「魍魎の匣」は、
初日に先駆けて実施された会見には、橘をはじめ
自身も読書好きの橘は、人生で出会ったすべての書籍を所蔵しているという京極の書斎を訪れたことに触れ、「京極先生自身のスタンスが、『魍魎の匣』の登場人物にも生きていると思いました。僕の演じる京極堂こと中禅寺秋彦にも先生の立ち居振る舞いや考え方が生きていると思いますし、ほかのキャラクターにも随所で京極先生のエッセンスが息づいている」と力強く述べる。さらに上演に向けて橘は「舞台という形態でどのような“匣”が開くのか、ぜひ皆さんに楽しんでいただければ」と作品タイトルにちなんで期待を煽った。
木場修太郎を演じる内田は「残酷な表現もありますが、セリフが文学的で言葉が面白い。皆さんの演じるキャラクターが色っぽいので、僕も一生懸命がんばりたい」と意気込みを語り、関口巽役の高橋良輔は「素敵な言葉をたくさんセリフとしていただいていますので、1つひとつ大切にお届けできたら」と抱負を語った。
続いて榎木津礼二郎役の北園は「ご覧になったお客様が何を思って帰るのかすごく楽しみ」と期待をのぞかせ、「榎木津礼二郎として、舞台上で子供のようにはしゃげたら」とコメント。「最近歌やダンスの舞台が多かった」と言う鳥口守彦役・高橋健介は、「今回は言葉だけで戦う作品。ぜひ楽しさを味わっていただきたい」とメッセージを送った。
柚木陽子を演じる紫吹は、「私が今まで出演した舞台は、愛をテーマにしたハッピーな作品が多かったんですけど。今回は、愛は愛でも歪んだ愛と言いますか……(笑)。こんな愛の表現もあるのかと、新たな扉を開かせていただいた」と手応えを述べる。原作について「人間の発想ではなかなかできない仕組みの本」と言うのは、美馬坂幸四郎役の西岡。西岡は「俳優たちはこの強く大きな仕組みに負けないように芝居をしなきゃいけない。エネルギーある演技を皆さんにお見せできたら」と気合十分に話した。
演出の松崎は本作について、「俳優・橘ケンチの代表作になると思っています」とアピール。松崎は稽古を「キャストたちが本当に素晴らしくて、『このメンバーでシリーズを続けたい』と勝手に思ってしまうくらい、充実していました」と振り返り、上演に向けては「フィクションやエンタテインメントの役割の1つに、現実世界を生きる支えや備えになることがあると思う。この作品を観ることで、お客様の中に備えや支えが1つ加わればいいなと」と胸中を明かした。
会見では、紫吹が橘について「主役なのに、率先して稽古場のトイレ掃除をしていて驚いた」とエピソードを披露する場面も。紫吹が「(橘は)トイレ掃除をしていてもカッコいい」と笑顔を見せると、橘は「稽古場のトイレにあまり清掃が入らなくて、みんなに呼びかけたら『やりましょう、やりましょう』と協力してくれたので……あと、こういった作品なので験を担ぎたくなるというか。こういうことは大切にしないといけないかなと思って」と恥ずかしそうに話した。
上演時間は約2時間10分。公演は6月30日まで東京・天王洲 銀河劇場、7月4日から7日まで兵庫・AiiA 2.5 Theater Kobeにて。
舞台「魍魎の匣」
2019年6月21日(金)~30日(日)
東京都 天王洲 銀河劇場
2019年7月4日(木)~7日(日)
兵庫県 AiiA 2.5 Theater Kobe
原作:
脚本:
演出:
キャスト
中禅寺秋彦:
木場修太郎:
関口巽:
榎木津礼二郎:
鳥口守彦:
楠本君枝:
久保竣公:
楠本頼子:平川結月
柚木加菜子:
中禅寺敦子:
雨宮典匡:
須崎太郎:倉沢学
増岡則之:
青木文蔵:船木政秀
福本:小林賢祐
里村紘市:中原敏宏
寺田サト:新原ミナミ
寺田兵衛:
柚木陽子:
美馬坂幸四郎:
※西岡徳馬の「徳」は旧字が正式表記。
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