森新太郎が吉柳咲良に太鼓判「本物のピーターパン」小西遼生は“貧乏なフック船長”に

ブロードウェイミュージカル「ピーターパン」の制作発表が、本日6月21日に東京都内で行われた。

ホリプロ制作による「ピーターパン」は、1981年の開幕以来、上演が重ねられてきたミュージカル。森の演出による「ピーターパン」は昨年上演される予定だったが、新型コロナウイルスの影響で全公演が中止に。今回は日本公演40周年記念公演となる。

会見は歌唱披露からスタートした。壇上には吉柳咲良扮するピーターパン、美山加恋扮するウェンディが姿を現し、セリフを交えて「えばってやるぞ」「ネバーランド」をパフォーマンス。続いて小西遼生扮するフック船長と6人の海賊たちがにぎやかに登場すると、「海賊マーチ～フックのタンゴ」で会場を盛り上げる。そこにピーターパン、ウェンディ、宮澤佐江扮するタイガー・リリーや子役たちも加わり、「クロスオーバーマーチ～えばってやるぞリプリーズ」を全員で歌唱。最後、劇中でピーターパンが空中飛行をするときに歌う「飛んでる」が披露されると、会場は大きな拍手で包まれた。

その後はホリプロの堀義貴代表取締役会長兼社長が登壇。堀社長は「ピーターパン」がホリプロが演劇製作を行うきっかけになったことを紹介し、「『ピーターパン』はホリプロの“恩人”」とコメントする。また新型コロナウイルスの影響で演劇界が苦しい状況にあることに触れ、「演劇を救いとしている人にとって劇場はネバーランド。『ピーターパン』が、コロナで傷付いた心を癒す作品になれば」と話した。

堀社長降壇後、吉柳、小西、美山、瀬戸カトリーヌ、宮澤、そして演出の森新太郎がステージに登壇。重厚な作品を多数手がけてきた森は「珍しく明るい芝居を作ります」と切り出して笑いを誘う。今年45歳の森には、榊原郁恵の初代ピーターパンを観た友人が数名いるそうで、「友人から『子供を連れて観に行くよ』とメールをもらった。40年のバトンを受け継いでいるんだなと」と感慨を述べる。

また、昨年予定されていた公演が中止になったことで、演出プランを一新したそうで、今回はステージに人形や影絵が登場して“子供の世界”を表現するほか、子供部屋とネバーランドの境界が曖昧になっている舞台装置を用意するという。森は「現実と幻想が混ざった世界を作りたい」「お客様には想像力で、舞台上にネバーランドを立ち上げてほしい。ネバーランドというと木を生やしたりしますが、今回はキャストに『あんたたちが木を見せなさい！』と言っています（笑）」と意図を語る。さらに森は「大丈夫です。子供も大人もみんなネバーランドに行けます。なぜならそこに、本物のピーターパンがいますから！」と吉柳を示して笑顔を浮かべた。

森のコメントを受け、吉柳は「制作発表の前に森さんが『俺がまず吉柳にプレッシャーをかける』と言っていましたが、本当に来ました」と会場を笑いで包み、「森さんに『本当にバカだな！』と笑顔で言われるのが、ピーターパンとして何よりの褒め言葉」と稽古の充実ぶりをのぞかせる。4度目のピーターパン役には「ピーターパンは唯一無二の存在。永遠の子供であるピーターパンを、体が成長する私たちが演じるのは不思議な感じです。彼には共感できるところも、できないところもある」と思いを明かし、吉柳は「これまでは『こう見せたい』と思いながら演じていました。でも今は、お客様にどう伝わってもいいから、ただピーターパンとして舞台に立てたら」と言葉に力を込めた。

フック船長役で初出演する小西は「子供も大人も楽しめる作品ですし、僕ら自身も楽しんでいます」と手応えを語る。小西は自身のいでたちを示しながら「最初、フック船長の衣装はすごく豪華でした。でも気付けばどんどん装飾がはがされていき、帽子がクタッとなり、帽子の羽もどんどん垂れて……歴代で一番貧乏なフック船長かも」と笑い、「森さんの演出を信頼しています。1つひとつ細かく作り上げていきたい」と抱負を述べた。

初参加の美山は「ウェンディは『となりのトトロ』のメイちゃんだ」と森から助言を受けたことを明かし、「メイちゃんはトトロに出会えた子。同じようにウェンディも、ピーターパンに会える特別な子なんだと実感しました。ウェンディとして、劇場に訪れる小さな子供たちを代表する気持ちで夢の世界に行けたら」と意気込んだ。

過去にも本作に出演した経験を持つ瀬戸は「ボンジュールでございます、皆さん」とエレガントにあいさつ。今回瀬戸はダーリング夫人役に加え、ダチョウ役を務めると言う。瀬戸は「いつかピーターパンが私を迎えに来てくれる！と思っていた私も、気付けば森さんと同じ45歳（笑）。今回また出演できる幸せをかみしめています」と笑顔を見せた。

宮澤がタイガー・リリーを演じるのは今回で3度目。宮澤は森から「無邪気で好奇心旺盛、ピーターに並ぶくらいおバカさんな子供のリリー」を目指すようアドバイスを受けたことを挙げ、「ちょうど1週間くらい前に、ふとそのリリーが下りてきた気がしています。全キャストがパワーアップした『ピーターパン』を観てほしい」とメッセージを送った。

公演は7月22日から8月1日まで東京・めぐろパーシモンホール 大ホール、7・8日に神奈川・相模女子大学グリーンホール、14・15日に大阪・梅田芸術劇場 メインホール、21・22日に宮城・イズミティ21 大ホール、28・29日に愛知・御園座にて。