歌劇「ドン・ジョヴァンニ」井上道義が森山開次に期待「僕の目に間違いない」

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東京・東京芸術劇場の全国共同制作プロジェクト「モーツァルト歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全幕」の記者会見が、本日11月27日に同劇場で実施された。

左から井上道義、森山開次。

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全国共同制作プロジェクト「モーツァルト歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全幕」カンパニーの面々。

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本作は、総監督・指揮の井上道義と演出・振付の森山開次が初タッグで送る、新演出オペラ。もとはイタリア語のオペラだが、今回は英語字幕付きでの日本語上演となる。本日の会見には井上と森山のほか、ドン・ジョヴァンニ役のヴィタリ・ユシュマノフ、三戸大久、高橋絵理、デニス・ビシュニャ、鷲尾麻衣、金山京介、小林沙羅、藤井玲南、近藤圭といったソリストたちが出席し、それぞれ挨拶した。

井上道義

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井上は森山とタッグを組むきっかけを「思いきり若い人とやりたいと思った」と振り返り、「彼は素晴らしい才能を持っている。ここにいる歌手もオーディションで選ばれていますが、僕の目には絶対間違いありません」と断言しつつ「大いに冒険します」と意気込む。また日本語歌詞作成の難しさを語る井上は「やればやるほど地獄に近い」と苦笑しつつ、「オペラと言ったら胸が厚くて体が大きい人のイメージがあるかもしれない。でもモーツァルトの頃はそうじゃなかったんだよ、見たことないけど!(笑)」と笑いを交えながら、「うまくやればモーツァルトに肉薄できるのでは」と自信をのぞかせた。

森山開次

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初となるオペラの演出に際し、森山は「僕の名前を挙げていただくのは、勇気のいることだったと思います。委縮せず思い切って挑戦したい」「僕はオペラに関する知識が浅い。しかし知らないという強みもありますので、勉強しながらも無知でいられたら」と言葉に力を込める。また演出については「ドン・ジョヴァンニを取り巻く女性3人の三者三様なキャラクターが印象的なので、女性をしっかり描きたい」と構想を述べ、舞台装置の模型を示しながら「ドン・ジョヴァンニが女性の子宮の中で暴れ回っているようなイメージを初めに持った。女性を際立たせることで、ドン・ジョヴァンニが生きてくると思う」とプランを語った。

ヴィタリ・ユシュマノフ

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三戸大久

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タイトルロールを演じるヴィタリは「つまらないことは言わないで、と言われたんですが、面白いこと言えるかな……」と口火を切って会場を和ませる。ドン・ジョヴァンニ役を1度目はドイツ語、2度目はイタリア語で演じたというヴィタリは、日本語上演となる本公演に向け「日本語はきれいで大好き。がんばります」と微笑んだ。レポレッロ役の三戸は、本作を日本語で歌うことに戸惑いもあったと述べつつ、「若い世代と一緒に、新しい言葉でこの作品をやれる興奮と期待でいっぱいです」と胸の内を明かした。

高橋絵理

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デニス・ビシュニャ

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ドンナ・アンナのパートをイタリア語で歌ったことがあると言う高橋は「日本語歌詞を緻密に作っていただいていることを感じながら、稽古に励んでいます。しっかりと言葉が届くように歌えたら」と力強くコメントする。そして「マエストロ(井上)の翻訳で“ジャスト”な言葉が付いた、きれいな日本語詞なので歌いやすい」と所感を語るのは、騎士長役のデニス。彼はオーディションで森山からダンスを求められたエピソードを紹介し、「ステージでもダンスするのかな(笑)。とても楽しみです」と笑顔を浮かべた。

鷲尾麻衣

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金山京介(後方)

金山京介(後方)[拡大]

「ドン・ジョヴァンニ」ツェルリーナ役を演じた経験を持つ鷲尾は、今回演じるドンナ・エルヴィーラを「感情を押し殺さずに大好きな人を追いかける人物」と紹介しつつ、「誰しも女性はエルヴィーラのようなヒステリックさを持っていると私は思っています。そういうヒステリックな面をぶちまけられることは、私にとって喜びです!」と気合十分。劇中で唯一のテノールとなるドン・オッターヴィオ役の金山は、「テノールらしさを出せたら」と抱負を語り、「素晴らしいプロダクションに加えていただき光栄」と喜びの表情を浮かべた。

小林沙羅

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藤井玲南

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ツェルリーナ役の小林は、踊ることが好きでバレリーナを目指していたと話す。小林は森山が参加する本作への出演を熱望していたと明かし、「3度回って椅子に座るよう言われたんですけど、受かりたい気持ちが強すぎて4度回ってしまった」とオーディションを振り返る。同じくツェルリーナ役の藤井は小林のオーディションでのエピソードを受け、「すべてをさらけ出さないと付いていけない、誰も観たことがない舞台になるのではと思っています」と期待を煽った。

近藤圭

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母がバレエ講師、姉がバレエダンサーだという近藤は「バレエをやれと言われていたんですが、当時の僕はどうしても白タイツが嫌で……すごく後悔している」と笑い交じりに告白し、「バレエを観るのは大好き。踊る自信はありませんが、森山さんの演出でどんな化学反応が生まれるか楽しみです」と笑顔を見せた。

左から井上道義、森山開次。

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会見では、森山が以前は歌手を目指していたことを記者から指摘され、井上や出演者たちが「ほんと!?」とざわめく場面も。森山は笑いながら「もし生まれ変わったら歌う人になりたいと思う」とうなずき、「実際の自分は声を張り上げるタイプではないですが、歌や声の表現に憧れがあり、ミュージカルに飛び込んみ、そこでダンスに魅了されました」と回顧し、「言葉のないダンスを突き詰めながらも、言葉のある世界に戻りたい気持ちもありました。だから今回、言葉を扱うプロダクションに出会えてうれしい」と胸中を打ち明けた。

さらに「オペラ×ダンスの邂逅」と銘打たれた本作について森山は「音楽に合わせて動くことだけが踊りではない」と話し、「オペラ歌手は動かないというステレオタイプがありますが、たとえ動かなくても踊っているような身体はありえる。止まっていることすら踊りと考えれば、すべてを踊りとして捉えられると思います」と考えを述べる。井上は森山のコメントを「『止まっていても踊れる』という考えは、能の世界に近い。彼はダンスを始めたのが遅かったけど、だからこそ“専門”による分断から逃れ、不要なものを取り去ってくれるのでは」と分析し、森山に期待を寄せた。

井上道義(後列中央左)と森山開次(後列中央右)を囲むダンサーたち。

井上道義(後列中央左)と森山開次(後列中央右)を囲むダンサーたち。[拡大]

なお本作を彩るダンサーには、オーディションで選抜された浅沼圭、碓井菜央、梶田留以、庄野早冴子、中村里彩、引間文佳、水谷彩乃、南帆乃佳、山本晴美、脇坂優海香が名を連ねている。公演は来年2019年1月26・27日に東京芸術劇場 コンサートホールにて。また1月20日には富山のオーバード・ホール、2月3日には熊本・熊本県立劇場 演劇ホールでも上演される。

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全国共同制作プロジェクト「モーツァルト歌劇『ドン・ジョヴァンニ』全幕」

2019年1月20日(日)
富山県 オーバード・ホール

2019年1月26日(土)・27日(日)
東京都 東京芸術劇場 コンサートホール

2019年2月3日(日)
熊本県 熊本県立劇場 演劇ホール

総監督・指揮:井上道義
演出・振付:森山開次

キャスト

ドン・ジョヴァンニ:ヴィタリ・ユシュマノフ

レポレッロ:三戸大久
ドンナ・アンナ:高橋絵理
騎士長:デニス・ビシュニャ
ドンナ・エルヴィーラ:鷲尾麻衣
ドン・オッターヴィオ:金山京介
ツェルリーナ:小林沙羅(1月20日、26日、2月3日)、藤井玲南(1月27日)
マゼット:近藤圭

ダンサー:浅沼圭、碓井菜央、梶田留以、庄野早冴子、中村里彩、引間文佳、水谷彩乃、南帆乃佳、山本晴美、脇坂優海香

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