中村米吉の#カワイイは世界を救う? 第22回 [バックナンバー]
あいらしか×あいらしか!中村米吉、博多人形の絵付けに挑む
嫁吉制作の可愛すぎる“米吉姫だるま”にも注目!
2024年10月22日 19:00 9
2・3月の新橋演舞場公演を皮切りにスタートした、新キャストによるスーパー歌舞伎「ヤマトタケル」。その集大成となる博多座公演が、10月22日に終演。我らが“可愛すぎる女方”
このコラムは、博多弁で“カワイイ”を意味する“あいらしか”炸裂な米吉に、自分以外の“あいらしか”なものを紹介してもらい、あいらしか×あいらしかの相乗効果で読者を癒やすことを目的にしている。さて、読者の皆さんは覚えていらっしゃるだろうか、本コラムの第0回で、米吉が持っていた「あいらしか」ファイルのことを……。今回は、“あいらしか”の本場・博多で“博多カワイイ”を見つけてきてほしい、と編集部からリクエスト。果たして米吉は応えてくれるだろうか。
題字:中村米吉
#カワイイは世界を救う?in博多、スタート!
「やっと伏線回収ができますね!」
本連載の担当編集者・フェアリー櫻井から、嬉々とした様子が目に浮かぶメールが来ました。
伏線回収??
なんのこと!?
第0回の博多弁 “あいらしか”クリアファイル?
今月「ヤマトタケル」の博多座公演のために博多にいる私が、博多でカワイイを探すことで、第0回の伏線を回収したような形になるって……?
いったい誰が覚えているというのだ!(笑)
とはいえ、図らずも自ら伏線を張ってしまった以上、回収するのが最近のトレンドだそうな……。
「#カワイイは世界を救う?in博多」
望むところです!!
伏線のタネである博多方言クリアファイルでは、“あいらしか”を使いたい所として、国内では今やたった2か所でしか会えないラッコを飼育している“マリンワールド海の中道”を紹介していました。
それなれば貴重なラッコ様に会いに行くしかないではないか!
と意気込みは十分だったものの、時間が作れず断念……。
(こうなったら恥を忍んでアンパンマンミュージアムに行くしかないのか……)
と思い悩みながら、博多座の周りを歩いていると、博多らしいカワイイものがあるではないですか!
それは、博多人形!!
これぞ“THE 博多”のカワイイものの代表格ではないですか!
店内にはたくさんの博多人形たちが。
たまに似てる、って言われることもあるんですが似てるんだろうか……。
似せてみたけど、私こんなに素敵ではない。
おっと、これは来月、明治座で上演される「藤娘」ではありませんか!
どれもこれも素朴なんだけど品があって、“あいらしか”ですね!
と、拝見していると、焼きっぱなしで完成していない人形たちが並んでいました。
こちらでは自分で絵付けができるのだそう!
これはやるしかない!と腕まくりをして下手の横好きを発揮してきました。
選んだのは花嫁さん。一応新婚さんですんでね。
薄い色から塗っていくんですが、これが凹凸もあるし、よく水分を吸うので、水と絵の具のバランスが難しい!
お見本を見ながら四苦八苦。
あまりに険しい顔でやってたからなのか、お店の方が「あまり根を詰めんと、一息つきんしゃい」とお茶をくださいました。
ありがたい!
顔、特に目の難しさたるや!
画竜点睛を欠く、とはよく言ったもので瞳が効かないとどうにもなりません。
1時間強近くかかり、完成!
打掛の絵柄はうちの奥さんが着ていた物をイメージして描きましたが、柄がややこしすぎて、なんで格好つけてそんなの選んだのかと後悔しています。
ちなみに、うちの奥さんも一緒にやっていましたが、この姫だるまは私の顔をイメージしたんだとか。
目、垂れすぎだから!!(笑)
納得いく出来ではありませんが、とても貴重な経験ができました。
自分で作ると、やっぱり本物の素晴らしさに感じ入りまして、お一人お迎えしてしまいました。
黒紋付のお多福さん!
どうも男運の悪い2人の可哀想な姫君にも福が来ますように……。
一時はどうなるかと思った博多のカワイイ探訪も博多らしい題材を得て、とても良い時間も過ごせました。
よかったよかった。
でも、第0回の伏線は回収できていない……!
それは次回の博多座出演の時までのお楽しみということで!
次の博多座なんて決まってないから、いつになるかわかりませんが、それまではどうにかこの連載を続けていくしかなくなりましたね!!(笑)
プロフィール
中村米吉(ナカムラヨネキチ)
1993年、東京都生まれ。播磨屋。中村歌六の長男。2000年に中村米吉の名を襲名して初舞台。2011年から女方を志し、「鬼一法眼三略巻 菊畑」で皆鶴姫、「与話情浮名横櫛」でお富、「松浦の太鼓」でお縫、「仮名手本忠臣蔵 七段目」で遊女お軽、「絵本太功記」で初菊などを勤める。またアメリカ・ラスベガスで行われた歌舞伎興行では、2015年に「鯉つかみ」小桜姫役、2016年に新作歌舞伎「獅子王」白縫姫役で出演。2015年には「鳴神」の雲の絶間姫役の演技で十三夜会奨励賞、2021年には第42回松尾芸能賞で新人賞を受賞した。11月には東京・明治座での「明治座 十一月花形歌舞伎」昼の部「藤娘」で藤の精、夜の部「鎌倉三代記」で、女方の大役である三姫の1つ時姫に挑む。本公演で、米吉は三姫のすべてを演じることになる。11月23日には、明治座にてトークショーを開催する。また12月には「十二月大歌舞伎」昼の部「あらしのよるに」では、2018年の博多座公演ぶりに、みい姫を勤める。
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