長谷川カオナシ(
カバーで幕開け
クリープハイプでの活動の傍ら、自身名義のソロアルバムをリリースすることを夢見ていた長谷川。11月26日には、ベースのほかエレキピアノやビオラなども演奏する彼が全曲作詞作曲に挑戦した念願の1stソロアルバム「お面の向こうは伽藍堂」をリリースした。「フシアナサンとロムの会」はソロアルバムの発売を記念して行われたライブ。長谷川がゲストの古山菜の花、サポートバンドを迎えてパフォーマンスを展開した。
ホールが暗転すると、狐のお面を頭に着けた長谷川が登場。キーボードの前に着席し「自分の責任で主催ライブをするのは生まれて初めてです。変な汗をかきそうですね」とやや緊張気味な様子を見せる。「フシアナサンとロムの会」はクリープハイプのインディーズ期の楽曲「さっちゃん」で静かに幕開け。「お面の向こうは伽藍堂」の収録曲「ハエ記念日」のアレンジに参加した
ゲストは“長谷川の上位互換”
弾き語りのカバーに続いては、古山とのコラボレーションパートへ。弾き語り動画を観て彼女の才能に惚れ込んだ長谷川は「長谷川の上位互換です」と紹介し、古山を舞台に招き入れる。長谷川は鍵盤ハーモニカ、古山はアコースティックギターやハーモニカを演奏しながら、古山の楽曲「もののけはいないよ」、長谷川の楽曲「白い子」をそれぞれデュエット。初共演とは思えないほど息ぴったりのハーモニーでオーディエンスを惹き付けた。コラボを終えた長谷川は古山にステージを任せて一旦退場した。
「『もののけはいないよ』を覚えてくださってありがとうございます」と長谷川に感謝を伝えた古山。「素敵なコンサートに微力ながらかかわらせていただき大変光栄に思います。3曲の“辛抱”です。よろしくお願いいたします」というよどみない彼女の口上から、架空の友だちをテーマにした「嫌太郎」へつなげると、カズーも織り交ぜたリズミカルなサウンドと伸びやかな歌声が会場中に広がる。さらに、音楽活動の傍ら、ラブホテルで清掃員もこなす古山自身についてつづった「ラブホテルで働くということ。」、妄想が膨らむラブソング「マジシャンの恋」がビブラートの効いた歌声で届けられた。
マイク1本で
ライブは長谷川とサポートメンバーのチバソウタ(G)、福井健太(B)、星野菜名子(Key, Cho)、矢尾拓也(Dr)によるバンド編成のパートへと突入。「お面の向こうは伽藍堂」の収録曲や新曲が披露され、幕間には長谷川が笑いを生み出すVTRが流れる。ベースやキーボードなどさまざまな楽器を操ってきた長谷川だが、彼の手にはマイク1本。アイロニックな歌詞が印象的な「金木犀」では、きらめくアンサンブルと長谷川のピュアなボーカルが重なる。そして、フレネシと制作された初披露の新曲「シャルルボネ彼氏」や、NHK「みんなのうた」2025年10月と11月の放送曲として話題の「かくれんぼの達人」が続き、会場には静かな熱気が漂った。
「お面の向こうは伽藍堂」について、長谷川は「大好きな人たちがカッコいい音を出してくれました。すごくわがままにアルバムを作りました。許してくれたクリープハイプは最高です!」と語る。その後、「刹那の夏」で指揮棒を振って情感豊かに歌い上げ、「僕の居ない明日に吠え面かきやがれ」では一転してステージをさまようように歩き、鋭い眼差しで挑発的な歌声を放った。
心温まるバラード「かの森のペンフレンド」のあと、ゲームミュージックを彷彿とさせる「恋する千羽鶴」、鶏の鳴き声のようなスキャットがインパクトを残した「鶏姫様を食べられない」という作風の異なる楽曲で表現力の幅を見せる長谷川。ライブのために作ったという疾走感あふれるナンバー「縁切神社」、長谷川の楽曲らしいおどろおどろしい世界観の「ハエ記念日」では彼が軽快なサウンドに身を委ねるように体を揺らして歌っていた。
ライブは残すところあと1曲。長谷川は胸の内を明かす。「クリープハイプをやらせていただいて、あらゆる夢がとっくに叶っていて。あとはこのままクリープハイプをやれていれば十分なんです。でも、まだやったことがないことがあって、ロックンローラーが言うのは恥ずかしいんですけど、私、紅白歌手になりたいんです」という彼の言葉を後押しするように、ホールには大きな拍手が沸き起こった。夢を語った長谷川は「馬の骨に候」をパフォーマンスしてステージをあとにした。
なお長谷川は2月から3月まで各公演で異なるゲストを迎える東名阪ツアー「フシアナサンとロムの板」を行う。
セットリスト
長谷川カオナシ「フシアナサンとロムの会~カオナシが丸腰で歌う夜~」2025年11月30日 日本橋三井ホール
長谷川カオナシ(弾き語り)
01. さっちゃん(クリープハイプ)
02. 悪魔の絵本の歌(谷山浩子)
03. 拝啓(ザ・マスミサイル)
長谷川カオナシ&古山菜の花
01. もののけはいないよ(古山菜の花)
02. 白い子
古山菜の花
01. 嫌太郎
02. ラブホテルで働くということ。
03. マジシャンの恋
長谷川カオナシ(バンド)
01. 金木犀
02. シャルルボネ彼氏
03. かくれんぼの達人
04. ねんねんころり
05. 刹那の夏
06. 僕の居ない明日に吠え面かきやがれ
07. あなたはきっと
08. かの森のペンフレンド
09. 恋する千羽鶴
10. 鶏姫様を食べられない
11. 縁切神社
12. ハエ記念日
13. ウサギとオオカミ
14. 馬の骨に候
公演情報
長谷川カオナシ「フシアナサンとロムの板」
~東京・府中スレ~
2026年2月27日(金)東京都 府中の森芸術劇場 どりーむホール
~愛知・名古屋スレ~
2026年3月1日(日)愛知県 中日ホール
~大阪・西梅田スレ~
2026年3月2日(月)大阪府 サンケイホールブリーゼ
