「プロデューサーズ」は脚本をメル・ブルックスとトーマス・ミーハンが、音楽・歌詞をブルックスが手がけたミュージカル。劇中では、落ちぶれて破産寸前のブロードウェイプロデューサー・マックス(
幕が開くと、舞台にはきらびやかな電飾と、ブロードウェイの劇場街を模したセットが現れる。オープニングでは井上扮するマックスが、盛りを過ぎた自身の身の上を嘆くナンバーを、悲壮感と滑稽味を漂わせて歌唱した。
マックスとレオが最低のミュージカルを作るために選んだのは、ヒトラーをこよなく愛するフランツ(
井上は、小ずるいがどこか憎めないマックスをコミカルに演じる。二重帳簿が警察に見つかって留置所に入れられたマックスが、失敗に終わった計画を回想する場面では、井上がそれまでのストーリーのダイジェストを歌やダンスを交えながら1人でパフォーマンスし、観客から拍手を浴びた。吉沢はレオの真面目かつ子供の頃から使っているブランケットを手放せないほどの気弱さを、おどおどした態度と弱々しい話し方で表現。一方でレオが時折パニックを起こす場面では、奇声を上げたり独特な体の動きを見せたりして笑いを誘った。
英語がほとんど話せない女優志望者・ウーラ役の
劇中では、「ヒトラーの春」上演のため集まった個性豊かな面々が、華々しい歌や踊りと共にボケとツッコミを次々に繰り出していく。プロデューサーたちが作り上げた“最低”のカンパニーがどのような作品を立ち上げるのか、その全容をぜひ劇場で確かめてみては。
初日に向け、井上、吉沢、大野、演出の福田からのコメントが到着。井上は稽古を「とにかく毎日本気でふざけていました」と振り返る。またブロードウェイのオリジナル版の振付が使われていることを紹介して「スタッフの方々の尽力で今に至っています。皆さんの努力やエネルギーに応えるべく、全力でばかばかしいことをやっているので、2020年の最後は大笑いしにシアターオーブに来ていただけたら」とメッセージを送った。
吉沢は初のミュージカル出演に「皆さんはミュージカル界の素晴らしい方ばかり。最初の歌合わせでは、周囲とのレベルの差にすごく苦しくなって」と苦労をのぞかせつつ、「僕の“仲間”は(佐藤)二朗さんだと思っていたんですけど……二朗さんが意外とミュージカルらしい歌い方をされていて、『おい、嘘だろ』と、裏切られた気分になりました(笑)」と語る。
福田の作品に憧れていたと言う大野は「今回初めてご一緒させていただけることになって、『よしやるぞ!』と思ったんですけど、自分が全然面白くなくて……(笑)」と反省を口にし、「芳雄さんは立ち稽古の初日からセリフが全部入っていて、1つ1つの笑いに全部にツッコんでいてすごかった」と井上を称賛した。
福田は、ミュージカルで初めてタッグを組む井上の印象を「ミュージカルとなると、全然印象が違う。口から声が出ているのではなく、全身で発声している感じでした」と述べた。また今回は、自身の演出作として初のWキャストになると福田。2人のレオの出来栄えについて福田は「吉沢くんは初のミュージカルということもあり、舞台俳優っぽい演技をしないのが新鮮で面白い。一方、拓朗くんは王道のミュージカルプリンスっぽく演じるので、個性が分かれてとても良いWキャストになった」と自信をのぞかせた。
上演時間は休憩25分を含む約3時間10分。公演は本日11月9日から12月6日まで行われる。
ミュージカル「プロデューサーズ」
2020年11月9日(月)~12月6日(日)
東京都 東急シアターオーブ
脚本:メル・ブルックス / トーマス・ミーハン
音楽・歌詞:メル・ブルックス
オリジナル振付:スーザン・ストローマン
日本版振付:ジェームス・グレイ
演出:
キャスト
マックス:
レオ:
ウーラ:
ロジャー・デ・ブリ:
カルメン・ギア:
ホールドミー・タッチミー:
フランツ・リープキン:
朝隈濯朗、榎本成志、
※岩崎亜希子の「崎」は立つ崎(たつさき)が正式表記。
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