結成25周年のART-SCHOOLが示した、絶望の先にある美しい光

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ART-SCHOOLの全国ツアー「ART-SCHOOL 25th ANNIVERSARY TOUR 2025『1985』」が本日10月4日に北海道・SPiCEで終幕した。この記事では9月7日に行われた東京・LIQUIDROOM公演の模様をレポートする。

「ART-SCHOOL 25th ANNIVERSARY TOUR 2025『1985』」東京・LIQUIDROOM公演の様子。(Photo by HIROHISA NAKANO)

「ART-SCHOOL 25th ANNIVERSARY TOUR 2025『1985』」東京・LIQUIDROOM公演の様子。(Photo by HIROHISA NAKANO)

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結成25周年に見せた歴史と現在地

ステージに姿を現した木下理樹(Vo, G)、戸高賢史(G)、サポートメンバーの中尾憲太郎(B / Crypt City)、藤田勇(Dr / MO'SOME TONEBENDER)、やぎひろみ(G / Cruyff)は最新アルバムの1曲目を飾るナンバー「Trust Me」でライブを開始し、ほのかな希望をはらんだみずみずしいサウンドで場内を満たす。高揚感に満ちた空気の中、そのまま彼らは「MISS WORLD」「スカーレット」といったファンに長く愛されてきた楽曲を続けて届け、フロアを一気にヒートアップさせた。熱のこもった演奏に心を駆り立てられるように、フロアを埋め尽くす満員のオーディエンスが一斉に手を突き上げる。「We Are All Broken」では荒れ狂うような躍動感のあるビートと退廃的な空気をまとった歌声が響き渡り、「FIONA APPLE GIRL」で狂気を含んだ世界観はさらに深みを増していった。

木下理樹(Vo, G)(Photo by HIROHISA NAKANO)

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今年結成25周年を迎え、8月にトリビュートアルバム「Dreams Never End」を発表したART-SCHOOL。戸高は「こんなにたくさんART-SCHOOLのことを好きでいてくれる方が一堂に会するのは不思議な気持ちになりますけども、トリビュートとかたくさんいいリアクションをいただいて、本当にうれしかったです。ありがとうございます」とフロアを見渡して感謝の思いを述べた。「『1985』というアルバムのリリースツアーなんですけど、その中から非常にART-SCHOOLっぽい曲をやろうと思います」という戸高の言葉を経て、彼らは幻想的なアルペジオと切ない歌声が儚い世界観を描き出す「Heaven Kicked Me Out」をプレイ。「Sad And Beautiful Things」では「そのままでいいよ 空っぽだっていいよ」と紡ぐ歌声とメロディアスなギターソロが胸をくすぐるように優しく鳴り響いた。

戸高賢史(G)(Photo by HIROHISA NAKANO)

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絶望の先にあるかすかな光

ライブ中盤に演奏されたのは、近年ライブであまり披露されることはなかったレアナンバー「夜の子供たち」。躍動感のあるビートとともに、叫びにも似たギターサウンドが疾走していく。「プール」ではゆらめくような美しいアンサンブルが場内に広がり、その心地のいい音の波にオーディエンスはどっぷりと浸った。そしてノスタルジックな空気が漂うスローナンバー「Dry Dreams(Still In Monochrome)」を経て、彼らは勢いよくアクセルを踏み込むように「アイリス」を投下。さらに戸高がボーカルを務める「Teardrops」を届けて会場を盛り上げたあと、最新アルバムのラストを飾る楽曲「Forever And Again」を爽快にプレイした。

「ART-SCHOOL 25th ANNIVERSARY TOUR 2025『1985』」東京・LIQUIDROOM公演の様子。(Photo by HIROHISA NAKANO)

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「トリビュートアルバムの感想を見てると、木下理樹のソングライティングの素晴らしさを誉めてくださる方がたくさんいらっしゃって、僕としては感無量でございます。やっぱり耐え忍んできた歴が違うから、『だろー?』みたいな感じです」と笑顔を見せた戸高。彼はアルバムの新曲について「最初に木下から夜中に曲作ってるらしいという話を聞いて、『作ってるやつ、途中でもいいから送ってよ』って言って送ってもらったら、『もうこの人はこれがいいんだな』って思って、僕は夜中にすごく感動して。『この人の専売特許だわ、これは』って。歌詞だったりメロディだったり、僕には本当に響いて、『めっちゃいいよ』ってLINEしました」としみじみと振り返り、「今後ART-SCHOOLはこれを下回るようなものはもう作りません! 絶対に! プレッシャーをかけて生きていかないと」と今作を上回るいい作品を作っていくことを宣言した。

「ART-SCHOOL 25th ANNIVERSARY TOUR 2025『1985』」東京・LIQUIDROOM公演の様子。(Photo by HIROHISA NAKANO)

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その後、ART-SCHOOLはアルバムのタイトルトラック「1985」で絶望の先にあるかすかな光を描き出す。「元気よくART-SCHOOLらしく、破滅に向かっていこうと思います」と戸高が告げると、彼らは「Just Kids」「ロリータ キルズ ミー」で爆発的なエネルギーを放ち、そのまま最新アルバムに再録された「Outsider」に突入。生命力あふれる強靭なプレイを繰り広げたあと、近年のライブの人気ナンバー「Bug」で美しい轟音を鳴らしてステージをあとにした。

「ART-SCHOOL 25th ANNIVERSARY TOUR 2025『1985』」東京・LIQUIDROOM公演の様子。(Photo by HIROHISA NAKANO)

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木下がフライングVをかき鳴らすと「BOY MEETS GIRL」でアンコールはスタート。メンバーはありったけの力を注ぐようにアッパーチューン「UNDER MY SKIN」「FADE TO BLACK」をプレイした。アンコールが終わってもフロアから沸き起こる拍手が鳴りやまず、5人はステージへ。「ART-SCHOOLが節目にやる、大事な曲の1つです」と戸高が告げると、彼らは「しとやかな獣」をゆったりと届け、会場に余韻を残してライブに幕を下ろした。

セットリスト

ART-SCHOOL「ART-SCHOOL 25th ANNIVERSARY TOUR 2025『1985』」2025年9月7日 LIQUIDROOM

01. Trust Me
02. MISS WORLD
03. スカーレット
04. We Are All Broken
05. FIONA APPLE GIRL
06. ローラーコースター
07. ウィノナ ライダー アンドロイド
08. Heaven Kicked Me Out
09. Sad And Beautiful Things
10. 夜の子供たち
11. プール
12. クロエ
13. Dry Dreams(Still In Monochrome)
14. アイリス
15. Teardrops
16. Forever And Again
17. 1985
18. Just Kids
19. ロリータ キルズ ミー
20. Outsider
21. Bug
<アンコール>
22. BOY MEETS GIRL
23. UNDER MY SKIN
24. FADE TO BLACK
<ダブルアンコール>
25. しとやかな獣

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9/7(日)に恵比寿リキッドルームで行われた、
ART-SCHOOL 25th ANNIVERSARY TOUR 2025 「1985」
ナタリーにてライブレポート公開✍️
https://t.co/7sKTDU2FP8

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