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池内博之がカフェで台本に号泣、「赤道の下のマクベス」トークイベント

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「赤道の下のマクベス」トークイベントより、左から鄭義信、池内博之、平田満。

「赤道の下のマクベス」トークイベントより、左から鄭義信、池内博之、平田満。

3月に東京・新国立劇場 小劇場で上演される「赤道の下のマクベス」の公演に先駆け、鄭義信池内博之平田満によるトークイベントが本日12月18日に同劇場 オペラパレス ホワイエで開催された。

鄭義信が脚本を手がける本作は、2016年にソン・ジンチェクの演出にて韓国・ソウルで初演された作品。今回は戯曲を大幅に改訂しての日本初演となる。作品の舞台は1947年の夏。BC級戦犯としてシンガポール・チャンギ刑務所に収容され、死刑執行を待つ日本人や、かつて日本国籍だった朝鮮人らを描く物語だ。

トークイベントには作・演出の鄭、朴南星役の池内博之、黒田直次郎役の平田満のほか、本作の制作を担当する新国立劇場の伊澤雅子氏が登壇した。

戯曲について「カフェで読んでいたら号泣してしまって、最後まで読めなかった」と言う池内は、「こういう事実を知らなかったことが情けない。この作品を作ってくれた鄭さん、ありがとうございます」と鄭に感謝を述べる。続いて「キャスティングしていただいてありがとうございます」と伊澤氏に一礼して会場の笑いを誘い、「他人事じゃない気がするんです。国境を越えてたくさんの方々に観てほしいですし、若い人にも知ってほしいですね」と話す。また池内は自身の演じる朴南星の印象を「非常に強い」と述べ、「僕だったら泣きじゃくってしまうと思います。でも南星は今を強く生きることをすごく大事にしていて、役を演じることで僕自身も成長できるのではないかと思います」と力強く語った。

第2次世界大戦で父が沖縄で捕虜になっていたと言う平田は、戦争を扱う作品への出演について「戦争も知らないのにおこがましい、という気持ちがありました」と明かす。平田は「でも父の世代の方々もいなくなってきている今、このような作品に出会えたことは何かの巡り合わせだと思います。大変ハードルの高い作品ですが鄭さんの愛を信じて、男ばっかりのむさ苦しい芝居を最後まで全うしたいです」と笑顔を見せた。また64歳の平田は、自身の演じる黒田役に関して「この歳で、僕なんかが戦争に行っていいのかな」と漏らし、客席を笑いで包む。続けて「でも酸いも甘いも噛み分けたおじさんが混ざるのも面白いなと。僕には純粋な若者は絶対できないので、そういうおじさんやお父さんだったら僕のやる意味もあるかなと思います」と微笑んだ。

昨日17日までシンガポールで取材を行っていた鄭は、現存する戦争資料の少なさに驚いたと言う。チャンギ刑務所での裁判については「写真を見ると弁護人もいなかったようです。処刑された人についての資料は全くありませんでした」と話し、「その歴史を演劇として記録していかなくてはならないし、知ってほしい。こちらとあちらで歴史が違うのは当たり前ですが、それを声高に言うのではなくて、限りある命の中で運命に立ち向かう人々を描くことで皆さんに戦争や命について考えてほしい」と続ける。鄭は「極限の状況でも明るく生きようとする人たちを描きたかった」と本作に込めた思いを明かし、「観終わったあと絶望するのではなく、明日いいことがあるかもしれない、今を必死に生き抜かなくては、と思っていただければ」と客席に目を向けた。

最後に平田、池内、鄭が上演に向けて意気込みを述べた。平田は「こういう兵士の物語はやり残したことの1つだと思うので、楽しみです。お客様もこの話を通して、人間というものを見られるんじゃないかなと。今やるべき演劇として上演できたらいいなと思います」と語る。続く池内は「稽古は大変だと思いますが、楽しみです。精一杯演じ切って、何かを伝えられたらと思います。たくさんの方々に、特に若い人には来ていただきたいですね。SNSを使っていろいろがんばるので(笑)、よろしくお願いします」と観客に呼びかけた。池内のコメントを受けて鄭は「稽古は言うほど大変じゃないと思います。楽しい稽古を目指します。内容は厳しいですが」と笑顔を見せ、「2016年にこの作品を韓国でやったとき、どうしても日本の皆さんに届けたいと思いました。心に残る作品の1本になれればと思います。どうぞ足をお運びください」と締めくくり、トークイベントは終了した。

本作の上演は3月6日から25日まで。チケットは1月20日に発売される。

「赤道の下のマクベス」

2018年3月6日(火)~25日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場

作・演出:鄭義信
出演:池内博之浅野雅博尾上寛之丸山厚人平田満 / 木津誠之チョウ・ヨンホ、岩男海史、中西良介

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