明治座「本日も休診」に向け、柄本明・花總まりが意気込み「同窓会みたいな公演です」

「本日も休診」の製作発表が、本日10月21日に東京都内で行われた。

「本日も休診」は、地域医療に生涯を捧げた医師・見川鯛山のエッセイ「田舎医者」シリーズを原作に、水谷龍二が脚本、ラサール石井が演出を手がける新作喜劇。昭和40年代、栃木県那須にある診療所を舞台に、“山医者”こと見川鯛山と、その妻・テル子、そして個性豊かな村人たちの物語が描かれる。

製作発表には柄本明、花總まり、佐藤B作、笹野高史、ラサールが登壇。「今回、柄本さんから演出のご指名をいただきました」とあいさつしたラサールは「私が学生時代に通って観ていた劇団東京乾電池、劇団東京ヴォードヴィルショー、自由劇場、憧れだった皆様とご一緒できるので感無量です」と感慨を述べ、「一輪の可憐な花のような花總さんにも出ていただき、その周りで“おじいさん”たちががんばっている。白雪姫と7人の小人のような感じもいたします（笑）。面白くなることは間違いないので、がんばって仕上げたいです」と意気込んだ。

見川鯛山役を演じる柄本は「古い友人でもある笹野さん、B作さんは自由劇場時代の先輩で、東京乾電池の仲間であるベンガルさん、東京ヴォードヴィルショー出身の佐渡稔さん、魁三太郎さんらも出ているので、同窓会みたいな公演です。楽しく稽古しております」とコメント。さらに「初めてご一緒する花總まりさんとはマスクをつけた状態で会っていたので、今日、マスクを外されたお顔を拝見して『ああ、宝塚だな』と思いました」と、ほほ笑む。テル子役を務める花總は「大先輩たちの中ですので、稽古場でも緊張しながら、たくさんのことを勉強させていただいております」と真摯に語った。

村の警察官・茶畠巡査役の笹野は「出演者の平均年齢が限りなく70歳に近い気がします。稽古場の居心地が良く、かつてない癒しと安心感に包まれておりますね。知り合って50年も経つ人たちとこうして芝居できることが夢のよう。長生きしてりゃ良いことがあるんだなと思いました。柄本さん呼んでくれてありがとうね！」と柄本に笑顔を向ける。また「二十代・三十代の演劇を志したばかりの方々にも観ていただきたいです」とメッセージを送った。ホテルの主人・楠田役の佐藤は「えもっちゃん（柄本）、笹野とは、二十代の食えない頃にアルバイトしながら自由劇場で演劇をやっていました。それが明治座という大きな舞台で共演できるとはびっくりです。ラサールくんの力も借り、楽しい舞台になりそう。精一杯務めさせていただきます」と言葉に力を込める。

記者から、古くからの仲間と共に芝居できることについて尋ねられた柄本は「本当に戦友だと思っているので、初日に目を合わせてセリフを言ったら泣いちゃうかもしれません」と感極まった様子を見せる。これを受けた笹野も涙を浮かべながら「本当にみんなと一緒に稽古できてうれしいし、ありがたい。初日は泣かないようにがんばりたいと思います」と目標を掲げた。続く佐藤は「若い頃は一緒に即興芝居をして、誰が一番笑いをとるかという勝負をしたり、お酒を飲んだりして、良い時代でした。昨日のことのように思い出します。よくぞ今日までみんな演劇人として生きてこられたなと思います。これを最後に死んでも良いかなという気さえしますね（笑）」と冗談めかして笑う。

3人の言葉を聞いていた花總は「皆様、語らずともわかり合えるような関係で、お互いがお互いをリスペクトしていらっしゃるのが伝わってきます。私はまだまだ弱輩ですが、同じ舞台に立てることをうれしく感じております」と喜びを口にした。

ラサールは「今回、花總さんには少し歌っていただきますし、柄本さん、B作さん、笹野さんには踊っていただきます。お楽しみに！」とアピール。最後に柄本は「昭和40年代、高度経済成長期のお話です。日本はガチャガチャしていた時代ですが、都会から少し離れたのんびりした村が舞台です。今はコロナも含め忙しない時代ですが、ゆったりした時間をお客様に堪能していただけたらと思います」と会見を締めくくった。公演は11月12日から28日まで東京・明治座にて。