2022年9月にWANIMAの地元・熊本を舞台に初開催され、今年で4年目を迎えた「ワンチャンフェス」。好天に恵まれた今年は両日ともに約2万5000人が来場し、豪華アーティストのパフォーマンスを楽しんだ。2日目公演にはWANIMAに加え
C&K
トップバッターのC&Kは全身ホワイトコーデで登場。真っ赤な衣装のダンサーとともに「C&K IX」をパワフルにパフォーマンスし、まだ午前中にかかわらずすでに30℃超えの会場をさらに熱くさせた。“タオルを回せ”というメッセージをレゲエをベースにしたサウンドに乗せて歌うナンバー「I.M.A」では観客が楽しげにタオルを振り回し、会場の温度はさらに上昇。MCでCLIEVYは観客の体調を気遣いつつ、即興で語りかけるようにフリースタイルで歌唱し、KEENが9月6日に43歳の誕生日を迎えたことや先日カントリーパークのステージに立ったことをユーモアたっぷりに盛り込んで観客の笑いを誘った。続くバラード「みかんハート」では透き通るようなCLIEVYとKEENの歌声が響き渡る。これまでとは打って変わり、カントリーパークがしっとりとした雰囲気で満たされたところで、華やかなサウンドが印象的な「入浴」ではCLIEVYが客席エリアで歌唱し、会場の熱気は再び急上昇。ラストの「踊LOCCA~around the world 新たなる冒険~」では、CLIEVYとKEENがダンサーと激しく踊り、客席エリアにはいくつものサークルピットが発生した。
湘南乃風
「ワンチャンフェス」初登場の湘南乃風は「Joker」「爆音Breakers」のタオル回しでさっそく会場と一体に。闘志みなぎる「黄金魂」では若旦那が「『ワンチャンフェス』に集まるみんな」と歌詞を変えて歌い、喝采を浴びた。豊富な経験を感じさせるステージで、トップスピードで会場を熱く盛り上げた彼らは、ここでWANIMAを呼び込む。「バンドじゃない俺らをなんで呼んでくれたの?」と若旦那から聞かれたWANIMAのKENTA(Vo, B)は「地元の天草で湘南乃風がめちゃくちゃ流れていて。それを聴いて、KO-SHIN(G, Cho)と音楽を始めようと思ったんです」とエピソードを明かした。そしてWANIMAからのリクエストで湘南乃風が1stアルバムより「Real Riders」を披露。ステージではWANIMAメンバーも童心に返ったような表情でコラボを楽しんだ。その後、言わずと知れた代表曲「純恋歌」で観客が大合唱。最後の「睡蓮花」では前日公演に出演していた氣志團の綾小路 翔(Vo)、出番を控えている10-FEETのKOUICHI(Dr, Cho)、そしてWANIMAメンバーもステージに合流し、観客と一緒に「濡れたまんまでイッちゃって!!!」を響かせた。
10-FEET
「ワンチャンフェス」3度目の出演となる10-FEETは、冒頭の「10-FEETでした!ラスト1曲!」という前口上に続けてキラーチューン「RIVER」を演奏。その後すぐに「アンコール始めます」と宣言し、低音が唸る「ハローフィクサー」で観客を沸騰させる。さらにイントロやアウトロのレゲエアレンジが印象的な「helm'N bass」、映画「THE FIRST SLAM DUNK」 のエンディング主題歌としてスマッシュヒットした「第ゼロ感」が連投され、会場は興奮の渦に。MCでTAKUMA(Vo, G)は、10-FEET主催の恒例野外フェス「京都大作戦2025」にWANIMAが出演したことについて言及。10-FEETとWANIMAのグループLINEがあり、「京都大作戦」後にKENTA(WANIMA)から長文で感謝のメッセージが届いていたが、10-FEETのメンバーのうち自分だけ返信していなかったことをマイペースな語り口で下ネタを交えつつ明かし、今度は笑いの渦を巻き起こした。さらに「VIBES BY VIBES」ではWANIMAと湘南乃風のメンバーがコラボレーション。TAKUMAとKENTAがハンドマイクで声を重ねる貴重なシーンがハイライトとなった。
UVERworld
次にステージに姿を現したのは「ワンチャンフェス」皆勤賞のUVERworld。TAKUYA∞(Vo)は1曲目「PHOENIX AX」でさっそく観客エリアに降り「足りねえな!」と煽りながら観客に浴びせるように絶唱する。彼がステージに舞い戻り「お前らの誇りを観せてやる」とファンへ宣誓したのち、UVERworldはハーモニカの音色が熱狂を誘う「NO MAP」をプレイ。さらに「Eye's Sentry」を力強く奏でた。ここまで7月リリースのアルバム「EPIPHANY」の収録曲を連続で披露し、“走り慣れた”熊本の地に最新の音を轟かせた彼ら。「こんなに素晴らしい空間をWANIMAが作ってくれたから、日本一のフェスにしちまおうぜ」という言葉から「IMPACT」へとなだれ込むと、TAKUYA∞が再び客席エリアへ飛び出し会場のあちこちですさまじい熱狂を生み出した。「WANIMAのでっかいハードルのために、一番いいライブをして終わりたいと思います」と言い放つと、TAKUYA∞が「UVERworldの一番大事な曲」としてラストナンバー「EN」をタイトルコール。最後の1音まで祈りを捧げるように真摯に奏でた彼らは、完全燃焼の様相でステージをあとにした。
MAN WITH A MISSION
続いて登場したのは、「ワンチャンフェス」初出演となるMAN WITH A MISSION。手始めに「Take Me Under」で空気を切り裂くように硬質なサウンドを轟かせ、会場をマンウィズの壮大な世界観で染め上げた。さらにJean-Ken Johnny(G, Vo, Raps)が「思イッキリカカッテキナサーイ!」と吠え、マンウィズは観客に挑戦状を叩きつけるようにラウドな「Raise your flag」を投下。Jean-Ken Johnnyは勢いを止めずに「『ワンチャンフェス』、オ初ニオ目ニカカリマス! ヤレンノカ熊本!」と啖呵を切り、オオカミたちは今年3月リリースのEP「XV e.p.」より疾走感のある「REACHING FOR THE SKY」で確かな演奏力を提示した。その後、ダンサブルな「FLY AGAIN」で観客を踊らせたところで、Jean-Ken Johnnyは以前から「ワンチャンフェス」への出演を打診されていたことを明かしつつ、なぜ何度も声をかけてくれるのか不思議だったと語る。続けて「ヤット合点ガイキマシタ。“ワンチャン”ガ出テルトイウ、ツカミガホシイカラダト」と辻褄を合わせた。最後にテレビアニメ「『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編」のオープニング主題歌「絆ノ奇跡」を演奏し、しっかりと観客の心をつかんだ。
Official髭男dism
初登場のOfficial髭男dismはヒットナンバーの数々で会場全体を巻き込み、大人から子供まで夢中にさせる。「Pretender」「宿命」の壮大なサウンドと藤原聡(Vo, Piano)の伸びやかな歌声が、太陽が傾き、心地のいい風が吹き抜けるカントリーパークに響き渡った。藤原はこれまでオファーを受けていたものの自身の喉の不調などで出演できなかったことを明かし「念願の『ワンチャンフェス』に出られてうれしいです! 数年分のリベンジを懸けて歌います」と宣言。その言葉通り、ヒゲダンは「ホワイトノイズ」と最新曲「らしさ」を圧倒的なスキルで演奏し、“リベンジ”を果たすように魂のこもったパフォーマンスを繰り広げた。藤原はKENTA(WANIMA)から電話で直接オファーを受けたことを回想し「そんな熱いバンドマンと巡り会えたこと、心からうれしいです」「今までの素晴らしいアーティストがつないできたバトンをさらに大きくしてWANIMAに渡したいと思います」と気合いを入れる。「ミックスナッツ」では楢崎誠(B, Sax)が恒例の“ピーナッツポーズ”を取るなど、にぎやかなステージに笑顔が広がった。そしてヒゲダンは最後に現代人の背中をそっと押すメッセージソング「50%」で2万5000人と大合唱。宣言通りに会場をひとつにまとめ上げ、大トリのWANIMAへバトンを渡した。
※楢崎誠の「崎」は、たつさきが正式表記。
WANIMA
大トリに登場したWANIMAのステージは、夜空を切り裂くような轟音とともに「Do Gang」で幕開け。アバンギャルドなメロディと熊本弁を用いた歌が会場を突き抜け、2万5000人の心と体を一斉に揺らす。KO-SHIN(G, Cho)は体脂肪率6%まで絞り上げた肉体でギターをかき鳴らし、鋭いフレーズで観客の視線を釘付けにした。KENTA(Vo, B)が「FUJIくん! ナイスなビートちょうだい!」と叫ぶと、FUJI(Dr, Cho)が強靭なリズムで応え、「Rolling Days」の演奏へ。青空とさわやかな旋律がマッチし、観客は野外フェスならではの体験を堪能した。ここで“へいへい”こと宗本康兵(Key)が加わり、WANIMAは最新EP「Off-Leash」から「トビウオ」をパフォーマンス。激しさの奥にアンニュイな歌謡の影を潜ませた新境地のサウンドが会場に響き渡る。続く「存在」では、KENTAが「俺はばあちゃんに向けて歌うけん。みんなは大切な人を思い浮かべて聴いてほしいです」と語り、観客はそれぞれの“かけがえのない人”を思い浮かべながら、静かな感動に浸った。
しかし、その余韻すら飲み込むように爆音がさく裂し、「DISCOVER」がスタート。盤石のバンドサウンドが観客の胸を打つと、続いて「オドルヨル」では会場が巨大なダンスフロアと化した。KENTAは「また必ずこの場所で会おうな! 2025年のWANIMAを受け取ってくれ! 強く優しく生きろよ!」と叫び、「眩光」を力強い演奏とともにフィールドに叩き付ける。音にすべてを託し、魂を削るような彼らの姿に、会場の盛り上がりは絶頂に達した。アンコールでは「Best you」が夏の終わりをさわやかに彩り、すっかり暗くなった会場に「りんどう」が優しく流れ出す。フロアで無数のスマホのライトが揺れ、星空のような神秘的な光景が広がった。そしてラストを飾ったのは「ともに」。観客の笑顔と涙が交差し、鳴り止まぬシンガロングが鈴虫の声と混ざり合う。こうしてWANIMAの熱狂と感動を刻み込んだ4度目の「ワンチャンフェス」は、夏の終わりを感じさせる中、深い余韻に包まれながらエンディングを迎えた。
KENTA(Vo, B / WANIMA)終演後コメント
今年で4回目の「ワンチャンフェス」も大成功に収めることができました。炎天下の中でしたけど、台風も逸れて、無事に開催できました。来てくれたお客さん、出てくれたアーティストの方々に本当に感謝でしかなくて。アーティストの方々はこれでもかっていうぐらい素晴らしいライブをしてくれて、僕らにできることは楽しむだけやなっていう気持ちでした。みんなを熊本に連れてこられたっていうのを噛み締めながらライブをしました。本当にありがとうございました。
セットリスト
「WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2025」2025年9月7日 熊本県農業公園カントリーパーク
C&K
01. C&K IX
02. to di Bone
03. I.M.A
04. みかんハート
05. 入浴
06. 踊LOCCA~around the world 新たなる冒険~
湘南乃風
01. Joker
02. 爆音Breakers
03. Born to be WILD
04. 黄金魂
05. Real Riders
06. 純恋歌
07. 睡蓮花
10-FEET
01. RIVER
02. ハローフィクサー
03. helm'N bass
04. 第ゼロ感
05. その向こうへ
06. ヒトリセカイ
07. VIBES BY VIBES
UVERworld
01. PHOENIX AX
02. NO MAP
03. Eye's Sentry
04. PRAYING RUN
05. IMPACT
06. EN
MAN WITH A MISSION
01. Take Me Under
02. Raise your flag
03. Emotions
04. REACHING FOR THE SKY
05. FLY AGAIN
06. Vertigo
07. 絆ノ奇跡
Official髭男dism
01. Pretender
02. 宿命
03. ホワイトノイズ
04. らしさ
05. ミックスナッツ
06. 50%
WANIMA
01. Do Gang
02. Rolling Days
03. GONG
04. トビウオ
05. 存在
06. DISCOVER
07. オドルヨル
08. 眩光
09. Best you
10. りんどう
11. ともに
1CHANCE FESTIVAL @1CHANCE_FES
📸1CHANCE FESTIVAL DAY 2
🎤WANIMA @WANIMA_OFFICIAL
音楽ナタリーにてライブレポ公開中
🔗https://t.co/55f2G7ijA9
Photo by Yukihide JON...Takimoto
#ワンチャンフェス #WANIMA https://t.co/jju6hChFLy