「LIVE 1173」は900本のヤシの木と高級プレジャーボートやヨットが並ぶ湘南のリゾート地を舞台にした“夏マチュリ”。ユニコーン初の主催企画として実施され、ユニコーン、
ABEDON AND THE RINGSIDE×伊地知潔(ASIAN KUNG-FU GENERATION)
ライブステージが設けられたのは、いくつものヤシの木と青々とした芝生に囲まれたプールサイド。リゾート感満載の会場に一歩足を踏み入れると、目の前にはどこまでも広がる水平線、空には白い雲が浮かぶ。この日の逗子の最高気温は35℃超え。しかし、会場内には心地いい海風が吹き込み、絶好の野外イベント日和とも言えるシチュエーションが作り上げられていた。
日常から切り離されたリラクシンなムードが漂う中、白いジャケットを着用したABEDONが観客の前に姿を見せる。ボコーダー越しに高らかに“夏マチュリ”の開幕を宣言した彼だったが、笛を高らかに吹き鳴らすといそいそとステージ袖へ。休む間もなくジャケットを脱ぎアロハシャツとチノパンというラフな衣装に着替え、八熊慎一(
海風がステージに向かって吹き、開放感に拍車がかかるリビエラ逗子マリーナの一角。ドラムセットにスタンバイしたABEDONは「俺と同じ空気を吸ってくれー! そして吐いてくれー! そして脱いでくれー!」と叫ぶとアロハシャツを勢いよく脱ぎ、レスラーを想起させる筋肉プリントのタンクトップ姿に。黄色い歓声を受けてABEDONがスティックを振り下ろすと、八熊が「ハバナエキゾーチカ」を歌い出した。ユニコーン同様、ABEDON AND THE RINGSIDEも曲ごとにメインボーカルやパートが入れ替わる多彩なスタイル。この日はライブ中盤から、ABEDONのご近所さんという伊地知が加わりにぎにぎしさに拍車がかかっていた。ABEDON AND THE RINGSIDEのメンバーと同様にアロハシャツを着た伊地知は、「キヨシ」コールを浴びながら「ケダモノの嵐」「与える男」の2曲で卓越したドラムプレイを披露。イントロのギターリフが鳴った瞬間にプールサイドがざわついた「与える男」では、伊地知自身のリクエストでセットリストに組み込まれたという背景があるだけに、気合いの入ったパフォーマンスを繰り広げてユニコーンフォロワーとしての顔をのぞかせた。
電大×つるの剛士
川西幸一、手島いさむ、EBIからなる電大は、そろいの白いTシャツをまとって登場。「ハロー、ズッシー」とカタコトの川西の挨拶を機に、「ようこそ」で3ピースバンドならではのソリッドなアンサンブルを轟かせる。3人が奏でる音は風に乗って会場中に広がっていき、開放的な空気がオーディエンスを包み込んでいく。矢沢永吉のライブばりのタオル投げがプールサイドで繰り広げられた「Body Guard」を経て、川西が「僕たちのお友達に参加してもらおうかな。手島さん、(ギターを)ジャーンとやってよ」とリクエスト。手島のかき鳴らすギターの豪快な音に乗って現れたのはゲストのつるの剛士だ。白いフライングVを構えてステージ中央に立った彼は、太く伸びやかな声で「A GOOD DAY」を歌い上げ、「いやあ、うれしいなあ。すごい景色。もう夢みたい!」と喜びを爆発させた。
伊地知同様にユニコーンフォロワーのつるのは、電大とのコラボ曲として「おかしな2人」をチョイス。つるのと手島が息ぴったりにギターを奏でると、なんの曲が始まるかを察したオーディエンスは興奮状態に。間奏でつるのは「イェーイ、テッシー!」と手島のソロギターを盛り上げ、アウトロの余韻を浴びながら「うれしい!」とこの日何度目かの快哉を叫んだ。やんややんやの大喝采が沸き起こるが、電大とつるののコラボはまだ終わらない。ここで奥田がひょっこりとステージに姿を見せ、世良公則 feat. つるの剛士名義で発表されたデュエットソング「いつものうた」のセッションへ。「いつものうた」は奥田が世良公則のために書き下ろしたご機嫌なロックンロールチューン。少しずつ赤味を帯びる空の下、奥田とつるのの味わいのあるハーモニーが響き、観客の胸を打った。
ユニコーン×PUFFY
トリのユニコーンが現れたのは、ロマンチックなマジックアワーのタイミング。心地よい波音が聞こえる中、会場のシチュエーションにふさわしい衣装に身を包んだメンバーが姿を見せるとオーディエンスは大歓声を上げる。熱烈な歓迎を受けた5人は、ABEDONがリードボーカルを取る「SAMURAI 5」でライブをスタート。曲の途中でABEDONは「俺、逗子マリーナのプールサイドであいつを見つけたんだよ」と繰り返しつつ、虫取り網を持ってプールの近くへ。そして水上をプカプカと流れてきた鎌倉市の名産「鳩サブレ」をすくい上げ、それを奥田と食べ始めるなどマイペースなステージングを見せていく。
EBIのハイトーンボイスが映える初期の名曲「ペケペケ」では、奥田と手島がEBIを挟み込みながら楽器を操り、「WAO!」ではABEDONがフライングVを奏で、その傍らで奥田がカウベルを軽快に叩き、阿吽の呼吸を見せつける。こなれた5人のパフォーマンスに沸き立つプールサイドの熱気は、ゲストのPUFFYが合流するとさらに上昇した。ゲストを招いてのコラボコーナーはいずれも大きな盛り上がりを見せていたが、観客を最も驚かせたのはユニコーン「ヒゲとボイン」とPUFFY「アジアの純真」のマッシュアップだ。ABEDONがきらびやかなシンセの音を鳴らし「ヒゲとボイン」が始まるかと思いきや、PUFFYが「アジアの純真」を歌い出し、気付けば奥田がメインボーカルをとる「ヒゲとボイン」にシームレスに移行。オーディエンスはこのイベントならではのアレンジを味わい尽くしたのち、ステージ上の7人に大きな拍手を贈った。
その後、しみじみとした空気を紡いだ「アルカセ」をもってユニコーンの5人は退場。すっかり夜の帳も下りイベントも終幕に向かっていたところ、テーマ曲が披露されていないことにはたと気付く観客たち。盛大なアンコールを求めていると、ユニコーンを筆頭に出演者たちが勢ぞろいし、サンバと祭囃子を融合させた「マチュリー」の大セッションで初開催の「LIVE 1173」に幕を下ろした。
セットリスト
「UNICORN MACHURI『LIVE 1173』」2024年7月28日 リビエラ逗子マリーナ
ABEDON AND THE RINGSIDE
01. ろうにゃくなんにょ
02. SO SO GOOD
03. ハバナエキゾーチカ
04. さよならロックスター
05. ケダモノの嵐
06. 与える男
07. RINGSIDE MAN
電大
01. ようこそ
02. Body Guard
03. A GOOD DAY
04. もったいない
05. ハレルヤ
06. おかしな2人
07. いつものうた
ユニコーン
01. SAMURAI 5
02. あなたが太陽
03. ペケペケ
04. WAO!
05. エッサフォッサ
06. 働く男
07. ヒゲとボイン~アジアの純真
08. アルカセ
<アンコール>
09. マチュリー
伊地知潔 @kiyoshiakg
やばい!何この嬉しそうな自分の写真!笑
本当に最高過ぎました!! https://t.co/lv9wQ2Hivn