まぎれもなく「デラックス」に、市原佐都子「妖精の問題 デラックス」開幕
2022年1月21日 21:18
レパートリーの創造は、ロームシアター京都が劇場のレパートリー演目として時代を超えて末永く上演されることを念頭に、2017年度から取り組んでいるプログラム。その第5弾として上演される「妖精の問題 デラックス」は、2016年に神奈川県相模原市で起きた障害者施設での事件をきっかけに市原が創作した「妖精の問題」のリクリエーション作品となる。
劇場に入ってまず目に飛び込んで来るのは、ぼんやりと会場を照らす、赤くて丸い提灯の数々。舞台の上手にはキッチンやテレビ、布団、冷蔵庫などが並ぶ部屋のような空間があり、奥には富士山と松の画が描かれた衝立と1本のスタンドマイクが立つステージがある。下手にはバンドブースがあって、その3つのエリアは回廊でつながっている。さらに部屋の中央には座布団がいくつも置かれ、観客は自分が観る場所を、自分で決めることができる。
作品は3部に分かれて展開。第1部「ブス」では、“ブス”な女学生2人の対話が描かれる。これまでの上演では、1人の俳優による落語形式だったが、今回の「デラックス」では女性コンビ、ハイジニーナの漫才シーンとして立ち上げられる。“ブス”だけどみんなと同じことがしたい女学生と、“ブス”だから同じことができるわけはないと思っている女学生の自虐的なやり取りを、
第2部「ゴキブリ」では、家に生息するゴキブリに悩まされている貧困夫婦の物語が描かれる。
第3部「マングルト」では、自分自身の体内常在菌を利用して作る食べ物“マングルト”についてのセミナーが展開。
落語形式から漫才形式になった第1部を除き、第2・3部は台本上の大きな変更はなく、作品の芯はこれまでと変わらない。だが、演出は文字通り“デラックス”にバージョンアップしており、dot architectsによる自由度の高い空間デザインや、お寿司・南野詩恵が手がけるユニークな衣裳など、どれも魅力的で細部まで目が離せない。さらに東京塩麹 / ヌトミックの
開幕に際し市原は「最高のメンバーと共にまぎれもなく『デラックス』なものをつくることができました。初演から、こんな姿に作品が生まれ変わることを、作品だけでなく私たちの暮らしや考え方がこんなにも変わってしまうことを、想像していませんでした。いま再演することでさらに意味を持つ作品です」とコメントした。
レパートリーの創造 市原佐都子 / Q「妖精の問題 デラックス」の公演は1月24日まで。22日18:00開演回と、24日14:00開演回にはアフタートークが実施され、22日18:00開演回には市原と本作のドラマトゥルクである木村覚、24日14:00開演回には市原と音楽担当の額田が登場する。
ステージナタリーでは、市原と「妖精の問題」オリジナルキャストの竹中香子、ロームシアター京都プログラムディレクターの小倉由佳子による座談会を掲載している。レパートリーの創造 市原佐都子 / Q「妖精の問題 デラックス」
2022年1月21日(金)~24日(月)
京都府 ロームシアター京都 ノースホール
作・演出:
音楽:
演奏:
出演
第1部:
第2部:
第3部:
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