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「赤道の下のマクベス」開幕、死刑囚役の池内博之「輝いて生きていく」

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「赤道の下のマクベス」フォトコールより。左から池内博之演じる朴南星、平田満演じる黒田。

「赤道の下のマクベス」フォトコールより。左から池内博之演じる朴南星、平田満演じる黒田。

「赤道の下のマクベス」が明日3月6日に東京・新国立劇場 小劇場で開幕。これに先駆け本日5日、同劇場でフォトコールと囲み取材が行われた。

鄭義信が脚本を手がけ、2016年にソン・ジンチェクの演出にて韓国・ソウルで初演された作品。今回は戯曲を大幅に改訂し、鄭自身による演出で日本初演が行われる。作品の舞台は1947年の夏。BC級戦犯としてシンガポール・チャンギ刑務所に収容され、死刑執行を待つ日本人や、かつて日本国籍だった朝鮮人らが描かれる。出演者には池内博之浅野雅博尾上寛之丸山厚人平田満らが名を連ねた。

フォトコールでは冒頭の約30分が公開された。独房の扉が並ぶ灰色の壁と、背後にそびえ立つ絞首台に囲まれた死刑囚用の監獄・Pホールで物語が展開していく。虫の声が鳴り響く中、明るい日差しに照らされて死刑囚たちは朝を迎える。演劇に憧れてマクベスを読む朴南星、死刑囚の身を嘆いて泣いてばかりの李文平、元日本軍人の山形や黒田、小西らは、碁を打ったり、手紙を書いたりしながらこれまでの人生や外の世界に思いを馳せていた。腹を空かせた彼らがわずかばかりの朝食を待っていると、一度無罪で釈放されたはずの金春吉が看守に連れられてやってきて……。

囲み取材には池内、平田、鄭が出席。朴南星を演じる池内は「全身全霊で、とにかく精一杯この役を演じることが第一かなと思っています」と意気込む。また台本を初めて読んだときはカフェで涙が止まらなくなってしまったことを明かし、「泣いて先が読めませんでした。そのぐらい、すごくいいお話」と本作をアピール。さらに役作りについては「瞬間をポジティブに、楽しく生きていく」を大事にしてきたと池内。「死に向かってはいるんですけど、そこまでの時間に輝いて生きていくことを意識しました」と力強く続けた。

「ちょっぴり緊張を……いやずいぶん緊張してるかな(笑)」と言う黒田役の平田は、歴史上の出来事をベースにした本作を「普通の人たちの視点に立ったお話」と分析。続けて「普通だけど個性的な人たちが悶え苦しんだり、笑ったり、バカなことをやったりする」と作品の魅力を語り、自身と池内の役どころについては「池内くんはカッコいいですが、僕はそこにくっ付いている汚いジジイ」と茶目っ気たっぷりにコメントした。また平田は登場人物が全員男性であることにも言及。「バカなことばっかりやってる彼らは男子中学生みたいで。そこがかわいく、魅力的に見えたら」と見どころを紹介した。

「ドキドキです」と胸の内を明かすのは鄭。第二次世界大戦を背景とする本作については「BC級戦犯を描いた厳しい話ですが、その中でも人と人のつながり、友情や愛情など深い人間のつながりを観ていただければ」とアピールした。また「素敵な俳優さんに恵まれた」と言う鄭が「池内さんの役は死刑囚ですが、ポジティブな役割を担うことになるので『もっとかわいく』とか『そこはもっと笑かしてくれ』みたいな無茶ぶりにいろいろ応えてもらいました。平田さんにも無茶ぶりしましたが、真摯に応えてくれて……申し訳ない(笑)」と稽古を振り返ると、池内と平田は口々に「楽しいですよ!」と鄭に笑顔を向けた。

最後に池内が「難しい話ではあるんですけど、その中に友情や笑いや涙といろんな要素が詰まっていて、楽しんで観ていただけると思います。絶対に何かメッセージを受け取っていただけると思うので、それを持って帰っていただけたら」と呼びかけ、取材は終了した。

上演時間は休憩含め約2時間45分。また3月14日13:00公演の終演後にはアフタートークが開催され、鄭、池内、平田のほか新国立劇場芸術監督の宮田慶子が登壇する。公演は3月6日から25日まで東京・新国立劇場 小劇場、4月5・6日に兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール、4月11日に愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT、4月15日に福岡・北九州芸術劇場 中劇場で上演される。

※初出時より、上演時間を変更しました。

「赤道の下のマクベス」

2018年3月6日(火)~25日(日)
東京都 新国立劇場 小劇場

2018年4月5日(木)・6日(金)
兵庫県 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホール

2018年4月11日(水)
愛知県 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

2018年4月15日(日)
福岡県 北九州芸術劇場 中劇場

作・演出:鄭義信
出演:池内博之浅野雅博尾上寛之丸山厚人平田満 / 木津誠之チョウ・ヨンホ、岩男海史、中西良介

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