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モノクロの空間にヒール音が響く、「ショールームダミーズ #4」稽古中

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レパートリーの創造 ジゼル・ヴィエンヌ「ショールームダミーズ #4」リハーサルの様子。(撮影:中谷利明)

レパートリーの創造 ジゼル・ヴィエンヌ「ショールームダミーズ #4」リハーサルの様子。(撮影:中谷利明)

2月に京都・ロームシアター京都にて「ショールームダミーズ #4」が上演される。ステージナタリーでは1月下旬、その稽古場を取材した。

「ショールームダミーズ」は、フランスの振付家ジゼル・ヴィエンヌとエティエンヌ・ビドー=レイが、マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」をもとに作り上げた作品で、2001年の初演以来たびたび上演を重ねている。今回は、ロームシアター京都の“レパートリーの創造”シリーズの一環として、女性ダンサーたちと「ショールームダミーズ #4」を新たに立ち上げる。

稽古場には、白の床、白のパネルが建てられ、黒いソファが複数、整然と配置されている。空間の奥には数体のマネキン。うな垂れるように立ったり座ったりしているマネキンたちの顔は、長い黒髪に隠れて見えず、一見すると人間のようにも見える。また稽古場の一角には、黒や金髪など多数のウィッグと、赤いルージュが印象的な女性の仮面が置かれ、稽古場の照明が当たるたびに仮面は、表情を変えるように見えた。そこへ、シャツにスカートを着込み、人によっては7cm以上はあろうかという高いヒール靴を履いたダンサーたちが姿を現した。コツコツコツという固いヒール音と、動きに合わせて揺らぐスカートの裾がモノクロの空間に映え、ダンサーたちの白くしなやかな脚が艶かしい印象を与える。やがてヴィエンヌの合図で、あるシーンの稽古が始まった。

そのシーンでは、ピーター・レーバーグの音楽が流れる中、それぞれの場所に立っていたダンサーたちが、突然動きを停止したり、移動したり、ソファを動かしたり、すれ違ったり……を繰り返す稽古が行われた。動いている間はまったくそう見えないが、動きを止めた瞬間、ダンサーたちは背後のマネキンたちと同化する。またずっと見ていると、あるダンサーがほかのダンサーたちから遠巻きにされていたり、2人あるいは3人のグループが生まれては消えたり、と動きの中から関係性が見えてくる。ヴィエンヌとビドー=レイはそんなダンサーたちの様子をじっと見つめながら、時折2人で意見を交わしつつ、動きのバリエーション、タイミングについて「もっと速く」「もっと後ろに」「リズムの取り方を変えて」と細かな指示を出した。

10分程度のシーンを終えると、ヴィエンヌとビドー=レイはダンサーたちに近寄り、時折自身も動いて見せながら、「止まるときはもっと敏感に、シチュエーションに対する感覚を研ぎ澄ませてほしい」「それぞれの意志が見えるように動いてほしい」と話す。ダンサーたちは時折質問を挟みながら、その言葉を聞いていた。そして一連のやり取りが終わると、ヴィエンヌは必ず「このシーンをもう一度やりたいですか?」とダンサーたちの意志を尋ね、彼女たちの意見を聞きながら次の稽古に進んでいった。

リハーサルの中盤、短い休憩に入る直前に、ヴィエンヌはダンサーたちに「本番用のメイクをまず、自分たちでやってみてほしい」とアナウンスした。ダンサーたちが「どうすれば……?」と静かな動揺を見せると、ヴィエンヌは「それぞれのキャラクターのイメージを、自分で考えてほしい。メイクさんにはそのあとで調整してもらう予定です。皆さんが自分たちの思うようにするのが大事なので」と説明すると、ダンサーたちは納得した表情を見せ、「つけまつげをたくさんつけてみようかな」「すごく濃いメイクにしてみようか」と笑顔で冗談を交し合った。

しかし休憩が終わり、またリハーサルが再開すると、和やかだったムードは一転。ダンサーたちは表情を落とし、シーンに没入していった。「ショールームダミーズ #4」の公演は2月8・9日に京都・ロームシアター京都 サウスホールにて上演される。

レパートリーの創造 ジゼル・ヴィエンヌ「ショールームダミーズ #4」

2020年2月8日(土)・9日(日)
京都府 ロームシアター京都 サウスホール

演出・振付・舞台美術:ジゼル・ヴィエンヌ、エティエンヌ・ビドー=レイ
出演:朝倉千恵子、大石紗基子、高瀬瑶子、花島令、藤田彩佳、堀内恵

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