「浦カチ」開幕に福士蒼汰＆宮野真守が喜び、「僕らの本気を感じてほしい」

「ヴィレッヂプロデュース 2020 Series Another Style『浦島さん』『カチカチ山』」が、昨日10月4日に東京・東京建物 Brillia HALL（豊島区立芸術文化劇場）で開幕。本日10月5日に行われた囲み取材に、「浦島さん」より福士蒼汰、「カチカチ山」より宮野真守が出席した。

いのうえひでのりが演出する本公演では、太宰治の小説「お伽草紙」より「浦島さん」と「カチカチ山」が回替わりで上演される。倉持裕の脚色による「浦島さん」には福士、羽野晶紀、粟根まことが、青木豪が脚色した「カチカチ山」には宮野と井上小百合がキャスティングされた。

囲み取材に、福士は青を基調とした爽やかな和装、宮野はくたびれた茶色のジャケットとパンツ、ぼさぼさの髪に汚れた顔のメイクといういでたちで姿を現した。福士は2017年の「劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season月 上弦の月」に続き、2作目の舞台となる。2度目の舞台が三人芝居となることに福士は「チャレンジングです」と言いつつ、「僕自身はすごく楽しんでいます。舞台上にいるときは、“自分自身”でいられる感覚がすごくある」と“舞台愛”を垣間見せる。ゲネプロを終えてすぐに囲み取材に参加した福士は、苦笑交じりに「今、すでに相当疲れていて、このあとの初日が心配ですが……」と打ち明け、「気合いを入れ直して、楽しく演じられたら」とやや緊張気味に語った。

一方、昨日初日を迎えた宮野は「二人芝居に挑戦できるのはなかなかない機会。今までにないセリフ量と運動量なので体力的にキツいですが（笑）、初日は手応えがありました」と笑顔で話し、続けて「僕も昨日、ゲネプロを終えて初日を待つ間は福士くんと同じ（不安な）気持ちだった」と福士を元気づける。これを聞いた福士はホッとした表情で「緊張がほぐれました。初日応援しててね。大きな声で笑って！」と宮野にリクエストし、記者たちを和ませた。

作品の見どころを尋ねられると、宮野は「太宰の解釈が入った『カチカチ山』で、少し屈折しています。ある男が欲望にどう向き合うのかという深い心理も描かれているので、楽しんでもらえるのでは」とコメント。福士も「ぶっ飛んでいます。キャラクターの個性が強いので、エネルギーに圧倒されてほしい。社会的なメッセージを感じながら、エンタメとして笑っていただけたら」と「浦島さん」をアピールした。

また本公演は、客席を約半数に減らして行われる。これについて宮野は「正直、未知数でした」と率直に述べつつ、「でも初日ではお客様の期待も高まっていたのか、僕が出た瞬間に拍手が起きた。この温かさが舞台の良さだと思いましたし、客席数は関係なく、お客さんに直接パフォーマンスを観てもらえるのは素晴らしいなと感じられて、幸せでした」と、感慨深げに語る。

福士も宮野の言葉にうなずきながら「僕たちのお仕事は、エッセンシャルではないと思います。でも応援してくれる皆さんのおかげで自分たちが存在できることは、やはりうれしい。今日報道陣の皆さんがこうしてマイクを向けたり、質問してくださったりする時間も特別なものだと心から感じます。俳優をやっていてよかったなと思う瞬間でもありますね」と、表舞台に立つ喜びをかみ締めた。

囲み取材では宮野と福士が、互いの扮装姿に言及する場面も。宮野が約30分かけて施したという“狸メイク”のポイントを紹介しようとすると、福士が「狸メイクってどのへんが？ ただみすぼらしい感じの……」と茶々を入れる。これを受けて宮野は即座に、透明パネル越しに「今『みすぼらしい』って言った!? これ（パネル）壊そうか!?」と福士に詰め寄り、報道陣を笑いで包む。また福士が「メイクには大体15分くらいかかった」と言うと、宮野は「メイク上手だもんね。もともとカッコいいし……」とつぶやき、再び記者たちを笑わせた。

最後に2人は、観客に向けてメッセージを送る。福士は「こういった状況で舞台ができることを光栄に思います。今回は配信もありますし、配信を観ていただくことで『また生の舞台を観たい』と思える作品になっていると思うので、ぜひご覧ください」とあいさつ。続く宮野も「今回の公演は延期になった『神州無頼街』の代わりに立ち上がった企画ですが、決して苦肉の策ではなく、この状況だからこそ新たなエンタメが作れるんだなという可能性を感じました。劇場でもオンラインでも、たくさんの方々に僕らの本気を感じていただきたいです。応援よろしくお願いします！」と呼びかけ、取材は終了した。

公演は10月17日まで。なお全公演の様子が、PIA LIVE STREAMでライブ配信される。