オペラ「プッチーニ/歌劇『トスカ』」の演出を手がける映画作家・
河瀬がオペラの演出を手がけるのは今回が初。舞台をローマから古代日本のとある集落“牢魔”に読み替え、主人公2人が想定外の悲劇的な死を迎えるさまを、“祝祭の1日に起きた悲劇”として描く。指揮は新潟、富山、沖縄公演を大勝秀也が、東京、石川公演を広上が担当する。
河瀬はオペラの初演出について、「さまざまな人たちがどのように関わっていくのか楽しみ。たくさん影響を受けながら進めています」と目を輝かせ、「絶望感を味わうことが多い時代だけれど、生きていくには希望を持たないと豊かになれない。主役を含め登場人物がみんな死んでしまうこの悲劇を、希望の物語に変えることが自分の使命だと思っています」と、演出を引き受けた理由を真摯な表情で述べる。
主人公トスカについては「信仰心が高く愛に生きる女性」と分析し、「古代における女性の役割やトスカの力など、共感できるところがあれば体現していきたい」と意気込む。また「旋律は素晴らしいもの。でも、その後に訪れる静寂だったりに、私たちは心を持っていかれるのでは」とコメント。「一番気になっているシーンは、スカルピアを殺めたあとのトスカの気持ち。あそこをどう描くのかで、この作品がだいぶ変わっていくと思います」と作品の構想を覗かせた。
河瀬自らが制作する映像と、建築家・重松象平が手がける舞台美術のコラボレーションも見どころの1つ。舞台での映像表現について問われた河瀬は「舞台は映画と違って3次元。映画という平面の世界から空間のある世界を作っていきたい」「装置がゴツゴツしていると映像が取って付けたようになるので、バランスを意識しています。舞台装置はできるだけシンプルにして、光と影を見せていきたい」と構想を明かす。
広上は河瀬とのコラボレーションについて「日本を代表する映画監督で、分野を超えた1人のアーティスト。違う分野の人と融合することで、少しでも多くの人たちにクラシックの音楽をいいなと思ってもらえたらと思い引き受けさせていただきました」とコメントした。
最後に河瀬は「オペラってどういうキャラクターの人たちが関わっているのだろうかと思っていたけど、一番キーになる広上さんとコミュニケーションできたことで『やろう!』と思えました」と広上との交流を語り、「河瀬をきっかけとしてこの作品を観た方に、またオペラを観てみたいと思ってもらえるような役割が果たせたらいい」と期待を込めた。
「プッチーニ/歌劇『トスカ』」は、10月の新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館公演を皮切りに、東京、石川、富山、沖縄で上演される。
※河瀬直美の瀬は旧字体が正式表記
全国共同制作プロジェクト「プッチーニ/歌劇『トスカ』」
2017年10月15日(日)
新潟県 りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 コンサートホール
2017年10月27日(金)・29日(日)
東京都 東京芸術劇場 コンサートホール
2017年11月8日(水)
石川県 金沢歌劇座
2017年11月12日(日)
富山県 新川文化ホール 大ホール
2017年12月7日(木)
沖縄県 沖縄コンベンションセンター
演出:
指揮:大勝秀也、広上淳一
キャスト
トス香(トスカ):ルイザ・アルブレヒトヴァ
カバラ導師・万里生(カヴァラドッシ):アレクサンドル・バディア
須賀ルピオ(スカルピア):三戸大久
アンジェロッ太(アンジェロッティ):森雅史
堂森(堂守):三浦克次
スポレッ太(スポレッタ):与儀巧
シャル郎(シャルローネ):高橋洋介
看守:原田勇雅
牧童:鳥木雅生
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リンク
- プッチーニ/歌劇『トスカ』《新演出》 東京芸術劇場
- プッチーニ 歌劇《トスカ》 | 公演情報 - りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館
- 河瀨直美 公式サイト
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河瀬直美がオペラ演出を引き受けた理由とは?歌劇「トスカ」で希望を描く
「生きていくには希望を持たないと豊かになれない。主役を含め登場人物がみんな死んでしまうこの悲劇を、希望の物語に変えることが自分の使命だと思っています」
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