EGO-WRAPPIN'、改修前の野音で最後のワンマン「また違う風景の中で一緒に響き合えたら」

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EGO-WRAPPIN'が7月12日に東京・日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)、本日8月2日に大阪・大阪城音楽堂にてワンマンライブ「Dance, Dance, Dance」を行った。「Dance, Dance, Dance」は“夏の野外で踊れる”をテーマに開催されている毎夏恒例の野外ライブ。本稿では東京公演の模様をレポートする。

EGO-WRAPPIN'「Dance, Dance, Dance」の様子。(撮影:仁礼博)

EGO-WRAPPIN'「Dance, Dance, Dance」の様子。(撮影:仁礼博)

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「この光景を見られるのは今年が最後」

EGO-WRAPPIN'「Dance, Dance, Dance」の様子。(撮影:仁礼博)

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単独アーティストとして日比谷野音での最多公演の記録を持つEGO-WRAPPIN'。彼らにとって本公演は、改修を控えた野音での最後のライブとなる。これまでに数々の名演を繰り広げてきた2人は、ことあるごとに同会場への思い入れを口にしてきた。そしてファンにとっても野音は、年末恒例のライブ「Midnight Dejavu」が行われる東京キネマ倶楽部と並び、まさに“聖地”と言っても過言ではない大切な場所となっている。さまざまな思い出が詰まった現野音でのラストライブで、どのようなパフォーマンスが繰り広げられるのか? そんな期待を胸に多くの観客が会場に詰めかけた。

EGO-WRAPPIN'(撮影:仁礼博)

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定刻を少し過ぎた頃、いつものようにSly & The Family Stoneの「Dance To The Music」が大音量で鳴り響きメンバーがステージに登場。この日のライブは、メンバーの中納良恵(Vo)と森雅樹(G)に加え、真船勝博(B)、伊藤大地(Dr)、TUCKER(Key)、icchie(Tp)、武嶋聡(Sax, Flute)といった布陣で行われた。満員の会場を見渡した森は「ラスト野音。こんなに来てくれてますわ」と感慨深そうにつぶやく。続けて中納が「この光景を見られるのは今年が最後。みんなで楽しんでいきましょう!」と呼びかけると客席から大きな歓声が上がった。ライブはJonathan Richman & The Modern Lovers「Egyptian Reggae」のカバーで幕開け。中納は鍵盤ハーモニカ、森はバンジョーで演奏に参加し、エキゾチックなムードを作り上げていく。バンドはそのままの編成で次曲「PARANOIA」を演奏。エゴ屈指のキラーチューンをジャジーなアレンジで涼しげに届けた。トロピカルな雰囲気の「クイック・マダム」は2002年に発表されたシングル「くちばしにチェリー」のカップリング曲。この曲がライブで演奏されるのは極めて珍しいことだ。続けて真船のファットなベースを軸にしたレゲエアレンジの「レモン」が演奏されると、観客たちはゆったりとしたリズムに思い思いに身を委ねていた。

新曲披露を経て怒涛の盛り上がりへ

EGO-WRAPPIN'(撮影:仁礼博)

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中納良恵(Vo)(撮影:仁礼博)

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森雅樹(G)(撮影:仁礼博)

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夏の野音にピッタリなスカチューン「love scene」、起伏に富んだドラマチックな「裸足の果実」、スイートなラブバラード「a love song」、リリースされたばかりの7inchアナログに収録されたロックステディ「Sunny Side Steady」など、ライブ中盤では幅広い音楽性を持つエゴならではの多彩な楽曲がラインナップされた。「懐かしい曲やりましょうか」という森の言葉に続けて披露されたのは当初セットリストに入っていなかった「満ち汐のロマンス」。森が奏でる繊細なギターのアルペジオと中納のみずみずしい歌声が場内に清涼感をもたらした。

真っ赤な照明の中、披露されたのは7inchと同時発売された12inchに収められた新曲「Treasures High」。アフロテイストのサウンドに場内のテンションが高まる。続けてKool & The Gangのインスト「Summer Madness」のカバーが届けられると、夕闇に溶け込んでいきそうなメロウなサウンドが場内に広がっていった。サウナをテーマにした新曲「AQUA ROBE」では、反復するグラウンドビートが心地よいグルーヴを生み出す。コズミックなニューウェイブ「マンホールシンドローム」から美麗なバラード「Calling me」へとシームレスにつなぎ壮大なサウンドスケープを作り上げたエゴは、「行こか!?」という中納の言葉を合図に「Mother Ship」をプレイ。終盤に向けて一気にギアを上げていく。「サイコアナルシス」「くちばしにチェリー」といったキラーチューンが立て続けに届けられると、客席はまさに蜂の巣を突いたような大騒ぎ状態に。本編最後に演奏されたのは「GO ACTION」。観客たちはブレイクのたびに飛び跳ね、拳を振り上げ、嬌声を上げる。現野音での最後のライブということも相まって、ステージ、客席ともに異様とも言える怒涛の盛り上がりをみせていた。

レクイエムのように鳴り響いた「色彩のブルース」

EGO-WRAPPIN'「Dance, Dance, Dance」の様子。(撮影:仁礼博)

EGO-WRAPPIN'「Dance, Dance, Dance」の様子。(撮影:仁礼博)[拡大]

アンコールに応えてメンバーとバンドが再びステージに登場。「色彩のブルース」の演奏がスタートすると、改修を控えた会場に哀愁を帯びたサウンドがレクイエムのように鳴り響いた。歌唱後に中納は、神奈川県民ホールや味園ユニバースなど思い入れのある会場が次々取り壊されていることについて「歴史のある素晴らしい会場が取り壊されて、新しい建物がぽんぽん立っていく。まだまだ使える建物なのに、余裕がないというか……仕方ないとは思うんですけど」と胸の内を述べつつ、「遊び心が持てるような平和な未来を我々が作っていかないといけないし、また違う風景の中で一緒に響き合えたらいいなと思います」と前向きな思いを語った。最後にエゴは祝祭感あふれる「WHOLE WORLD HAPPY」を演奏し、ハッピーなムードでライブの幕を下ろした。

セットリスト

EGO-WRAPPIN'「Dance, Dance, Dance」2025年7月12日 日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)

01. Egyptian Reggae
02. PARANOIA
03. クイック・マダム
04. レモン
05. love scene
06. 裸足の果実
07. a love song
08. Sunny Side Steady
09. 満ち汐のロマンス
10. Treasures High
11. Summer Madness
12. AQUA ROBE
13. マンホールシンドローム
14. Calling me
15. Mother Ship
16. サイコアナルシス
17. くちばしにチェリー
18. GO ACTION
<アンコール>
19. 色彩のブルース
20. WHOLE WORLD HAPPY

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