、師匠として尊敬している先輩を「(7代目尾上)梅幸おじさん」と挙げ、「梅幸おじさんには『鈴ヶ森』の権八、『菅原伝授手習鑑』の桜丸、『忠臣蔵』の判官といった数々のお役を懇切丁寧に教えていただきました。父と梅幸おじさんは2人とも大名人で、父は女方一筋、梅幸おじさんは女方も一流で、二枚目系のお役もトップレベル。私が二枚目系の役を教わるときは、『その役は梅幸さんに習うんだよ』と父から直接おじさんに頼んでくれましたし、梅幸おじさんも『藤雄さん(歌右衛門の本名)は大したもんだ』と言っておりました。そうして2人が認め合っているのはすごく素敵でしたし、そういう時代に育ったことも、私にとっては大きな財産です」と懐かしそうに振り返る。
今後演じたい役について記者から問われた梅玉は「今まで手がけてきた役では、新歌舞伎では真山青果さんの『頼朝の死』、古典では『菅原伝授手習鑑』より『賀の祝』の桜丸ですね。最近思うのは、何度も勤めるうちに新たな発見があるということ。今年2月に『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』で、6度目の徳川綱豊卿を勤めましたが、歌舞伎の奥深さをつくづく感じましたし、自分としては納得のいく出来栄えになったと思っております。そうした“新たな発見”があることに、生きがいを感じます」と述べる。さらに「新しい歌舞伎にも機会があれば挑戦してみたいです。2019年に新作歌舞伎『NARUTO-ナルト-』に出演しましたが、あれは面白い経験でした。(坂東)巳之助くんや(中村)隼人くんには『再演するときはまた呼んでね』と伝えてあります(笑)」と微笑んだ。
なお既報の通り、梅玉は9月に「秀山祭九月大歌舞伎」第2部「松浦の太鼓」への出演が控える。
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市川蔦之助 @IvyThe3rd
梅玉旦那が人間国宝に😳
おめでとうございます㊗️㊗️
いつもカッコいい梅玉旦那☺️
梅玉旦那には、これまでに、
塩谷判官、大星力弥(九段目)等々
様々なお役をご指導頂きました。
これからも沢山のご指導をして頂きたいと思っております😌 https://t.co/AmRC1eIZ0g