晴れ渡る空の下「ドレミソラシド」で2日目スタート
「ひな誕祭」は日向坂46のデビュー日である3月27日を節目として開催されているグループのメモリアルライブで、実施は今回で6度目。2023年、2024年の「ひな誕祭」と同様、横浜スタジアムを舞台に行われた今年の公演では、1日目に佐々木美玲、2日目に佐々木久美の卒業セレモニーも催された。この記事では2日目の模様をレポートする。
直前までの悪天候が嘘のような青空が広がり、まぶしい日光が差し込む横浜スタジアム。「6回目のひな誕祭」2日目公演は、小坂菜緒が振るタクトを合図に「ドレミソラシド」で幕を開けた。1曲目から熱烈なコールで盛り上げるおひさま(日向坂46ファンの呼称)の声を受けながら、「ソンナコトナイヨ」「ってか」とシングル表題曲を連投し、エネルギッシュにスタートダッシュを切ったメンバー。開口一番「晴れたね~!」と佐々木久美が喜ぶと、前日に卒業セレモニーを行った佐々木美玲は「2日目もお邪魔しま~す!」と元気に挨拶。そして佐々木久美は「ここから4時間越えのライブ、準備できてますか? 最後まで全力で楽しんでいくぞ!」と、メンバーとおひさまに号令をかけた。
けやき坂46時代の楽曲も含む全113曲を2日間のライブで披露するという、日向坂46としては初の趣向のもと行われた今年の「ひな誕祭」。四期生、三期生、二期生、一期生がそれぞれの個性を輝かせた期別曲のリレーを経て、「ときめき草」からのカップリング曲コーナーでは全員がフロートに乗り込み、アリーナ外周を進んでおひさまと笑顔を交わす。富田鈴花をセンターに据えた「SUZUKA」からはユニット曲、ソロ曲が次々と届けられ、金村美玖と小坂は「See through」のシンメトリックなダンスで観客を魅了。富田と松田好花による花ちゃんズは「今日はこの風に乗せてギターと歌をお届けしたいと思います」と、「まさか 偶然…」を切なげに弾き語ってみせた。
佐々木久美の思い出の曲たち
「横浜スタジアム、全員叫べー!」と四期生がおひさまを熱く鼓舞した「見たことない魔物」まで26曲を一気に駆け抜け、ライブ前半のハイライトとなったのは佐々木久美にフィーチャーしたブロック。「自分の中でも特に思い入れの深い曲たちを、最後にみんなで歌いたい」という彼女の言葉とともに「My god」でスタートしたこのコーナーでは「抱きしめてやる」「沈黙した恋人よ」「車輪が軋むように君が泣く」と、けやき坂46時代の楽曲が披露されていく。高橋未来虹と2人で「沈黙した恋人よ」を歌い上げた佐々木久美は「車輪が軋むように君が泣く」でおひさまのシンガロングを求め、スタンドから上がった大合唱に「ありがとう!」と笑顔を浮かべた。
太陽が傾き、青空がゆっくりと夜空に変わりゆく横浜スタジアム。2度目の期別曲コーナーでライブが後半へと差しかかると、メンバーはそれぞれ随所にアドリブのセリフを盛り込みながら楽曲を歌いつないでいった。続くユニット曲コーナーでは、東村芽依と丹生明里がオリジナルを歌った「妄想コスモス」を、四期生の藤嶌果歩と渡辺莉奈が歌う場面も。加藤史帆のソロ曲「どっちが先に言う?」では佐々木久美がマイクを握り、彼女は長い髪を海風になびかせながらこの曲を歌い上げた。
一期生OGが集結!おひさまに送られたサプライズ
一期生の卒業メンバー・齊藤京子が“W佐々木”の卒業を祝うVTRが上映され、その中で彼女が「おひさまにとっておきの最高のプレゼントを用意しました~!」と告げると、この日最大のサプライズが。ここで佐々木久美、佐々木美玲、高瀬愛奈とともにステージに現れたのはグループをすでに卒業した一期生メンバーの井口眞緒、潮紗理菜、影山優佳、加藤史帆、高本彩花、東村芽依、長濱ねるで、彼女たちの姿に客席中から驚きの大歓声が上がる。けやき坂46時代の“ハーネス制服”衣装で彼女たちが「ひらがなけやき」をさわやかに歌い届けると、観衆は大きなコールでパフォーマンスを彩った。曲を終えOGメンバーが順に挨拶していく中、長濱は「みんながしんどいとき、うれしいときに立ち会えなかったことが心残りだったから(集まることができて)うれしいです。久美ちゃんの大切な日に奇跡的な機会を用意してくれて感謝しています」と目に涙を浮かべ、周りのメンバーは彼女を一斉にハグ。ライブ会場に駆け付けることができなかった柿崎芽実からも手紙が寄せられ、潮がこの手紙を代読して柿崎のメッセージをメンバーと観客に伝えた。
「もう1曲」とおひさまに告げると、1列に並んでお互いの肩に手を置いた10人は楽しそうに笑い、一瞬一瞬を噛み締めるようにしながら「永遠の白線」を歌い踊った。メモリアルライブを華やかに彩ったOGたちを送り出すとライブも佳境。ブルーのチェックとフリルを重ねた新衣装に着替えた日向坂46メンバーは「僕なんか」を皮切りに「君しか勝たん」「君はハニーデュー」と表題曲で熱狂を加速させていく。最新シングル曲「卒業写真だけが知ってる」を経てイントロでどよめきが沸いたのは、2ndアルバム「脈打つ感情」のリード曲にして佐々木久美のセンター曲「君は0から1になれ」。「いくぞ!」と叫び気合いを入れた佐々木久美は、クールな歌とダンスでオーディエンスを魅了した。ここまで52曲を披露した本編の最後に届けられたのは「日向坂」。花道を行進し、ハンドウェーブでおひさまと心をひとつに届けたメンバーが“ヒ”の決めポーズで曲を締めくくると、佐々木久美はメンバーを代表し「これからも日向坂46のことをずっとずっと見守っていてくださるとうれしいです!」と告げた。
「こんな幸せは一生超えることがない」
おひさまから送られる大きな「くみてん!」コールを受け、アンコールには佐々木久美の卒業セレモニーが行われた。「ひらがなで恋したい」の曲中、「まだまだ終わらせないぞ~!」と1人自転車でアリーナエリアの外周を疾走した佐々木久美は「夕陽Dance」で四期生と、「青春ポップコーン」で三期生と、「恋した魚は空を飛ぶ」で二期生とそれぞれコラボ。そして、けやき坂46時代のナンバー「ハロウィンのカボチャが割れた」を全員で届け、佐々木美玲、高瀬とともに腕を組んでステップを踏んだ。オーディションから今まで9年間の歩みをまとめた映像の上映を経て、純白のロングドレスで再登場した佐々木久美はここで自らの思いを口にする。
「小さいときから自分の夢っていうのを思い浮かべることができなくて『夢がないな』と20年生きてきたところに、(オーディションに受かることが)人生で初めて『叶えたい』と思えている夢かもしれない。だから受かったとき、『夢叶っちゃった』と思ったんですね」と切り出すと、「新しい夢を探さなきゃと思ったけど、グループ活動では今までに経験したことのないことをたくさん経験させてもらえて、いつの間にかグループの夢が自分の夢になっていました」と続けた佐々木久美。家族、友人、スタッフ、そしてメンバーへの感謝を順に伝えた彼女は「何よりも感謝を伝えたいのはおひさまの皆さん」と続け、「ときには心配させてしまうこともあったかもしれないけど、いつでも信じて一緒に前を向いてくれて本当にありがとうございました。皆さんがいたから日向坂46はここまで来られました。本当にありがとうございます。皆さん『これから幸せになってね』と言ってくれるんですけど、私は今が一番幸せです! こんなにたくさんの方が見守ってくれて、こんな幸せは一生超えることがないと自信を持って言えます。この9年間は、私にとって一生の宝物です。皆さん今まで本当に本当にありがとうございました!」と、まっすぐな眼差しで伝えた。
キャプテンの継承、最後の“叫び”
そんな彼女にメンバーは順に言葉と一輪の花を送り、小坂は「任せてください、日向坂46は。がんばります」と、富田は「骨まで大好きです。これからも人生支えさせてください。愛してます」と、そして同期の佐々木美玲は「誰よりも日向坂のことを考えていて、でも自分のことは全然自信がなくて。そんな久美ちゃんが素敵だし、全部全部大好きです。最高のキャプテンだったよ! 誇りに思ってね!」と伝えた。すると佐々木久美はここで副キャプテンの高橋を呼び、“キャプテンの証”であるバッジを彼女の胸に付ける。「これからは、あなたが日向坂46のキャプテンとして、日向坂46を守っていってください」と思いを託された高橋は「いつかそういう役割になるのかなと意識していたつもりなんですけど……」と少し戸惑いながらも「これまでの活動で見てきた久美さんの背中は私の中に深く刻まれているので、その姿を思い出しつつ。でも久美さんは『あなたらしくね』という言葉をくれたので、私らしいやり方を、メンバーに助けてもらいながら探していけたらと思います。これからも付いてきてくれたらうれしいです!」とおひさまに語りかけた。
「最後は楽しく終わりたいんですよ!」。そう佐々木久美が切り出すと、ラストナンバー「誰よりも高く跳べ!2020」へとなだれ込んでいく。ドレスのすそを持ち上げて花道へと駆け出した佐々木久美は「全力でいけるのか? 誰よりも高く跳べー!」とフルパワーで叫び、その圧倒的なキャプテンシーで横浜スタジアムの熱狂を最高潮まで引き上げてみせた。メンバーもおひさまも、その場の誰もが熱く叫び飛び跳ねる、圧倒的な一体感で会場をまとめ上げた佐々木久美。万感の笑顔で会場を見渡した彼女は「あとは頼んだ! 日向坂46キャプテン佐々木久美、本当に幸せでした!」という言葉を残して「ひな誕祭」のステージをあとにした。
「6回目のひな誕祭」全セットリスト
Kenshi Kaneda|金田 健志 @kanedakenshi
😭 https://t.co/zIIypRTzls