16年前のツアーをリバイバル、15万人動員
「ホームシック衛星2024」は2008年にアルバム「orbital period」を携えて行われたツアー「ホームシック衛星」のリバイバル公演として開催。「orbital period」は“公転周期”を表す言葉で、メンバーそれぞれが28歳になる当時、天文学用語の“28年周期”という概念に出会ったことからこのタイトルが付けられた。バンドは今年結成28周年を迎えたことを記念し、このツアーをリバイバル。結成28周年記念日の2月11日から全国8会場16公演で合計15万人を動員した。ツアーの演出は山田健人が務め、雄大な映像の数々とダイナミックなセットを通じてライブの世界観を鮮やかに彩った。
ステージに立つパラボラアンテナを擁した巨大な鉄塔と、後方にきらめく満天の星空が客席を埋めたオーディエンスの期待を高める。開演前のアナウンスも宇宙船の交信のような音声で、ツアータイトルにふさわしい雰囲気を作り上げた。オープニングナンバー「メーデー」のイントロが流れる中、すさまじい歓声に迎えられてメンバーがステージに登場。スクリーンのカウントダウンの数字が「00 00 28 00 00」で止まると、藤原基央(Vo, G)は高々とギターを掲げ、旅の始まりを告げた。「君を探してた4人組だ、俺たちがBUMP OF CHICKENだ! 会いたかったぞ! さあ声を聞かせてくれ!」という藤原の叫びに、1万人の観客は力強く拳を挙げて応えた。
「才悩人応援歌」のスリリングなアンサンブルを届けたあとは、BUMP OF CHICKENの世界観を確立したナンバー「ラフ・メイカー」を丁寧に演奏。一息入れたのち、直井由文(B)は「昔から来てくれてる人にも、今日初めての人にも届くように僕ら4人で心を込めて演奏します。全国でみんなからたくさんのパワーをもらってきました。今日、4人ともここに全部置いていきます」と力強く宣言した。升秀夫(Dr)が刻むスネアのリズムが印象的な「ハンマーソングと痛みの塔」では、鉄塔の先端のサーチライトが会場中を照らし、歌詞の世界にさらなるリアリティを与えた。
センターステージからも思いを届ける
藤原はMCで、観客それぞれが立って聴いたり座って聴いたりと、一番リラックスできる形で聴いてほしいと呼びかけ「マナーさえ守ってくれたら好きなように聴いてくれ。どこかで俺たちの音楽を拾ってライブに来てくれて、君と俺たちが出会えた、それが全部だ」と優しく語りかけた。続いてはそんな観客への思いを体現するように「ひとりごと」の穏やかな世界を届ける。「飴玉の唄」では熱量を増していく藤原の声とバンドの演奏に圧倒された観客が固唾をのんで聴き入り、曲が終わると我に返ったように大きな拍手を送った。
ここで4人は花道を歩いて移動し、アリーナ中央のセンターステージへ。増川弘明(G)の軽快なギターストロークから始まったのは「東京賛歌」だ。4人は観客との距離の近さを楽しむように、リラックスした表情でそれぞれの音を鳴らした。直井によるメンバー紹介のあと、マイクに向かった増川は「センターステージに立っているということはもうそこそこの曲数をやらせてもらったということで、寂しいです」と話し始めるが、「楽しいからあっという間なんですよ。だから何かって言うと……」と話の方向性を見失って観客の笑いを誘う。藤原は「毎回そこで自分に負けてるよね。自分が広げた風呂敷に(笑)」と思わずツッコミを入れていた。
和やかなMCのあと、4人は鉄塔から差し込むレーザー光線に照らされて「真っ赤な空を見ただろうか」を披露。藤原、増川、直井はセンターステージの四方を向き、赤く染まったPIXMOBを付けた腕を掲げる観客を眺める。藤原はアリーナにそっと腕を伸ばしながら「だからずっと続けたい 続ける意味ならそこにある」と、歌詞をさりげなく変えて歌ってみせた。藤原の「手拍子ちょうだい!」という呼びかけに応じ、1万人のハンドクラップとともに披露された曲は「かさぶたぶたぶ」。サビではメンバーとオーディエンスが大合唱し、場内は温かい一体感に包まれた。
メインステージへ戻った4人は疾走感たっぷりの「望遠のマーチ」でライブを再開する。増川のエモーショナルなギターソロが炸裂した「プレゼント」、1万人の力強いシンガロングに4人が耳を澄ませた「fire sign」を経て、ライブはついに終盤戦へ。「カルマ」で再び会場内のテンションを最高潮に高めたのち、藤原は「最後の曲になっちゃった、寂しいけど会えてうれしいよ。今日は本当にありがとう」と挨拶。オーディエンスとの別れを惜しむように、「orbital period」のオープニング曲「voyager」とラストナンバー「flyby」をつなげた新曲「voyager,flyby」を高らかに歌い上げた。
「このツアーができたのは君のおかげだ」
アンコールに応えてステージに再び現れた4人は「ガラスのブルース」に続いて「流星群」を披露。直井は「こんなに素晴らしいツアーができたのはこの人のおかげでもあります」と演出を手がけた山田への感謝を述べ、「また会う日まで、バイバイ! おやすみ!」と観客との再会を誓う。増川は「ありがとね、楽しかったです。またね!」と叫び、升も笑顔でステージを降りていった。
最後にステージに残った藤原は、ほとんどが16年以上前にリリースされた楽曲という今回のセットリストを振り返り「日々たくさんの新しい音楽が生み出されて、古い曲の居場所は少しずつ奪われていくんだ。でもその中にも未来まで連れていってもらえる音楽がある。それは聴いた人に大事にしてもらえた音楽です」と、過去の楽曲に対する思いを語る。そして「君はそういう曲を大切に受け止めてくれた。このツアーができたのは君のおかげだ」とそれぞれの曲を愛してくれたファンに感謝を述べ、「君の生きている時代と同じ時代に生まれてくることができた、僕の音楽は世界中のどの音楽よりも幸せ者です」と熱く語った。
公転周期の28年後の未来に思いを馳せた藤原は「次の28年後は70歳過ぎてんのか……(笑)」と苦笑いしつつ「ジジイになっても、例えキーを下げて歌ってあんまりカッコつかなくても、やっぱり俺は君に会いたい」と明言。「俺もメンバーも元気じゃないかもしれないけど。君も元気じゃなくても会いに来てほしい」とファンとつなぐ未来に目を向け「世界一幸せなバンドです!」と笑顔で叫び、ツアーを締めくくった。
ツアーファイナル終了後には、9月4日に約5年ぶりのオリジナルアルバム「Iris」をリリースすること、9月からドームツアー「BUMP OF CHICKEN TOUR 2024 Sphery Rendezvous」を開催することも発表された。アルバムの各CDショップおよびECサイトでの予約受付は明日4月26日10:00にスタート。アルバムを早期に予約すると、ドームツアーのチケット最速先行抽選に申し込めるシリアルナンバーが手に入る。
セットリスト
「BUMP OF CHICKEN TOUR ホームシック衛星2024」2024年4月25日 有明アリーナ
01. 星の鳥
02. メーデー
03. 才悩人応援歌
04. ラフ・メイカー
05. アルエ
06. ハンマーソングと痛みの塔
07. ひとりごと
08. 花の名
09. 飴玉の唄
10. 東京賛歌
11. 真っ赤な空を見ただろうか
12. かさぶたぶたぶ
13. 望遠のマーチ
14. ray
15. プレゼント
16. fire sign
17. 星の鳥 reprise
18. カルマ
19. voyager,flyby
<アンコール>
20. ガラスのブルース
21. 流星群
※記事初出時、本文の一部に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。
みるきーうぇいの伊集院香織◆新曲でたよ @kaori__milkyway
BUMPのツアーが終幕したのでちょっと今回のセトリのやばさに触れさせて…
メーデー、ラフメイカー、才悩人応援歌、かさぶたぶたぶ、ひとりごと、飴玉の唄、fire signなどなど…本当にオタクが見た幻みたいなセトリでもう…もうね…
ライブ凄すぎて思わずレスポールスペシャル買ってしまったんだよ… https://t.co/EWk2anvWmi