野村萬斎「鎮魂と再生の精神を生かす」東京2020開閉会式の記者会見

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2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックの開会式・閉会式に関する記者会見が、本日7月31日に東京都内で行われた。

東京2020年大会開会式・閉会式に関する記者会見より。左から山崎貴、野村萬斎、佐々木宏。

東京2020年大会開会式・閉会式に関する記者会見より。左から山崎貴、野村萬斎、佐々木宏。

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左から山崎貴、野村萬斎、佐々木宏。

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会見には開閉会式のチーフ・エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターに就任した野村萬斎、オリンピックのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターに就任した山崎貴、パラリンピックのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクターに就任した佐々木宏、そして東京2020組織委員会チーフ・セレモニー・オフィサーの中井元氏が登壇。進行は同委員会スポークスパーソンの高谷正哲氏が務めた。

野村萬斎

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はじめに萬斎は、式典の統括責任者に選ばれた心境について「大役に非常に身の引き締まる思い。シンプルかつ“和の精神”に富んだ式典になるように全力を尽くしたい」と挨拶。山崎は「あと2年ということで、日本らしく素晴らしい開閉会式ができるといいなと考えています」と展望を語った。

佐々木宏

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また16年のリオデジャネイロオリンピック閉会式にて、2020東京への引き継ぎ式を手がけた佐々木は、「今回のチームにはリオのときに一緒だったメンバーも入っています。1964年東京オリンピックのとき、私は小学生だったんですが、そのころからパラリンピックや障害をお持ちの方の環境もずいぶん変わっていると感じています。オリンピックに負けないよう、挑戦者のつもりでがんばっていきたい」と決意を表明した。

中井元氏

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続く中井氏は「実施体制の軸がしっかりでき、大変うれしく思っております。基本プランの最終案を受け、企画・演出を具体化していく新しいフェーズに入ったと認識しており、社会的意義のある、記憶に残る式典を作っていただきたいと思っております」と期待を寄せた。

萬斎は式典に携わるチームメンバーについて「それぞれ才能をお持ちで、いずれも欠けてはならない素晴らしいメンバー。これから新しい方が参入されることも、もちろんあると思います。適材適所になるような布陣で厚みを持って作っていきたい」とビジョンを語った。

記者から式典のコンセプトについて尋ねられた萬斎は「“鎮魂と再生”というのは、能や狂言という我々の芸能の重要な部分で。その精神を生かすことに意味があるのではないか?というのは、チームの皆さんに賛同いただいております。なにより上質な日本の精神にのっとったものにしたい」と心境を述べた。

続いて、印象に残っている歴代オリンピックの開閉会式について尋ねられた萬斎は「それぞれの国の考え方、取り組み方があって、どれか1つとは言い難いです。東京大会も世界中の皆さんの記憶に残る、意義ある式典にできれば」とコメント。

山崎貴

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山崎は「ロンドンの開会式が好きです。日本は日本で、どのように日本らしい形でやればいいのかを考えていきたい」と回答する。また佐々木は「68年のフランス・グルノーブルの冬季大会が好きです。聖火ランナーが入ってくるとき、ちょうど入り口で夕日が沈むタイミングで、ランナーが夕日から火を受け取ったように見える。その演出のために、その場所に競技場が作られたことを知り、感動しました」とエピソードを述べた。

野村萬斎

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式典の演出について尋ねられた萬斎は「まだ具体的なことは申し上げられませんが、百聞は一見にしかず、なるべく観てわかるものにしたい。また伝統的な発想がありながら、現代に生きる人々の印象に残るようなテクノロジーを含めて盛り上げていきたい」と意気込んだ。山崎は「萬斎さんに話していただいたコンセプトはどんな意味にも捉えられるし、掘れば掘るほど深まっていくと思います。面白いものができるんじゃないかなと思います」と自信をのぞかせる。

佐々木は「リオのとき、椎名林檎さんから『東京は粋な街だから、トンチを効かせましょう』という一言があって、みんなをびっくりさせようと“安倍マリオ”のアイデアが生まれました。萬斎さんも伝統芸能を受け継いでいらっしゃいますが、ムーンウォークがお得意だったり(笑)、チャーミングな部分があります。それに萬斎さんという“重し”があることで、私たちは、思いっきりやんちゃができる気がしています(笑)。『日本はかっこいい!』と思われるような式典、大会にしていけたら」と笑顔を見せた。

野村萬斎

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さらに能楽師として、式典にどのような手法を用いるのか、プランを尋ねられた萬斎は「古典芸能を無理に結びつけるのではなく、必然を持たせたいです。ハイアートからエンタテインメントまでを貪欲に網羅し、ときに静まり、ときに高揚し、振れ幅のある式典にしたい」と続ける。また“和の精神”については、「日本の独自性もありますが、独自すぎて皆さんと乖離してしまうのではなくて、親近感のある伝え方にしたい。ワクワクやドキドキ感もないと説教くさいだけになりますから(笑)。また内側からだけではなく、日本を外側から見る目線も大切にしたいです」と付け加えた。

オリンピック・パラリンピックの開閉会式という4つの式典が連続性を持って実施されることについて萬斎は「式典を4話完結とするなら、パラリンピックの閉会式が結びになるわけです。その結び方が未来へ発信する大きなポイントになる。パラリンピックもこれから変化していく局面にあり、2年後、パラスポーツが大いなる変容を遂げる可能性も十分にあります。東京2020が、パラリンピックにおいての起点、新たな形になればいい。それを具体的なものにしていくのが、我々の宿題かと存じております」と会見を締めくくった。

なお式典のクリエイティブ・ディレクターには川村元気、栗栖良依、椎名林檎、菅野薫、MIKIKOが就任。今後はさまざまな人材がチームに参加し、体制が構築されていく予定だ。

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