夏川が最新アルバム「ケーブルサラダ」を携えて、12月より全国5カ所を回ったこのツアー。「ケーブルモンスター」というツアータイトルの通り、ステージは黄色、緑、オレンジのケーブルで装飾が施された。
頭の中のがちゃがちゃのケーブルも、くすぶってるモンスターたちも、今夜ばかりはみんな仲間だー!
モンスターのようなカラフルな衣装を身にまとった夏川が姿を現すと、川口圭太(G)、山本陽介(G)、伊藤千明(B)、かどしゅんたろう(Dr)からなる“ヒヨコ労働組合”がアッパーチューン「メイクストロボノイズ!!!」を勢いよく演奏。夏川がヒヨコ群(夏川ファンの呼称)を焚き付けるようにこの曲を届けると、会場に熱い掛け声が息ぴったりに鳴り響く。続く「エイリアンサークル」でもヒヨコ群の熱量のこもったシンガロングが広がり、ライブ序盤からすさまじい一体感が会場に満ちていった。夏川は「神奈川にお集まりのヒヨコ群諸君! 私たちはこれまで日本全国でいろんなモンスターたちを暴れさせてきた! 今日はその全国のツアーに参加してくれた全ヒヨコ群の力を借りて、最高のファイナルを迎える日である!」と言い切る。そして「頭の中のがちゃがちゃのケーブルも、くすぶってるモンスターたちも、今夜ばかりはみんな仲間だー! 我々はスーパーウルトラグレートデリシャス、ファイナル、ケーブルモンスター!」と叫び、「クラクトリトルプライド」をなりふり構わず熱唱した。
その後も夏川は「イエローフラッグ」「Bluff 2」といったメッセージ性の強いロックナンバーでヒヨコ群を鼓舞していく。オーディエンスはヒヨコ型のペンライトを高く掲げ、感情が昂るままに熱いコールを飛ばした。そして夏川はゴシックな雰囲気のある楽曲「ワルモノウィル」をパフォーマンス。メタルナンバー「羊たちが沈黙」ではヘヴィなサウンドが轟く中、「ネラレナイネラレナイメガトジラレナイ」という呪文のような歌詞を放った。
日本各地の会場で高らかにピースしてきました
ライブ冒頭からアッパーチューンを連投してきた夏川だが、ここから空気を一変させて「消えないメランコリー」や「コーリング・ロンリー」といったインディロック調のナンバーを軽やかに披露。「キミトグライド」をセンチメンタルに歌い上げたあと、語感のいいユニークな歌詞が印象的な楽曲「だりむくり」で気だるさを含んだ透明感のある歌声を響かせた。エモーショナルなナンバー「ササクレ」を経て、夏川は「今回はひさしぶりにみんなのピヨピヨが聞けるということで。皆さんの歓声があるのとないのでは、全然感じ方が違う。皆さんの声がそろって完成するものもあるなと改めて思いました」としみじみと語る。そして「今回のアルバム『ケーブルサラダ』は“前向きなあきらめ”がテーマとして1つありまして。こういったアルバムが作れたのは、今までのコロナとかそういう流れがあって、夏川さんがその渦中にいたからだと思いました」と話を続け、「あの頃に悔しかった気持ちだけは今後も持ち続けていこうかなと思います。今回のアルバムで言うと、『メイクストロボノイズ!!!』には忘れてないからなという思いがこもっています。負けそうになってた自分がいたからこそ、『勝ち』って言っておきたかった。『勝ったぞ』という気持ちで、日本各地の会場で高らかにピースしてきました。それがすごくいい思い出になったし、自分の中で1つ素敵なけじめがついたなと思いました」と晴々しい表情を浮かべた。
「まだ足りないよな? 夏川さんもまだまだ足りない!」と夏川は叫び、とグルーヴ感のあるナンバー「I Can Bleah」を投下。「まだ足りない」とサビのフレーズを繰り返す中で、なぜか
ライブ終盤に披露されたのは、夏川の物語が自身の言葉で刻まれたナンバー「ファーストプロット」。夏川は4年前に発表したこの曲を「君の歌もいつか歌えますように」というフレーズで締めくくった。そのあとに続いたのは、最新アルバムのリードトラックであり、「ファーストプロット」のアンサーソングと解釈できる楽曲「ラフセカンド」。夏川は飾り気のない歌声で「強くなれたし キミを歌う」という歌詞を届け、「愉快な人生を 共に歌う」とヒヨコ群とのさらなる未来を示唆する。そして「最高の景色をありがとうございます! 夏川はヒヨコ群が大好きです! これからもいっぱいいっぱい笑おうね!」という言葉を残し、ステージを去っていった。
夏川とヒヨコ群にしか作れない唯一無二の空間
アンコールを求めるコールに呼ばれて再び登場した夏川は、ユニークな歌詞がロックナンバー「ボクはゾンビ」を歌唱。「7年前の1月21日にソロデビューの発表をしました」と彼女は述べ、「こんなふうにたくさんのお客さんに囲まれて、生まれたての子鹿みたいな、足をプルプルさせながら『ソロデビューすることになりました』と言った覚えがあります。偶然ですが、7年後のこの日にツアーファイナルを迎えることができるなんて」と感慨深げに言葉にした。
その後、夏川は4月17日に千葉・森のホール21で毎年恒例のイベント「417の日」を開催することを発表。さらにこの日に8thシングル「シャドウボクサー」をリリースすることも告知し、「いろんな意味で夏川しか歌えない楽曲になってるんじゃないかなと思います。メッセージ性も含めて」と期待を煽った。夏川は「夏川さんのソロ活動はアイデンティティの確立との戦いだったんですよ。どうやったら自分らしさが出るんだろうって。夏川が勝てるような分野があるんだろうか、もうイスが残ってないんじゃないかと思ってたんですけど、歌がうまいとかダンスがうまいとかじゃなくて私にしかできないとか、唯一無二というのを模索してきた7年間だった」と独特の世界観にたどり着くまでの過程を振り返り、「私にしか歌えないものができましたと言えるのが、私にとってはすごく特別なことです」と目を輝かせる。そして「今日この『ケーブルモンスター』のライブをやってて思ったんですけど、夏川とヒヨコ群にしか作れない唯一無二の空間だなと思いました! すごくすごく幸せです!」と声を弾ませ、「これからもまだまだ止まる気がありませんので、ぜひ皆さま付いて来てくれたらなと思います!」とヒヨコ群に呼びかけて歓声を浴びた。
「ハレノバテイクオーバー」で大きなコールを巻き起こしたあと、夏川はライブのオープニングを飾ったナンバー「メイクストロボノイズ!!!」をもう一度熱唱。晴々とした笑顔で高らかにピースサインを掲げ、「これからもこのくすぶってるモンスターと一緒に生きていきましょう!」と告げてライブを締めくくった。
その後も客席に鳴り響く大きな拍手は鳴りやまず、夏川はステージに登場してヒヨコ群に思いを伝えた。夏川は「ナメクジのようにがんばって這いずり回って生きているような人生なんですけれども、でもね、みんなもそうだと思います。ここにいる夏川さんの曲だったり歌詞だったりに共感してくれてる人って、何かに失敗したことがある人だったり、なんかうまくいかないなということが積み重なってるなという自覚がある人が多いんじゃないかなと思います。つまりは夏川と同じ気持ちで 生きている人が多いんじゃないかな」と話す。そして彼女は「残念ながら夏川さんはたぶん、この先もこの人生を生きていくというか、こんな感じで生きていく術しか知らないんですけども、でも今回のこのツアーでそういうくすぶった思いを“モンスター”というふうにしました。ぜひとも『ケーブルモンスター』に遊びに来てくれたみんなの中のモンスターもうまく仲間にして生きていってもらったらいいなと思います。カッコよく生きるのは難しいし、順当に生きるのも難しい人生なんですけども、せめて笑えるように愉快に生きていけたらなと夏川は今そう思っております」と言葉にし、「最後に歌うか」と「笑えるまでは生きようかい 新しく何がしたいかい 素晴らしき 我らの人生」と「ラフセカンド」の一節をアカペラで高らかに歌い、ヒヨコ群と思いを共有してステージをあとにした。
セットリスト
夏川椎菜「LAWSON presents 夏川椎菜 3rd Live Tour 2023-2024 ケーブルモンスター」2024年1月21日 神奈川県民ホール 大ホール
01. メイクストロボノイズ!!!
02. エイリアンサークル
03. クラクトリトルプライド
04. イエローフラッグ
05. Bluff 2
06. ワルモノウィル
07. 羊たちが沈黙
08. 消えないメランコリー
09. コーリング・ロンリー
10. キミトグライド
11. だりむくり
12. ササクレ
13. I Can Bleah
14. 奔放ストラテジー
15. ユエニ
16. ライダー
17. passable :(
18. ファーストプロット
19. ラフセカンド
<アンコール>
20. ボクはゾンビ
21. ハレノバテイクオーバー
22. メイクストロボノイズ!!!
イベント情報
LAWSON presents 令和6年度 417の日
2024年4月17日(水)千葉県 森のホール21
[1回目]OPEN 14:30 / START 15:30
[2回目]OPEN 18:00 / START 19:00
餅ころもっちもち.staff(群) @SD_RiCa
ここでぅゅになった
https://t.co/3N3JarSWQx https://t.co/0vXV3YRKOx