クリープハイプがKアリーナで2万人に聞く「死ぬまで一生愛されてると思っててもいいですか?」

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クリープハイプの現メンバー15周年記念公演「2024年11月16日」が11月16日に神奈川・Kアリーナ横浜で開催された。

クリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」の様子。(撮影:関信行)

クリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」の様子。(撮影:関信行)

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ライブの大定番で幕開け

クリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」の様子。(撮影:岩本彩)

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2009年11月16日、東京・下北沢CLUB Queで行われたライブを機に現メンバーである尾崎世界観(Vo, G)、長谷川カオナシ(B, Key)、小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)での活動を開始したクリープハイプ。2020年、彼らは現体制10周年記念ツアー「僕の喜びの8割以上は僕の悲しみの8割以上は僕の苦しみの8割以上はやっぱりクリープハイプで出来てた」を行う予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止を余儀なくされた。時を経て丸15年を迎えた2024年11月16日、キャリア史上最大規模となるKアリーナ横浜での単独公演に臨み、約2万人のファンと特別なひとときを過ごした。

小川幸慈(G)(撮影:関信行)

小川幸慈(G)(撮影:関信行)[拡大]

クリープハイプ初のトリビュートアルバム「もしも生まれ変わったならそっとこんな声になって」の収録曲が流れる中、15周年を祝福しようと駆け付けた人々が客席を埋め尽くしていく。トリビュートにはSEKAI NO OWARI、10-FEET、UNISON SQUARE GARDEN、ウルフルズ、back numberなど11組が参加しており、クリープハイプがいかに多くのアーティストから愛されているかをうかがい知ることができる。アリーナが暗転してスポットライトが点くと、尾崎、カオナシ、小川、小泉が続々とステージに登場。尾崎が水分補給をしている間も、彼を呼ぶ声は鳴り止まない。カオナシがうねりのあるベースラインを奏で、オーディエンスがすかさず「HE IS MINE」だと気付くと大歓声が沸き起こる。開幕を告げる号砲のごとく、ワンマンでもフェスでもたびたび演奏してきたこの曲で轟音を鳴らした。カオナシの「“火打ち”で安全祈願をしましょう」という言葉をきっかけに彼がメインボーカルを務める「火まつり」が投下されると、身の毛もよだつ歌詞の世界観と真っ赤に染まるステージとが相まっておどろおどろしい空気に。「NE-TAXI」では疾走感あふれるアンサンブルが会場を満たした。

炎が上がるステージで「生レバ」

小泉拓(Dr)(撮影:関信行)

小泉拓(Dr)(撮影:関信行)[拡大]

12月4日にニューアルバム「こんなところに居たのかやっと見つけたよ」をリリースするクリープハイプ。ライブ前半で彼らは本作に収録される、窪塚洋介と亀梨和也(KAT-TUN)のダブル主演ドラマ「外道の歌」の主題歌「生レバ」を初披露。噴き出す炎を前にヘビーなロックサウンドを放ち、鮮烈なインパクトを残した。観客が余韻に浸る間もなく、「イト」「栞」という人気曲が連発されると、アリーナにはたちまち陽のグルーヴが広がった。MCでは尾崎が「生レバ」について言及し、「『生レバ食べたい』って歌ってるのに、ずっと火が出てて(笑)。サビになるにつれて火力が増して、『絶対に生レバを食わせない』っていう店側の意思を感じた」とリラックスした様子で笑う。カオナシは「特殊効果がモリモリで。それよりカッコいい音を出していきたいですね」と改めて意欲を見せた。

尾崎世界観(Vo, G)(撮影:岩本彩)

尾崎世界観(Vo, G)(撮影:岩本彩)[拡大]

聴き手の背中をそっと押すように「陽」が届けられたあと、インディーズ時代から愛されている「左耳」「オレンジ」もドロップされ、ファンが自然とハンズアップ。場内には静かに熱気が立ちこめる。資生堂「ANESSA」のCMソングとして人気を集めたサマーチューン「憂、燦々」では4人が切なさをたたえたアンサンブルを披露。ライブが折り返しを過ぎた頃、尾崎は15周年に触れながら「今年は『15』という数字をずっと意識していて、『15の夜』という曲を思い浮かべるんだけど。“バイクを盗んだ”尾崎もいれば、原付きの免許試験に落ちた尾崎もいて(笑)。効率よく移動はできないけれど、ゆっくりいろんなものを見ながら15年かけて今日ここにたどり着けてよかったなと思っています。ありがとうございます」と集まった2万人に感謝を伝えた。続いては、4人が原付きバイクに乗る予定だったが、尾崎の免許取得が叶わず、自転車で旅をするミュージックビデオが話題となった「四季」。小泉が刻むバスドラムや、尾崎のアコースティックギターのストロークが鳴り響き、場内を温かなムードで包み込む。

ベースもキーボードも

長谷川カオナシ(B, Key)(撮影:岩本彩)

長谷川カオナシ(B, Key)(撮影:岩本彩)[拡大]

「しらす」で見せ場を作ったのはベースからキーボードにパートチェンジしたカオナシ。この曲ではメインボーカルも担当し、会場を貫くように高音を響かせ、身振り手振りを交えたパフォーマンスを繰り広げる。そのままベースレス編成の「ナイトオンザプラネット」へと連なり、無数のライトがステージを彩る中、ハンドマイクを手にした尾崎によるラップ調のボーカルや、小川のファンキーなワウギターが観客の心を揺さぶった。ライブが終わりに近付く頃、さらなる盛り上がりを作ったのは「週刊誌」。ノイジーなギターをきっかけにこの曲が始まると、タイトなバンドサウンドに乗せて尾崎が「下北の大学生」という歌詞を「横浜の大学生」に変えて歌うひと幕もあった。

「ナイトオンザプラネット」披露時の様子。(撮影:関信行)

「ナイトオンザプラネット」披露時の様子。(撮影:関信行)[拡大]

これがクリープハイプらしさ

クリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」の様子。(撮影:関信行)

クリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」の様子。(撮影:関信行)[拡大]

シャボン玉の舞う演出とともに「蜂蜜と風呂場」が軽やかに演奏されたのち、尾崎は「節目というのは満足してしまいそうで不安もあったけど、全然大丈夫でした。当たり前にライブをやっている。こうやって節目を普通に超えていくのがクリープハイプらしいなと思います」と胸の内を明かす。そして、発売前のニューアルバムからもう1曲「天の声」を初パフォーマンス。日の当たらない人に寄り添うかのようなメッセージとともに、アグレッシブなサウンドを届けた。

小川の単音ギターリフで始まる「愛の標識」では尾崎が「死ぬまで一生愛されてると思っててもいいですか?」と投げかけると、会場が歓喜の声であふれる。そんなにぎやかなシーンは胸に迫るバラード「明日はどっちだ」「風にふかれて」で塗り替えられ、感動的なムードの中、本編は終わりを迎えた。

「アンコールはどうする」

紙吹雪が舞うクリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」のステージ。(撮影:岩本彩)

紙吹雪が舞うクリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」のステージ。(撮影:岩本彩)[拡大]

4人が舞台を去っても拍手は鳴り止まない。ファンの思いに応えてステージに戻ってきたクリープハイプ。彼らがアンコールを行うのはひさびさで、尾崎は「次にアンコールをやるのは15年後だと思います」と冗談めかして言う。改めて客席を見回したカオナシは「クリープハイプはアンチの多いバンドだけど、今目の前にある光景が現実なんだなと思うとうれしいです」、小川は「昔の曲をやってるときに、15年かけて、こんなに皆さんに届いたんだなと感動しました」と感慨深げに語った。小泉も顔をほころばせながらファンに感謝を述べた。尾崎が「アンコールはどうする」とナチュラルに投げかけると、察しのいいオーディエンスから喜びの声が上がる。ラストソングはこの言葉が歌詞にある、メジャー1stシングルの表題曲「おやすみ泣き声、さよなら歌姫」。晴れやかな表情で音を重ねる4人の姿を、ミラーボールの光が照らした。すべての曲目が終わったと同時に、彼らとファンの頭上には赤い紙吹雪が降り注いだ。

クリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」の様子。(撮影:関信行)

クリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」の様子。(撮影:関信行)[拡大]

クリープハイプは2025年2月から7月にかけてキャリア史上最大規模の全国ツアー「君は一人だけど 俺も一人だよって」を行う。

セットリスト

クリープハイプ「現メンバー15周年記念公演『2024年11月16日』」Kアリーナ横浜

01. HE IS MINE
02. 火まつり
03. NE-TAXI
04. 生レバ
05. イト
06. 栞
07. 陽
08. 一生のお願い
09. 左耳
10. リバーシブルー
11. オレンジ
12. 月の逆襲
13. 憂、燦々
14. 四季
15. 目覚まし時計
16. しらす
17. ナイトオンザプラネット
18. キケンナアソビ
19. 週刊誌
20. 蜂蜜と風呂場
21. 天の声
22. 愛の標識
23. 明日はどっちだ
24. 風にふかれて
<アンコール>
25. おやすみ泣き声、さよなら歌姫

公演情報

クリープハイプ「君は一人だけど 俺も一人だよって」

ホール、ライブハウス公演

2025年2月8日(土)新潟県 新潟県民会館
2025年2月14日(金)宮城県 仙台サンプラザホール
2025年2月16日(日)北海道 札幌文化芸術劇場hitaru
2025年2月19日(水)大阪府 フェスティバルホール
2025年2月24日(月・祝)京都府 ロームシアター京都 メインホール
2025年2月28日(金)千葉県 市川市文化会館
2025年3月2日(日)熊本県 市民会館シアーズホーム夢ホール(熊本市民会館)
2025年3月8日(土)群馬県 高崎芸術劇場
2025年3月9日(日)静岡県 アクトシティ浜松 大ホール
2025年3月14日(金)神奈川県 相模女子大学グリーンホール
2025年3月20日(木・祝)岩手県 盛岡市民文化ホール
2025年3月22日(土)石川県 本多の森 北電ホール
2025年3月29日(土)香川県 サンポートホール高松
2025年3月30日(日)広島県 広島文化学園HBGホール
2025年4月5日(土)沖縄県 ミュージックタウン音市場

アリーナ公演

2025年5月18日(日)福岡県 マリンメッセ福岡A館
2025年6月12日(木)東京都 日本武道館
2025年6月13日(金)東京都 日本武道館
2025年6月28日(土)愛知県 ポートメッセなごや 第1展示館
2025年7月12日(土)大阪府 大阪城ホール
2025年7月13日(日)大阪府 大阪城ホール
2025年7月23日(水)東京都 日本武道館
2025年7月24日(木)東京都 日本武道館

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※記事初出時、一部写真キャプションに誤りがありました。お詫びして訂正します。

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【メディア情報】
本日配信開始!「音楽ナタリー」にて、11/16(土)に開催した 現メンバー15周年記念公演「2024年11月16日」@ Kアリーナ横浜のライブレポートが公開されています。
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