最低なショーの行方は?「プロデューサーズ」開幕に井上芳雄「全力でばかばかしく」

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福田雄一が演出を務めるミュージカル「プロデューサーズ」が、本日11月9日に東京・東急シアターオーブで開幕。これに先駆け昨日8日、公開ゲネプロが行われた。

ミュージカル「プロデューサーズ」より。

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「プロデューサーズ」は脚本をメル・ブルックスとトーマス・ミーハンが、音楽・歌詞をブルックスが手がけたミュージカル。劇中では、落ちぶれて破産寸前のブロードウェイプロデューサー・マックス(井上芳雄)と、気の弱い会計士レオ(吉沢亮 / 大野拓朗)がタッグを組み、一攫千金を狙うコメディが展開する。ショーが成功するより失敗したほうが利益を生むことに気づいたマックスは、レオを巻き込み大失敗作を作り上げようと企む。2人は最低のスタッフやキャストを集めたが……。なお昨日のゲネプロでは、レオ役を吉沢が務めた。

ミュージカル「プロデューサーズ」より。

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幕が開くと、舞台にはきらびやかな電飾と、ブロードウェイの劇場街を模したセットが現れる。オープニングでは井上扮するマックスが、盛りを過ぎた自身の身の上を嘆くナンバーを、悲壮感と滑稽味を漂わせて歌唱した。

ミュージカル「プロデューサーズ」より。

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マックスとレオが最低のミュージカルを作るために選んだのは、ヒトラーをこよなく愛するフランツ(佐藤二朗)が書いためちゃくちゃな脚本「ヒトラーの春」。上演のため、マックスはお金持ちのホールドミー・タッチミー(春風ひとみ)をはじめとした老婦人たちから、色仕掛けで出資金をかき集める。アンサンブルたちはおそろいの青いドレスに白髪のウィッグで大勢の老婦人に扮し、歩行器を手に一糸乱れぬダンスを披露して会場を大いに盛り上げた。

ミュージカル「プロデューサーズ」より。

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ミュージカル「プロデューサーズ」より、吉沢亮扮するレオ(右)がパニックを起こし、ブランケットを握りしめる場面。

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井上は、小ずるいがどこか憎めないマックスをコミカルに演じる。二重帳簿が警察に見つかって留置所に入れられたマックスが、失敗に終わった計画を回想する場面では、井上がそれまでのストーリーのダイジェストを歌やダンスを交えながら1人でパフォーマンスし、観客から拍手を浴びた。吉沢はレオの真面目かつ子供の頃から使っているブランケットを手放せないほどの気弱さを、おどおどした態度と弱々しい話し方で表現。一方でレオが時折パニックを起こす場面では、奇声を上げたり独特な体の動きを見せたりして笑いを誘った。

ミュージカル「プロデューサーズ」より。

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英語がほとんど話せない女優志望者・ウーラ役の木下晴香は、深いスリットが入った白いドレスをまとい、悩ましげな表情と声色、あでやかなダンスで魅せる。「ヒトラーの春」の演出家ロジャー・デ・ブリと、彼の恋人で助手のカルメン・ギアに扮するのは吉野圭吾木村達成だ。吉野はエキセントリックなロジャーを表情豊かに演じる。木村は小指を立てるエレガントな仕草を見せつつ、吉野扮するロジャーとぴったり寄り添って、息の合ったやりとりで観客を笑わせた。また佐藤は、予測のつかない行動でマックスとレオを翻弄するフランツを怪演。フランツがオーディションに乱入する場面では、力強い歌声を聞かせた。

ミュージカル「プロデューサーズ」より。

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劇中では、「ヒトラーの春」上演のため集まった個性豊かな面々が、華々しい歌や踊りと共にボケとツッコミを次々に繰り出していく。プロデューサーたちが作り上げた“最低”のカンパニーがどのような作品を立ち上げるのか、その全容をぜひ劇場で確かめてみては。

ミュージカル「プロデューサーズ」より。

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初日に向け、井上、吉沢、大野、演出の福田からのコメントが到着。井上は稽古を「とにかく毎日本気でふざけていました」と振り返る。またブロードウェイのオリジナル版の振付が使われていることを紹介して「スタッフの方々の尽力で今に至っています。皆さんの努力やエネルギーに応えるべく、全力でばかばかしいことをやっているので、2020年の最後は大笑いしにシアターオーブに来ていただけたら」とメッセージを送った。

ミュージカル「プロデューサーズ」より。

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吉沢は初のミュージカル出演に「皆さんはミュージカル界の素晴らしい方ばかり。最初の歌合わせでは、周囲とのレベルの差にすごく苦しくなって」と苦労をのぞかせつつ、「僕の“仲間”は(佐藤)二朗さんだと思っていたんですけど……二朗さんが意外とミュージカルらしい歌い方をされていて、『おい、嘘だろ』と、裏切られた気分になりました(笑)」と語る。

左から福田雄一、吉沢亮、井上芳雄、大野拓朗。

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福田の作品に憧れていたと言う大野は「今回初めてご一緒させていただけることになって、『よしやるぞ!』と思ったんですけど、自分が全然面白くなくて……(笑)」と反省を口にし、「芳雄さんは立ち稽古の初日からセリフが全部入っていて、1つ1つの笑いに全部にツッコんでいてすごかった」と井上を称賛した。

福田は、ミュージカルで初めてタッグを組む井上の印象を「ミュージカルとなると、全然印象が違う。口から声が出ているのではなく、全身で発声している感じでした」と述べた。また今回は、自身の演出作として初のWキャストになると福田。2人のレオの出来栄えについて福田は「吉沢くんは初のミュージカルということもあり、舞台俳優っぽい演技をしないのが新鮮で面白い。一方、拓朗くんは王道のミュージカルプリンスっぽく演じるので、個性が分かれてとても良いWキャストになった」と自信をのぞかせた。

上演時間は休憩25分を含む約3時間10分。公演は本日11月9日から12月6日まで行われる。

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ミュージカル「プロデューサーズ」

2020年11月9日(月)~12月6日(日)
東京都 東急シアターオーブ

脚本:メル・ブルックス / トーマス・ミーハン
音楽・歌詞:メル・ブルックス
オリジナル振付:スーザン・ストローマン
日本版振付:ジェームス・グレイ
演出:福田雄一

キャスト

マックス:井上芳雄
レオ:吉沢亮(Wキャスト) / 大野拓朗(Wキャスト)
ウーラ:木下晴香
ロジャー・デ・ブリ:吉野圭吾
カルメン・ギア:木村達成
ホールドミー・タッチミー:春風ひとみ
フランツ・リープキン:佐藤二朗

朝隈濯朗、榎本成志、奥山寛、後藤晋彦、坂元宏旬、高原紳輔、常住富大、福永悠二、堀江慎也、横山達夫、伊藤典子、岩崎亜希子、可知寛子、神谷玲花、小山侑紀、島田彩、伯鞘麗名、福田えり、松島蘭、山田裕美子

※岩崎亜希子の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。

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