「四月大歌舞伎」松本白鸚、幸四郎とのW弁慶に「息子に託す気持ちで」

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「四月大歌舞伎」に出演する松本白鸚松本幸四郎の取材会が、本日3月15日に東京都内で実施された。

左から松本幸四郎、松本白鸚。(c)松竹

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左から松本幸四郎、松本白鸚。(c)松竹

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2人が登場するのは、本公演の第1部で上演される「勧進帳」。同作はA日程とB日程にわかれており、A日程では白鸚が武蔵坊弁慶、幸四郎が富樫左衛門、B日程では幸四郎が武蔵坊弁慶、尾上松也が富樫左衛門を勤める。

松本白鸚(c)松竹

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これまで「勧進帳」で弁慶役を1150回演じてきた白鸚は、今回、本興行では歴代最年長となる78歳で同役に挑む。このことに白鸚は「できるかなあ、というのが正直な気持ちでした」とオファー時の心境を吐露しつつ、「ただ、息子の幸四郎と1日替わりで弁慶を演じるのはどうですか、と提案され、それならと覚悟を決めました」と話す。

松本幸四郎(c)松竹

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幸四郎は「『勧進帳』の弁慶という役に出会ったからこそ、歌舞伎俳優になった」と役への強い思いを語り、「弁慶を演じるのは、自分が誇りに思う“高麗屋の弁慶”を多くの人に観ていただくため。繰り返し演じるごとに、大変さを実感する役ではありますが、曽祖父、祖父、父の弁慶を目指し、1回1回を特別に思って演じ切りたい」と意気込みを述べた。

弁慶という役の難しさについて、白鸚は「『忠臣蔵』の(大星)由良之助もそうですが、少しでも集中力が欠けると、その役ではなくなってしまう」と言及。幸四郎は「弁慶は、“攻撃こそ最大の防御”というようなイメージが強いですが、“受け役”だと言われることがあります。というのも、弁慶が自分からセリフを発するのは2回だけで、あとは相手からのセリフに受け答えるだけ。なので、相手からのセリフを正面でしっかり受けて、セリフを相手に返す、というところで、弁慶の持つ強さを表現しないといけない。そこが一番苦しいですね」と語った。

幸四郎が弁慶役を勤めるB日程では、劇中で“滝流し”が取り入れられる。幸四郎は"滝流し"を「元々の『勧進帳』にはなく、あとから付け加えられたもの」と説明し、「私自身が観て育ったのは、父の"滝流し"が入っている『勧進帳』。その素晴らしさを、自分の身体を通してお伝えしたい」と言葉に力を込める。このことに白鸚は「息子だからできること。(動きの激しい“滝流し”を)私がやると、死んでしまいますので……」と真剣な顔付きで発言し、記者たちに視線を送ると「……あれ、スベったかな?(笑)」とはにかみ、会場を笑いで包んだ。幸四郎の弁慶に対しては「体力や歳では息子に負けていますけど、それを越えたい。自分に残っているのは、セリフと声と、芸。今の白鸚の声を、そして芸をお客様にお見せして、息子に対抗したい」とニヤリと笑った。

左から松本幸四郎、松本白鸚。(c)松竹

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白鸚は「息子と弁慶を1日替わりで勤められることは、本当にうれしく、幸せなこと」と目を細め、「私が亡くなったあとは息子が弁慶を勤めてくれると思います。今回は、息子に弁慶を託す気持ち。それが歌舞伎の伝承であり、歌舞伎が歌舞伎たるところかと」としみじみ語る。しかし白鸚のその言葉に対し、幸四郎は「……今、“託す”という言葉が出てきましたが、実際に父が舞台に立つと、まったく“託す”というような芝居はされません(笑)。まだまだ、白鸚としての、新たな弁慶が始まるかと」とはっきりと述べた。

松本白鸚演じる武蔵坊弁慶。(c)松竹

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松本幸四郎演じる武蔵坊弁慶。(c)松竹

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さらに幸四郎は、自身の息子・市川染五郎にも、弁慶の役を教えていることを明かし、「染五郎自身も(弁慶が)特別な役だと思っているようで。稽古は昨年から始めました。これまで教わってきたものを伝えていきたい」とほほ笑んだ。

「四月大歌舞伎」は、4月3日から28日まで、東京・歌舞伎座にて。

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「四月大歌舞伎」

2021年4月3日(土)~28日(水)
東京都 歌舞伎座

第1部

一、猿翁十種の内 小鍛冶

作:木村富子

童子実は稲荷明神:市川猿之助
三條小鍛冶宗近:市川中車
巫女:中村壱太郎
弟子:市川笑三郎
弟子:市川笑也
弟子:市川猿弥
勅使橘道成:市川左團次

二、歌舞伎十八番の内 勧進帳

A日程
武蔵坊弁慶:松本白鸚
富樫左衛門:松本幸四郎
亀井六郎:大谷友右衛門
片岡八郎:市川高麗蔵
駿河次郎:大谷廣太郎
常陸坊海尊:松本錦吾
源義経:中村雀右衛門

B日程
武蔵坊弁慶:松本幸四郎
富樫左衛門:尾上松也
亀井六郎:大谷友右衛門
片岡八郎:市川高麗蔵
駿河次郎:大谷廣太郎
常陸坊海尊:松本錦吾
源義経:中村雀右衛門

第2部

一、絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場

武智光秀:中村芝翫
武智十次郎:尾上菊之助
初菊:中村梅枝
佐藤正清:坂東彌十郎
真柴久吉:中村扇雀
皐月:中村東蔵
操:中村魁春

二、団子売

杵造:中村梅玉
お臼:片岡孝太郎

第3部

桜姫東文章 上の巻

作:四世鶴屋南北

清玄 / 釣鐘権助:片岡仁左衛門
入間悪五郎:中村鴈治郎
粟津七郎:中村錦之助
奴軍助:中村福之助
吉田松若:片岡千之助
松井源吾:片岡松之助
局長浦:上村吉弥
役僧残月:中村歌六
白菊丸 / 桜姫:坂東玉三郎

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※2021年4月24日追記:4月25日以降の公演は新型コロナウイルスの影響で中止になりました。

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