パルコ・プロデュース2022「てなもんや三文オペラ」の作・演出を手がける
「てなもんや三文オペラ」は、差別と貧困、資本主義社会を風刺したベルトルト・ブレヒトの音楽劇「三文オペラ」を下敷きにした作品。「てなもんや三文オペラ」では、物語の舞台をイギリス・ロンドンの貧民街から1950年代の大阪へ移し、戦後を生き抜いた人々の様子が描かれる。盗賊団のボスであるマック(マック・ザ・ナイフ)役を演じるのは、主演の生田斗真。また、原作でマックの恋人・ポリーにあたるポール役をウエンツが演じる。
鄭は、アパッチ族を題材にした梁石日の小説「夜を賭けて」から影響を受けて本作を執筆したといい、「『三文オペラ』に登場する盗賊団と、アパッチ族の人々が持つ“生きることへの貪欲さ”に共通点を感じたので、その部分を『てなもんや三文オペラ』に生かせたら」と本作の成り立ちを明かす。また、5月上旬から行われている稽古について触れ、「クルト・ヴァイルの曲も難曲ですし、ダンスあり、殺陣ありと、要素がたくさんあるうえに、ウエンツは関西弁のセリフを覚えなければいけないので、四苦八苦しているのではと思います(笑)」といたずらっぽく笑う。鄭のコメントを受け、ウエンツは「鄭さんの思いがビシビシ伝わってくるような戯曲なので、1つひとつの言葉がお客様にしっかり届くように、意識しながら稽古しています」と笑顔で語った。
キャスティングの意図について問われると、鄭は「マックは男性からも女性からも愛される人物ということで、生田くんのイメージとものすごく近かったんです。恋人役はいろいろな候補の方がいたんですけど、最終的にウエンツが良いんじゃないかということになりました」と回答。ウエンツは、古くからの友人である生田と、恋人役で共演することに初めは驚いたそうだが、「斗真と濃密なお芝居をやれることが単純にうれしくて。斗真ならきっと、ポールを夢中にさせるマック像を作ってくれると思います。僕は今、マックにどういうふうに好きになってもらおうか?と考えているところです」と明かした。
ロンドンに留学してから、舞台俳優としての活動を積極的に行っているウエンツ。「留学から帰ってきてから、一緒に過ごす人が変わりました。留学に行っていなければこの作品に出会うこともなかったと思います。お芝居を楽しみながら突き詰めていって、地に足のついた演技ができれば」と意欲を見せる。
最後に本作の見どころについて、鄭は「生きていくうえで愛や希望が大切であることや、一見平和に思える日常は実はすごくもろいんだということを、ビビッドに感じてもらえたら。コロナ禍でお客様との距離が遠くなってしまいましたが、劇場という密接な空間で、さまざま人たちと時間を過ごす喜びを役者とお客様の間で共有できればと思います」とコメント。ウエンツも「まずは、お客様に来ていただけるだけですごくうれしいなという気持ちです。お客様にエネルギーを受け取ってもらえるようにがんばりたいと思います」と意気込みを語った。
本作は東京・PARCO劇場で6月8日に開幕したのち、7月から8月にかけて福岡・大阪・新潟・長野で上演される。
パルコ・プロデュース2022「てなもんや三文オペラ」
2022年6月8日(水)~30日(木)
東京都 PARCO劇場
2022年7月4日(月)・5日(火)※公演中止
宮城県 東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)
2022年7月9日(土)~11日(月)
福岡県 久留米シティプラザ ザ・グランドホール
2022年7月16日(土)~24日(日)
大阪府 森ノ宮ピロティホール
2022年7月30日(土)・31日(日)
新潟県 新潟テルサ
2022年8月6日(土)・7日(日)
長野県 サントミューゼ 上田市交流文化芸術センター 大ホール
作・演出:
原作:ベルトルト・ブレヒト
音楽:クルト・ヴァイル
音楽監督:久米大作
出演:生田斗真、
演奏:朴勝哲
※2022年3月16日に発生した地震の影響で、宮城公演は中止となりました。
※2022年6月3日追記:6月8日から11日13:00開演回までの公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。
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平田敦子 @hiraatsu
2人とも爽やかで眩しい!稽古場では見たことない! https://t.co/mfHmSpcmsu